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即ち音楽これ人の心

約2年ぶりくらいに、有観客ライブを生で観た。最後に生で観たライブがいつだったか、正直覚えていない。

"ライブ"とは、"音を浴びる"とはこういうことだと、忘れていたものを、忘れるしかないと思っていたものを、久しぶりに思い出した。思い出させてもらった。

日食なつこさんの「ドリップ・アンチ・フリーズTour」。

私が日食さんを知ったのは、去年の冬ごろ。友人に「好きそう」と教えてもらったのがきっかけだった。
初めて日食なつこさんの「致死量の自由」を聴いたのが、偶然にも今日ライブがあった心斎橋の道中、まさにCafe BOHEMIAさんのある通りだった。
ライブの帰り道にふと思い出して心底驚いた。

知ってから1年、頻繁に聴いては元気をもらったり、時には涙したり、アコギで弾き語りカバーをしてみたり。
すっかり大好きになった日食さんの歌声を生で聴けることだけで十分嬉しかったけれど、忘れていた"ライブ"というものの良さを、尊さを、身に染みて感じることができて嬉しかった。と同時に、ちょっと苦しかった。

こういう世界になって、ライブハウスでしっちゃかめっちゃかになりながら音を浴びるライブ、一緒になって大声で歌うライブ、コールアンドレスポンス、アンコールの声がどんどん早くなって誰かがゆっくり言い直すアレ、音楽をみんなで浴びて明日からを生きる力に変えること、全部幻になってしまったと思ってた。

でも、そうじゃなかった。

絶対的に守らなくてはならないルールがあって、それは息苦しくて辛くてぐっと飲み込まなくてはいけないことばかりだけれど。
一部の人間を見て馬鹿馬鹿しくなったり全てを投げ出したくもなるけれど。

それでもまた、幻になってしまったと思っていた"ライブ"を思う存分楽しめるその時が来るまで、なんとかやり過ごさなきゃなと改めて思った。

皆がみんな無傷ではいられないこの世界だからこそ、なるべく傷つけ合わず進んでいきたいものだなと思う。

「即ち音楽これ人の心 絶やしちゃいけない人の命そのものなんだよ」

今年の夏も本当に憂鬱だったけれど、日食さんのおかげで、今日最高の夏の締めくくりができたと思う。
今年はあまり空を見上げられなかったけれど、来年はしっかり真夏のダイナソーたちをこの目で見られたらいいな。

明日からも頑張ろう。


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