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月の壁 ~ミナコの月 6

■私は、私。


 
 
同窓会の案内は、
今までも、時々、来ていたけれど、  

 
なんやかんや仕事でバタバタしてて、
返信も、いつもこんな感じでほったらかして、
 
 
   気付いたら、いつも、終わってた。
 
 
 
 
 
 
 
…というか、
正直、
そこまで行きたくなかったから
 
 
うっかり忘れたついでに
行かないことを選択してきた。
 
 
 
 
 
 
青木ミナコ。39歳、独身。
 
 
 
 
 
同窓会に行きたくなかった一番の理由。
 
 
 
相変わらず、「青木」ミナコ のまま…
 
…って、思われるのが、嫌だった。
 
 

 
 
高校を卒業して、
大学に進学して、
 
 
大学を卒業して、
就職したまでは良かった。
みんな同じだった。
 

 
 
それから、一人、二人と、
友達の姓が変わっていき、
 
 
 
年賀状に書いてある苗字が
馴染みのない苗字に変わり、
 

 
やがて、
友達は、どんどんお母さんになっていった。
 

 
 
私は相変わらず
仕事が面白くて、
結婚なんて、考えてなかった。
 

 
 
学生時代の友達とは
話が合わなくなって、会うことが減り、
どんどん疎遠になっていった。
 

 
 
主婦になった友達と、たまに会えば、
子供の話や、旦那の話、
まったく話が合わないし、
 

 
扶養の範囲内ギリギリで、パートで働こうとする
働き方も、分からない。
 


一方で、
結婚してからも、変わらずに、
正社員として仕事を続けている友達は
家庭と仕事の両立が大変そうで、
会って話す時間も、余裕も、なさそうで、

 

元気?って、気軽に、連絡もできない。


 
 
 
同じ年なのに、
まったく違う世界に生きている気がして、

 
学生時代のように
気軽に、声をかけることに躊躇してしまう。
 
 
 
 
一方で、
相変わらず、独身の私は、
みんなから、
自由で、気ままな一人暮らしを楽しんでるよね、

 
お金も時間も、自分のためだけに使えていいよね、
「ミナコはいいよね (私とは違う) 」っていう、
無言の圧を受ける。
 

 
 
でも、私だって、
「結構大変なんだよ」って、言っても、
秒で却下される。
 

 

共感されないことくらい、わかってる。



 
 
 
でも。


 
 
私の大変さを、
自分の大変さと比べられて、

 
まるで私の方が、
ずっと軽いかのようにあしらわれることが、
ちょっと悲しい。

 
 
 
 
学生時代、お互い、対等に言い合えて、
 
仮に、ちょっとしたいざこざになったとしても、
対等にぶつかりあえた、
 
どちらかが傷ついて、仲たがいしても、
なんだかんだで、仲直りできた
友達。
 
 
 
それが、今では、
違う世界で生きている。
 
 
 
 
私が、
「青木」ミナコ のまま、
私が、私のままだから、
 


 
何も考えずに笑いあえてた友達との間に感じる、
見えない心の壁。
 
 
 
 
 
 
…でも。
 
 
 
 
 
そろそろ、
それって、
 
 
いちいちナーバスになって、
 
こだわらなくてもいいんじゃない?
 
 
 
 

もう、いいんじゃない?
 
 
 

 
だって、
そもそも、私、
 


 
正直、
結婚なんて、「したくない」んだもん。
 
 
 
 
私、寂しい独身なんかじゃないし。
 
 
 

 
仕事も楽しいし、
職場の環境もいいし
収入も、それなりにあるし。
 
「ミナコはいいよね、」って…?
 
 

 
そうだよ。


 
 
 
自分のために、時間もお金も、使えるよ。
だって、そうしたかったんだもの。


 
そのための努力も、ちゃんとしてきたもの。
そんな自分を褒めたいし、誇りに思う。
 
 


 
 
そもそも、
寂しいから、、、
 
 
 
年だから、、、
 
 
 
経済的に誰かに頼りたいから、


 
 
子供が欲しいから、
 
 
親に心配かけたくないから、

 
みんなそうしてるから、
 
 
 
みたいな理由で、
結婚したくなんて、ない。
 
 
 
 
 
 
 
恋愛はしても
「結婚したい」とは、思わない。
 
 
 
 
 
それよりも、仕事、面白いし、
やりたいことも、たくさんある。
 
 
 
結婚して、子供なんてできたら、
 
やりたいことはおろか、
今の仕事はハードすぎて、続けられない。
 
 
 
 
 
だから、
結婚という選択は「しない」。
 
 
 
 
 
それだけ。
 
 
 
 
 
そう、それだけ。
 
 
 
 
それだけ、なんだもの。
 
 
 
 
私は私、
私のままで、いい。
 
 
 
 
なぜなら、
私は、私が、いいんだもの。

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