見出し画像

冷たく澄んだ空に輝くひとつの星のはなし

2022年12月18日の始まり。

わたしが居る場所には冷たい雨が降っていて、星は見えなかった。
5年前の今日はどうだっただろうか。



2017年12月18日の終わり。

その日、わたしが居た場所には雪が降っていた。
公式からの発表が出ても現実と向き合う勇気が無くて、涙も出なくて、鈍く痛む頭が重くて、いつもなら歩いて5分程度の道のりをやっとの思いで帰路を辿ったことばかり覚えている。

自分の足元ばかりが視界に広がっていて
空に星が浮かんでいたかどうかは、思い出せない。



日付が変わった瞬間に言及することには何年経っても慣れないし、わたしには一向に出来そうに無い。
だって、5年前の日付が変わった瞬間、彼は暗い苦しみや葛藤の中でもがいていたかもしれないけれど、もしかしたら笑えていたかもしれないし、間違いなく心臓が音を立てていたはずだから。



"牡丹雪の降った日、歌謡界の美しい星がひとつ落ちた。"

こう表現された彼の最期は、決して褒められたものでは無かったと思う。これほどまでに美しいことばで訃報を伝えられたアーティストをわたしは彼以外に知らないけれど。
世間一般が抱く彼へのイメージは、バッドエンドの物語の主人公なのかもしれない。



でも忘れたくない、忘れられない。

彼の紡ぐあたたかいことばが
どれだけの人々の悲しみに寄り添ってきたのか。
彼の人生そのものであり、彼を蝕んでしまった音楽が
どれだけの人々の心の拠り所となったのか。
彼が灯した光が
どれだけわたしの歩みを照らしてくれたのか。

わたしは身を以て知っていて、今日も救われているひとりだから。




日付が変わったか変わらないかというタイミングで
5年前とは違う場所に立っているわたしの耳にシャッフルで流れてきたのは偶然にもNEONだった。


思わず駅のホームで涙が溢れた。


一報が入ったとき
「光源が明るければ明るいほど、陰は暗い」という言葉がずっと脳裏にこびりついていたけれど
「暗い夜の星のように暗ければ暗いほど光り輝く 暗いほど、より美しいんだ」と彼は歌う。




わたしにとってのNEONはジョンヒョンさんだよ。
暗い夜に浮かぶ美しい星はずっとずっとジョンヒョンさんなんだ。



もう5年、まだ5年。

今もずっと愛おしい貴方の姿は 歌声は ことばは
あの日"落ちた"と報じられた星は
これからも記憶の中で生き続け、柔らかく輝いている。



わたしの夜に輝くひとつの星、ジョンヒョンさん。


暗闇に呑まれそうなとき 決まって貴方の声を聴く。
どんなに暗く寂しい夜でも優しい光を灯し続けてくれてありがとう。


今日も貴方が大好きです、愛しているよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?