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詩まとめ

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書いた詩のまとめ。
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#夜

【詩】聖歌と旅路

これ(以下)の続き 長い間夢を見ていた 未来予想地図を片手に、輝く世界を掴めると 一人ではなかった 同じ夢を見る者は他にも沢山いた しかし輝くのは未来ではなく過去の栄光、偽物の太陽、ハイエナの目 世界はいつまでも闇の中で、出口も正解も何一つ見えない 冷たくて現実的、思えば太陽が偽物なのだから、あたたかい訳がなかった 人々は僕らを「夢追い人」と揶揄し、「新しいものは、変化はいらない」と叫ぶ 既に棺の準備を始めて時を待つ人々に、僕はなれなかった 書き込みだらけの地図も、やがて擦

【詩】春待

その背には夜の刺青 紺色の髪を弄ぶ 雪の旋律に花香る 春が近い 桜の歌を歌いながら 星の砂漠の先 カンテラで照らす道に君はいる 青く煌く、春世界の旅路 「その果てでどうか、待っていてほしい」 振り返った君は、小指を立てて微笑んだ

【詩】みどりの夜

みどりの夜、というものがある。 エメラルドグリーンの空に、白い三日月と星が数粒光るだけの夜。 夜というには明る過ぎて、朝というほど「はじまり」からは遠い、その色をワイングラスに注いで飲み干す。視界がとろけて、海のような夜に落ちていく。 南の海は、夢色。 朝と夜の間、白昼夢の中にある夜明けを待つ空を、流星くじらと共に漂う。 風に舞う翠の雫は、私の涙かもしれない。 ああ、水平線の果て。白い朝日が見えだした。 夜が明けたら、あなたとお茶をしましょう。好きな歌など語らいながら。

【詩】ミッドナイトシティ

蠢く人間と瞬く光をビルの屋上から見つめる よく晴れた空に星ひとつない 月さえもない 地上のゴミだか虫のようなものしか、今この夜には存在しない がらんどうの空に浮かべるものはない 歌は苦手だ それに、数を知らない 夜景をつくる光を数えるのも飽きて、また地上を見つめる 眠れない街と人間 狭間に生きる身には何を思うこともない それらが共生して生まれる夜景にだけ意味を見出す それは多分何よりも愚かで、ゴミや虫よりも醜い この景色の一部すらつくれないのだから、本当に存在価値がない だか

【詩】ナイトモラトリアム

眠らない街を眠らせる冒涜。無音の夜を煌々と照らすネオン。 愉しみを失い、滅びゆく街に一人立ってみる。青い月が美しい。 星は見えねどそんなことはどうでもいい。俺にはギラギラした目障りなまでにうるさいネオンの灯りと、賑わう人間共の声だけでよかった。星明かりなぞそんな綺麗過ぎるものは不夜城に似合わない。月のお姫様ひとつで十分。しかしもてなしが俺一人というのはあまりに貧相だ。ばつが悪くなり、目を合わせないままふらふらと歩き出す。 星の光さえ恋しい。今更そんな都合のいいことが言えるわけ

【詩】星の喧騒

暗い夜空に光る雲。雲の切れ間から満月が見える。 大きな風が吹いて、近くの竹藪が大泣きしだした。その足元を三毛猫がよぎって、闇に消える。あたしも真似して細い横道に消えてみた。誰もいない。 ちっぽけな公園のベンチに座って足を揺らしてみても、何も来ない。営業時間外の古本屋とか居酒屋に思いを馳せても、やつらの朝にあたしは出会えない。夜行性はもう、その辺の空き缶とかタバコの吸い殻と同じで、ただのゴミクズだった。この世界のいらない存在。許されているのはやっぱ猫とか、イルミとか。あとコンビ

【詩】Reach For The Stars

「宇宙ラジオ」の星野イメージの詩 困っている人が助けてあげたい。 悲しい時に笑ってごまかしたくない。 幸せになりたい。痛いのは嫌だけど、悲しみもできれば愛してみたい。 ぼくはとてもわがままで、偽善者で、救いようがない馬鹿で、「ただの人間」から出られない、とてつもなく無力な生き物だ。 それでもぼくは無邪気に信じている。 一等星になれなくても、誰かがその星を見つけてくれること。 借り物の光で輝く月でも、誰かを照らせること。 流れ星のうわさ。ぼくの存在する意味。 だから今日も夜空

【詩】夜

藍色の風は透きとおり 眠る街を駈け抜けて 澄んだ月を見つめ入る 僕のからだをすり抜けた