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【日記】ずっと前からやりたかったアレをやった話

2023年9月23日土曜日の日記。

今日は親戚の集まり(祖父母の傘寿を祝う会食)があった。
知らぬ間に結婚していた従兄弟や、長年付き合っている彼氏のいる従姉妹や、最近彼氏を家族に紹介した妹、それに対して未だに仮面ライダーとプリキュアの話をしている私と弟などまあいくつか話になるネタはあるのだが、総じて楽しい会であった。

真に書きたいのは、帰りに寄ったラーメン屋での出来事である。

着座した私は、いつも通り1300円のつけ麺とミニチャーシュー丼のセットを頼む。これがとても美味く、疲れた身体に沁みるのだ。
注文して暫く待っていると、2人の若い男性客が入店してきた。お揃いのオレンジのTシャツを着ており、背中に「群馬大学」の文字が見えた。ロゴから体育会系の部サー(部活・サークルの略)のメンバーであることが推測できた。群馬大学は私の出身大学である。ほう、珍しいこともあるものだ。
ふと疑問が沸いてくる。この近辺に大会を開けるような広い会場があっただろうか。

それと同時に、不思議なことに、先輩風を吹かしてやりたいという欲が湧いてきた。常日頃から謙虚であろう、なるべく権力勾配のある関係性は築かないようにしよう、と考えているのだが、彼らに良い思いをさせてやりたい、という欲求がふつふつと湧いてきたのである。

同じ店にたまたま居合わせた後輩がいる…ということは、「アレ」をやるしかないのではないか?そう、「アレ」である。

そうと決めたら私は、頭の中でシミュレーションする。「アレ」の後に長く居座っては彼らに気を遣わせる時間が増えてしまう。理想的な「アレ」への前準備のために、まず自分の皿の分を平らげなくてはならない。
ミニチャーシュー丼をかきこみ、つけ麺を啜り終え、コップに残った水を飲み干し、いざ、決行の時が来た。

「ちょっとごめんなさいね、群馬大学の学生さんですか?」
目の前でモソモソとつけ麺を啜っていた妖怪に話しかけられてギョッとしたようだが、2人から「そうです」という返事が返ってきた。

「私は21年に理工学部を卒業したOBなんですよ」
話を聞いてみると、彼らは同じ学部の1年生で、隣市で大会がありこのあたりで宿を取っているらしい。なんとも数奇な出会いである。条件は整った。私は会計のために席を立った。

「すみません、お会計お願いします。」

「あちらのテーブルの分も一緒で良いですか?」

言った!滅多にないシチュエーションを適切に処理することに成功した(?)のである。PayPayのQRコードを提示している右手は震えていた。
「それじゃ、大会頑張ってね」と会釈して私は店を後にした。

東大、京大、早稲田、慶應といった名だたる名門大学と比べてしまうと、会社でうちの大学の学閥があるというのも聞いたことが無いし、社会に出てからうちの大学で良かったと思う機会は本当に稀だと思う。そういうイベントは我々OBやOGが作り出す他ないのかもしれない。
「晩飯代が浮いてラッキー」くらいに思ってくれても構わないので、彼らの遠征の思い出になってくれたら嬉しいと思う。
(2000円程度でイキんなと言われたらそれはそう。)

きょうび卒業した大学の後輩だからといって突然支払いを負担するという不審者ムーヴをかます人間はそう多くないだろう。アニメや漫画から卒業できていない感性がそうさせたのかもしれない。
ともあれ、名も知らぬ後輩たちの未来に幸多からんことを願う。

会計の時に店員を呼ぶのに手間取ったのと、学生に話しかける直前に服にタレをこぼしてしまったのは内緒だ。

ずっとやりたいと思っている「アレ」一覧
〈タクシー編〉
 ・「急いでるのでお釣りはいいです」
 ・「前の車を追ってください」
〈買い物編〉
 ・「ここからここまで全部ください」
 ・「マスター、いつもの」
 ・「言い値で買おう」
 ・「出世払いでいいよ」
〈その他〉
 ・「あなたは救急車を呼んでください、あなたはAEDを持ってきてください」
 ・(ガンの告知を受けて)「ガーン」

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