月の壁 ~ミナコの月 3
■葉書
月がすっかり西に沈み、
街灯の明るさで、星のあかりも消された頃、
ミナコは自宅マンションに戻っていた。
エントランスをくぐり、郵便受けを確認すると、
青木ミナコ 様 と、
自分の名前が印刷された封書が一通、
投函されていた。
ミナコはポストの鍵をあけ、
封書を取り出し、すぐさま差出人を確認した。
どこか、見覚えのある名前…
…だけど、一体、この人、
どこの誰だったっけ?
ミナコは
エレベーターに乗り、
自分の部屋がある階のボタンを押しながら
記憶をたどっていた。
ほどなくして、ミナコの部屋がある階に着き
共用廊下を抜けて、手際よく部屋のドアの鍵を開けた。
部屋にあがると、すぐさま
リビングにあるダイニングチェアに
持っていたバッグを、ぽんっと置いて
デスクの脇に置いていたペン立てに
ハサミをとりに行き
すぐさま封書を開封した。
封筒に入っていた文書を開いて見ると、
そこには
「城山高校 38回生 同窓会のご案内」と書いてあり、
返信用のハガキが同封されていた。
高校時代の学年同窓会の案内だった。
ミナコは、リビングに戻り
ダイニングの椅子に置いたバックの中から
スマホを取り出して
LINEを開き、ユリとのトークを開いた。
『ユリへ。
さっきはありがとう。
偶然に入ったお店とはいえ、
あそこのお店、良かったね♪
また行こうね^^
ところで、
今、家に帰ってきたら、
学年同窓会の案内が来てたんだけど、
ユリは行く?』
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