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それぞれの正義

みなさんこんにちは。
内田裕介です。

先日、現在も上映中の映画「罪の声」を鑑賞しました。その上映時間は2時間を超える長編でしたが、それを苦にも思わず見入ってしまうほど面白い内容でした。

さて、今日はその感想について述べていこうと思います。



それぞれの正義

この映画で考えさせられたのは、「正義」についてです。

ここでは正義を「自分が信じ貫くべきこと」として用いますが、この映画ではある正義が悪として描かれていました。

それが「他者に危害を加える正義」です。当たり前と言えば当たり前なのですが、僕はこれは結果論なのかなと思いました。

どういうことか説明していきますね。そのために、早速ですがネタバレから始めます。(笑)

この映画での悪役は、曽根達雄という人物です。彼は星野源が演じる曽根俊也の伯父で、「ギン萬事件」の犯人グループの一人でした。

このギン萬事件とは、製菓メーカー「ギンガ」の社長を誘拐して身代金を要求した後、ギンガをはじめとしたその他メーカーの製品に毒物を混入させるという一連の悪質な犯行のことです。

犯人グループの狙いは、それら企業の株価を下落を図ってそれを利用して株取引で儲けるというものでした。かなり用意周到で計画的な犯行だったようです。

しかし、達雄の狙いはそれだけではなかったのです。

達雄のもう一つの狙いは、大企業の変容です。

達雄の父はギンガの社員で、当時の左翼過激派の乱闘に巻き込まれ死亡したのですが、その事実に対してギンガは達雄の父を「左翼過激派の一員」として非難しました。

そのことを、達雄は根に持っていたのですね。つまり、彼の求める大企業の変容とは、漠然としたギンガへの復讐心だったのです。

復讐を果たすために達雄はギン萬事件を計画し、身代金の要求の際には足の付きにくい子供の声を使用しました。その子供は3人いて、それが曽根俊也を含む犯行グループの親族にあたる息子や娘でした。

俊也は犯行の声に利用されたものの平穏な人生を歩みましたが、他の2人は壮絶な人生を歩みました。その2人は姉弟で彼らの父が犯行グループの一員なのですが、父から訳も分からず声を利用され、その後は父が暴力団と関わってしまった経緯から囚われの身となり、姉は死亡し弟は半生を地を這うような思いで生活せざるを得ませんでした。

つまり、達雄の提案で声を使われたばかりに、その姉弟は真っ当な人生もしくは生活を送ることが出来なくなってしまったわけです。

この事実に対して、小栗旬が演じる阿久津英士は達雄に向かって
「あなたの犯行で何か変わりましたか?」
と問い詰めました。

達雄の目的は、大企業の変容でしたね。そのために計画的な犯行を行いました。しかし結果は、大企業にダメージこそ与えたものの、明確な変容後のイメージが出来ていないばかりに自己満足で終わり、さらには子供の人生まで狂わせてしまったのです。

僕はこれが結果論ではないかな、と思ったのです。

達雄の肩を持つような言い方にはなりますが、達雄は自分の経験から自分なりの正義、貫くべきことを見出し、それを実行に移しました。さらに、実行後は声に使われた子供たちが平穏に暮らせるような手も打っていたのです。

しかし結果は、その見通しが甘く子供2人の人生を狂わせてしまった。

確かに許されることではありませんが、一概に「悪」とは言えないのかなとも思いました。


人にはそれぞれ自分なりの正義があるはずで、僕はそれを貫くことが大切なのかなと思っています。だから、自分の正義を貫いた達雄は、結果こそ思わぬ方向へ進んでしまったものの、個人的には必要悪のように思えました。

僕がこの先、人を巻き込んでいくような正義を抱くかは分かりませんが、その時は自分を信じて思い切って行動に移していきたいですね。

もちろん、他者を巻き込んでも、迷惑だけはかけないように。(笑)

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