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Show us , Not Tell us

※この記事は、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースの授業「クリエイティブリーダシップ特論」の課題エッセイです。授業では、クリエイティブとビジネスを活用して社会で活躍されているゲストを毎回お招きします。

2021年4月19日(月) クリエイティブリーダシップ特論 第2回 ゲスト
岩渕 正樹 さん / NY在住のデザイン研究者

IBMDesign での社会人経験を経た後、2018年より渡米しパーソンズ美術大学の大学院に入学。昨年の5月に修了され、芸術学修士 (Master of Fine Arts)を取得された。現在は NY を拠点にしながら、アメリカの STEM 教育のスタートアップ Teknikio のサービスデザイナーや東北大学工学部客員准教授を勤めるなど活躍されている。

【気になった内容を抜粋】
※授業のほかに、いくつかのサイトや記事を参考に書きました。

パーソンズ美術大学は NY にある世界屈指のアート・デザインスクールだ。岩渕さんは留学前にスペキュラティブデザインに興味を持たれた。その提唱者でもあるアンソニー・ダンとフィオナ・レイビー(ダン & レイビー)に直接師事したく、二人がいるこのパーソンズ美術大学に留学を決めた。

スペキュラティブデザインとは何か。未来から現在を考えるバックキャスティング系のアプローチの一つであり、問題提起のデザインと呼ばれる。授業でも扱われた具体例を紹介すると、長谷川愛さんの「I WANNA DELIVER A DOLPHIN…」という作品がある。

これは、未来に人間がイルカの子供を産んでいる様子を描いた写真、映像などの作品だ。とても刺激的で、テクノロジーが進化するとこんな世の中が将来訪れるかもしれないと思わせる。また、作品から倫理、絶滅危惧動物、人口問題、結婚など様々な問題が提起される。

だが、スペキュラティブデザインの提唱者であるダン & レイビーは、近年スペキュラティブデザインという言葉を使っておらず、“Designed Realities” という概念を模索している。Designed Realities は、人類学者や哲学者、歴史学者などとともに、抽象的ではあるが未来を可視化していく取り組みだ。この取り組みの中で、以下3つの姿勢が強く意識されている(と自分は理解している・・・。自信なし)。

1. Aesthetics of Unreality (存在しないものの手ざわり)、
2. Not here , Not now (ここではなく、いまでもない)、
3. Show us , Not Tell us (語るのではなく、机に並べる)

と、話はほかにも沢山あったが、自分の思考が追い付かず整理しきれていない。より詳しく内容を知りたい方はぜひ検索して他の人の note や岩渕さんご自身の note をご覧ください。

【感想】
二つ考えたことを書きたい。

一つ目は、スぺキュラティブデザインというアプローチについて。

2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガス/CO2 排出実質ゼロ)を目標に掲げている国が増えている。日本も、菅総理が2020年10月の所信表明演説において、2050年のカーボンニュートラルを宣言した。そのような社会の実現に向けて、一つだけはっきりしているのは、現在の延長線上にありたい未来はないこと。逆にありたい未来を描き、では実現に向けて何をしなければならないか考えていく必要がある。つまり、フォアキャスティングではなく、バックキャスティングのアプローチが必要となる。というのは、なんとなく分かる。では、バックキャスティングのアプローチって具体的にどういうものがあるのだろう、と漠然と考えていた。

スペキュティブデザインという言葉は聞いたことがあった。だが、その中身はまったく知らなかった。今回デザイン手法として、バックキャスティングのアプローチがあることを初めて知った。岩渕さんの note を見ると、ほかにもトランジションデザインというアプローチもあるらしい。これはまた調べてみよう。

二つ目は、形にすること。

ムサビに入ってまだ間もないが、考えたアイデアを形にしてみる姿勢が貫かれていているように感じる。それが重要だと思っており、入学した理由の一つでもある。上の Designed Realities だと「Show us , Not Tell us (語るのではなく、机に並べる)」と同じことのように感じ、響いた言葉だ。

種子島という地域に住んでいて、アイデアを出すワークショップ的なものをひたすらやり、参加者が疲弊していくという場面を見てきた。ワークショップ数日後に「あれ、やっぱり実現するの無理だよねー。」みたいな話がよく出た。

だから、もう一歩踏み込んでつくってみる、やってみることが必要だと思う。それが失敗に終わったとしても、次の議論やアクションへ確実につながると思う。自分もワークショップを行う機会がこれからある。形にするにはどうするか踏み込んで設計していきたい。

【参考記事】
岩渕さんnote

ユーザー中心設計の”逆”をゆく。スペキュラティブデザインとその次:デザイナー・岩渕正樹さん


「政策デザインラボx Speculative Futures TOKYO : パーソンズ美術大学での学び」イベントレポート


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