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【詩】ミッドナイトシティ

蠢く人間と瞬く光をビルの屋上から見つめる
よく晴れた空に星ひとつない 月さえもない 地上のゴミだか虫のようなものしか、今この夜には存在しない
がらんどうの空に浮かべるものはない 歌は苦手だ それに、数を知らない
夜景をつくる光を数えるのも飽きて、また地上を見つめる
眠れない街と人間 狭間に生きる身には何を思うこともない それらが共生して生まれる夜景にだけ意味を見出す
それは多分何よりも愚かで、ゴミや虫よりも醜い この景色の一部すらつくれないのだから、本当に存在価値がない
だから世界が嫌いだ 人間も、当然
数少なく愛せる確かなものが一つか二つあればそれでいいのに、それをつくる権利や力をくれなかった世界など、きっと永遠に嫌いなままなのだろう

雪が降り始めた
そうして更に美しくなった夜景を、夜が消えるまでずっと眺めていた

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。