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人にやさしく

1月13、14日 共通テスト
何千何百時間もかけた勉強時間、三周した過去問、夜十時半の帰り道。体育祭の後、模試の後、お盆もクリスマスもお正月も、塾で過ごした。ずっと頑張れていたわけじゃないけど、誰よりも頑張れていたかは分からないけど、間違いなく私は頑張ってきたのだと大声で言える。

それでも結局、思い通りの点数なんて出なかった。実はあと百点良い点数をとるはずだったし、1番行きたかった大学には行けない。どこの大学でも楽しいのよ、なんて分かってるけどこんなにも頑張ったことも、頑張っても報われなかったことも今までなかった、悔しかった。10日も経てばほんの少し立ち直れたけれど、私の人生が少しずつ、定まっていくような感じが嫌だった。何にでもなれると思って生きてきた、今は少し疑い始めている。

人は誰でも挫けそうになるもの。勉強は大嫌い。今まで勉強なんて大してやってこなかった、そう上手くいくはずがない。頑張ったけれど、所々で甘えてきた。10日のうちに、あの時のせいでダメだったのかな、なんて思ったり。でも私が挫けないでいられたことに意味がある。

お母さんが四つ目のお守りを渡してきた。お弁当にメッセージ付きのチョコレート。私の塾は他の塾に比べて、かなり高かった。新聞の占いを写真に撮って送ってくれる。家を出る時、毎日、大丈夫だよと言ってくれた。いい点をとったら褒めてくれた。流石だとお父さんは言う。

世界史ヲタクと描いた偉人の似顔絵(かなり上手に描けた)。意地悪なことばかり言うくせに、たまにくれる優しい言葉。BeRealは毎日塾から一緒に帰るときに。おにぎりとパンの商品棚を何度も往復して。バスの中で隣から覗いた日本史の単語帳は、漢字が難しかった。

今年の目標じゃなくて私の合格祈願だった書き初めは、縦書きなのに右から書かれていた。小指サイズの魚を釣っただとか、有馬記念に負けただとか。受験当日には使えない、メッセージが彫られた鉛筆、高校受験の時にも貰った鉛筆とはメッセージが変わっていた。

応援は優しい。慰めることも手をとることも、頭を撫でることだって、それももちろん優しいかもしれないけれど、強くいるための優しいは隣にいることなんだと思う。大好きな人達が隣にいてくれたら怖くない。私の代わりに戦うよりも、怖くないくらいがいい。優しさだけじゃ人は愛せないから。

2次試験も残っているのにこんなことを言うのはおかしいだろうが、少し楽しかった。第1志望じゃない学校も楽しいか、とか、どこの大学に行くことになるのだろうか、とか。何にも分からないけど、過ぎていく毎日を辛いだけで括らないでいたい。大切に、捨てないで。

THE BLUE HEARTS/人にやさしく

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