『外伝』【発達障害に向く適職や仕事、働き方とは】
今回はHSPは出てきません。
すみません。
能力の凹凸の大きい発達障害のある方が個性を活かして安定した生活を送るためには、自分にあった仕事や働き方を選ぶことが大切です。
この記事では、発達障害の方の仕事探しのポイントや特性にあった働き方について、特に「一般雇用」と「障害者雇用」の違いという観点から考えます。
また、現在仕事で困りごとを持っている人に向けて、発達障害の方はどのような問題が生じやすいのか、どこに相談したらよいのかについても解説します。
発達障害の仕事で困ること
ASD傾向の方の困りごと
ASD(自閉スペクトラム症)遺伝的な要因が複雑に関係した脳機能障害によって、対人関係が苦手であったり、強いこだわりを示したりする特性がある発達障害です。
かつては広汎性発達障害やアスペルガー症候群や自閉症などと呼ばれていましたが、現在はASDで統一されています。
ASDの人の特性と、仕事で起こりやすい困りごとをまとめてみました。
主な特性困りごとの例
・コミュニケーションの障害
・他人の気持ちの推測が難しい
・自分の気持ちをうまく表現できない対人関係、社会性の障害、人間関係を築けない
・冗談や誇張表現、遠回しの表現などをそのまま受け取ってしまう
・興味・関心の著しい偏り
・一部にこだわりすぎて全体を考えられない
・複数の業務を並行してできないパターン化した行動・マニュアルや明確な指示がないと作業ができない
・予期しない変化に対応できない感覚過敏・蛍光灯の明るさに耐えられない
・特定の音や匂い、感触に大きなストレスを感じる
ADHD傾向の方の困りごと
ADHDは不注意と多動・多弁、衝動的な行動を特徴とする発達障害です。
詳しい原因はわかっていませんが、ドーパミンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質が不足して起こるとされています。
ADHDの特性と困りごとの例は以下です。
主な特性困りごとの例
不注意
・目標に向けて行動中、他の刺激に反応してしまう
・忘れ物やなくし物がとても多い
多動多弁
・職場や持ち場にじっとしていられない
・場に合わないことをしゃべり続けてしまう
衝動的な行動
・思ったらすぐに行動してしまう
・我慢できない
・会議や打ち合わせで話す順番を待てない
LD傾向の方の困りごと
LDは、知的な遅れがないものの、読む・書く・計算の一つまたは複数の学習能力に著しい困難がある発達障害です。
LDの特性と困りごとの例は次のとおりです。
主な特性困りごとの例
・読字障害・書類を読むのに時間がかかる
・文章の一部を読み飛ばしてしまう
・意味のまとまりを理解できない書字障害・メモをうまくとれない
・資料や報告書を書けない
・書く文字が鏡文字になったり、マス目を大きくはみだしたりしてしまう算数障害・計算や集計作業ができない
・レジや会計業務ができない
・時計を読むのが苦手で時間管理ができない
発達障害の特性を活かした適職仕事は?
発達障害の傾向によって得意とする仕事・業務は異なります。
「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」傾向の場合は作業内容が固定化された型にハマったような仕事、「ADHD(注意欠如多動症)」傾向の場合はご自身の興味関心にあった上でミスや抜け漏れが目立たない仕事が良いでしょう。
「LD(学習障害)」傾向の場合は読み・書き・計算のない業務で能力を発揮しやすい傾向があります。
それぞれ具体的な職種や業務内容をあげながら解説します。
ASD(自閉症スペクラム症)傾向の方に向いている仕事・業務
経理
IT関係
事務
ASD傾向の発達障害の人の適職の例として「経理職」が上げられます。
「IT関係」の仕事も適性が当てはまることが多いようです。
人間相手の微妙な頃合いで正解が変わるものではなく、ある程度合理的に仕事が進んでいく、成果物も○×がわかりやすいという点がフィットしています。
「事務作業」も対人折衝が少なければ得意なことが多いでしょう。
ADHD(注意欠陥多動障害)傾向に向いている仕事・業務
クリエイティブ関係
ADHD傾向の方の適職は、ユニークな発想を活かせるクリエイティブな仕事や、その場でやりとりが完結するような業務が得意な傾向があります。
重要なのはご本人の集中力が薄れないこと。
いくつもの業務や役割を同時に任されることよりもその業務に専属で取り組めることも重要になります。
起業家やフリーランスには発達障害、特にADHD傾向のある人が多いと言われます。
確かに起業家にADHDが多いのは実際に調査結果でも出ています。
しかし得意を活かせるものの、営業や経理まで一人でこなさねばならない点では不向きな働き方です。
起業やフリーランスでの働き方を選ぶ場合は、自分の苦手をカバーしてくれるビジネスパートナーや取引先、支援者との協力関係を築くことが何より重要です。
LDの方に向いている職業・業務
接客
クリエイティブ関係
LDの人は読み・書き・計算が苦手ですが、知的能力に障害はありません。
そのため、タブレットやバーコードなどで応対できる接客業なら「凹」の部分が出にくく、社交性があるような人は「凸」が発揮しやすいでしょう。
また、LDの人は視空間(図形)能力が優れている人が多くいるという傾向もあり、実際、美術学校には文字の読み書きが苦手なLD(ディスレクシア)の人が多いという研究結果もあります。
そのため、イラストレーターやグラフィックデザイナー、カメラマンといった非言語中心の職業で才能を活かしているLDの人もいます。
たとえ特別な才能がなくても、読み・書き・計算がない仕事であれば、ハンデキャップを感じることなく働きやすいでしょう。
発達障害の苦手な仕事・業務は?
達障害の方が苦手とする仕事・業務は残念ながらたくさんあります。
「電話応対の多い業務」や同時並行が多く相手の気持ちも汲みながら働くような「接客業務(特にASD傾向の強い場合)」、段取り良くかつ時には話を盛る必要もある「営業」、ミスが許されない「書類の作成業務」などがあげられます。
向いているとされるIT関連でも、調整の役割の多い「SE」や、プロジェクト全体の予算や進行工程、人の管理を行う「プロジェクトマネ―ジャー」といった職種は基本的には避けたほうが良いでしょう。
発達障害の方が苦手な仕事・業務
電話応対の多い業務
接客業務(特にASD傾向の強い場合)
営業
書類の作成業務
SE
プロジェクトマネ―ジャー
「得意性重視の一般雇用」 と 「配慮重視の障害者雇用」
発達障害の特徴の一つとして能力の凸凹(デコ・ボコ)の大きさがあります。その能力の凸凹を踏まえ仕事を探す時には大きく2つの方法があります。
自分のスキルや強みに焦点を当てて仕事を探す方法(凸を活かす)=一般雇用
障害への配慮を優先させて仕事を選ぶ方法(凹を目立たせない)=障害者雇用
1つ目の方法は「一般雇用」の就職活動の時、2つ目の方法は主に「障害者雇用」の就職活動の時に必要な考えです。
どちらの方法を選択するかは医師の診断、心理士による心理検査、専門家による職業適性検査や障害特性の評価などが役立ちます。
「一般雇用」では指摘されたり叱責されたりが多くなります。
いわゆるメンタルが強いことが第一条件になります。加えて何らかの得意が業務で活かせることも条件となるでしょう。
一方で、苦手さをチクチク指摘されることなく安心した環境で働きたい人や失敗を繰り返したくない人は、障害に対する配慮を受けられる「障害者雇用」が良いでしょう。
障害者雇用も仕事の幅が広がっていますので、仕事のスキルが高いと満足できる給与を得られる可能性があります。
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