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UNIONという星降る未来をみた日の話。

 

日付が変わった2020年6月28日午前1時15分。




ようやく観ようと思った。
透明なフィルムすら外していなかった。ブルーレイレコーダーを買ったのは云うまでもなく、このディスクのためだった。
購入してから3か月。ブルーレイレコーダーを買ってから2週間。
特別な日というわけではなかったこの日を、特別な日にしようと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今日、10Ksの未来を観た。

 

 

 

 

 

 

 

***



 

久しぶりの感覚だった。
円盤を取り出してセットするまでのこの気持ちは、新しい円盤を観ることができる喜びだけではなかった。どこか緊張していて、少しだけくるしい。
リビングの電気を消して、私はリモコンの再生ボタンを押した。たったこれだけのことだった。この円盤を観ることはそれだけの動作で済む。だからこそ、緊張していた。この直径12cmに、彼らの未来が描かれているからだ。

10周年であった2016年に行われた10周年である10Ksをもって彼らは「充電期間」に入り、2018年ジャニーズカウントダウンライブにて再始動した。そして、4/20~4/22に行われたライブこそがこのライブ「UNION」だった。





 

オープニングが始まった。
KAT-TUNは、あの時の、あの歌の、あの光の中から登場した。
あの日のつづきから、KAT-TUNは始まった。
彼らのライブで一番最初に歌ったのは、彼らの充電期間を開けた初めのライブで一番最初に歌ったのは。他でもない、彼らの充電期間を共に支え続けていたhyphenだった。



私の好きなKAT-TUNがそこにいた。



3人が手を重ね合わせていくときの、お互いを見つめ合う表情。中丸雄一が何かを笑顔で囁いて、上田竜也が頷いて、亀梨和也が二人を順番に見つめる。
掲げられた交差した彼らの腕。
もうそこに言葉は要らなかった。
KAT-TUNがいれば、あとはなんにも要らなかった。
 
 
美しさの芯に強さを纏って。
重なる3音にありったけの倍音を引き連れて。
東京ドームに立っていた。


***


最高の、エンターテイメントだった。
「充電完了」を言葉ではなく体言化したエンターテイメント。むしろそこにはその言葉さえ要らなかった。これこそがKAT-TUNだということを、言葉ではなくこのライブで魅せていた。

溢れんばかりの特効。ライトと炎とレーザー、スモークと羽。3色に重なるペンライト。
そして何よりも輝く、KAT-TUN。歓声に包まれたKAT-TUNが何よりも美しかった。






「RUSH OF LIGHT」

とびきりの切ないラブソング。

"君を抱きしめた"の歌詞のときのシャボン玉みたいで懐かしくて甘くて泣きたくなる上田くんの声。手を振りながら、どこまでも眩い笑顔だった。
"一つの影に"の中丸雄一の低音。hyphenに声をかけ続ける中丸くんは、最高にアイドルだった。
"出口が見えなくても転がりながらもずっと"まで遠くの自分に歌っているみたいな亀梨和也が、最後のもう一回の"ずっと"で亀梨和也に戻ってくるとき。
爽やかに笑うみんなに幸せがみえた。

素とアイドルの狭間のような爽やかさと初恋みたいな胸の騒ぎにどうしようもなく焦がれた。
アップテンポで切なさが香る歌は、もう逃げられないうちに、いつの間にか飲みこまれている。
もう彼らに私は敵わないと思った。




アコースティックバージョンで歌われた「SMILE」と「4U」。"動"があるから"静"は際立つ。逆も然りだ。"静"を作り出したとき、彼らはその言葉を贈りたい相手がそこにいるのだと思った。その相手こそ、共に充電期間を支えあい、今彼らを照らす光なのだと思う。

「SMILE」
ありがとうって また逢おうって
今君に伝えたくて
僕らの色に染まってゆく 今が宝物
「4U」
街中に溢れてる 飾られた夢より
絶え間ない優しさ 希望をくれた キミへ

4Uでの上田竜也の歌割り。
「あの日はまだ六等星だった」
そのときに、彼の目が心配そうに客席を見つめたように見えたのは多分私の考えすぎではなくて。
私は不安そうに客席を見つめて、泳いだ目が下を向いた、そんな彼を見ていた。
6という数字がKAT-TUNにとって大きな意味を持つこと。その歌詞を歌うこと。
ありがとう。強さを纏った、繊細で優しさに包まれたKAT-TUNが好きだ。


***


「Sweet Birthday」で終わった彼らはどこまでもアイドルで、どこまでもKAT-TUNだった。視るもの聴くもの得るものすべてをアイドルとしての血肉にしているのだろうと思った。
ありがとうとかただいまとか、そうじゃなくて。この再始動を「キミとボクとの再始動」って云うだなんて。
甘くて優しくて、繊細で綺麗で、幸せが詰めこまれたショートケーキみたいだね。
そのショートケーキを最後にプレゼントするのは、ずるいね。最高にずるくて最高にかっこいい。
 

 「伝説作ってこうぜ」
 「自分らと皆でKAT-TUNなんで」

 「お前らがいなきゃ俺たちは輝けねぇぞ」

 「KAT-TUNは永遠」

 
そう言ってくれた彼らを、今度は彼らと同じ空間で、ペンライトでKAT-TUNを照らさせてください。

***

 

KAT-TUNの曲はすべてが切り札だなんて、夜中に書いたラブレターみたいな言葉を、咀嚼して味わっている。嗚呼、宝箱みたいだね。宝物しか入っていないから、出るものすべてがきらきらと、音をたてて現れる。

10Ksが「覚悟」だとするならば、UNIONは「決意」だった。
あの時、KAT-TUNから感じたちょっぴりの孤独や美しさの芯だけを残したかのようなギリギリの儚さはもう感じなかった。これが充電完了だったのだとわかった。
彼らはKAT-TUNでありながら、KAT-TUNに愛されているのだと思った。
骨の髄まで、KAT-TUNを体現したライブだった。

私は、KAT-TUNが人間としての彼らを置いてアイドルグループ"KAT-TUN"の亀梨和也、上田竜也、中丸雄一を魅せていることが好きなのだと思っていた。
でも違ったみたいだった。アイドルと一人の人間の、その狭間にいる彼らが生み出すエネルギーに惹かれていた。その狭間にいるもがきに、擦りきれんばかりの美しさに惹かれていたんだ。



 

 

笑ってほしいと笑うあなたに、私はいつまでも笑っていてほしい。
照れくさそうに好きだと言い合うあなたたちが、ずっと隣同士にいてほしい。
KAT-TUNが描いた未来は、そのまま私が望んだ未来だったから。
正解がない世界で、KAT-TUNこそが正解で。
私が求めた答えは全部ここにあったから。

今なら10Ksをまた観られるかもしれない。
星を掴まえて閉じこめたみたいなライブを観た今なら、まっすぐに観られるかもしれない。



笑って観られなくてごめんね。でもこの日の涙は嬉しかったからで、楽しかったからで、あの日みたときの涙とは違う色だった。
ありがとう。いつも本当に、ありがとう。












星の見えない曇り空の日、私は星をみつけた。