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周回遅れの日本

米国は1997年に財界団体が株主資本主義を宣言したのですが、22年後の2019年に今度は株主資本主義との訣別を宣言しました。ところが同じ2019年に日本は22年遅れで株主資本主義を完成させたそうです。アメリカが三方良しに転換した年に、アメリカを追っかけて反対側に行ってた。。

💎米国は株主資本主義から三方良しへ

日本が周回遅れなのはいろいろありますが、今日のは、資本主義に関してです。先日、公益資本主義の講演会を聴講したのですが、なんだか絶望的な気分になりました。。

アメリカでは1970年代半ばくらいから新自由主義が席巻し始めたのですが、それが進展して1997年にビジネスラウンドテーブル(BRT、財界ロビー団体)が「企業は株主に奉仕するために存在する」と宣言して株主資本主義が完成したのですって。従業員のコストはできるだけ減らして株主が利益を総取りするという、現代の封建領主的な制度です。
その頃から日本はアメリカのこの株主資本主義を取り入れ始めました。。

ところが22年後の2019年にアメリカのBRTは、株主資本主義との訣別を宣言しました。これからは、顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、そして最後に株主を大事にすると、宣言したのですよ。これは、日本発の公益資本主義のコピーに近い内容でした。日本はずっと、顧客、従業員、サプライヤー、地域社会を大事にする「三方良し」でしたからね。これでアメリカが日本に追いついてきたと思ったのですが。。

💎日本は三方良しから株主資本主義へ

ところがなんと・・同じ2019年に日本は22年遅れで、会社法などの法律の整備を全て終わらせ、日本で株主資本主義が完成したそうです・・!アメリカが三方良しに転換したその年に、アメリカを追っかけて反対側に行っていたとは・・!いやはや。。

いま、日本の会社法はとんでもないことになっていて、株主が社長を変えられるようになってるそうです。会社の自由度は大きく制限されてしまったそうです。いわゆるアクティビストと呼ばれる株主は、配当を20倍にしろとか、とんでもないことを言うのですが、言うこときかなければ、社長を変えられるというわけです。

また、資本金から株主に配当を出すこともできるようになったり、例えばコロナ禍で航空会社が政府の支援を受けたとしたら、その支援金から配当を出すこともできるのですって・・!税金から株主への配当が支払われることも合法になったということ。。このチャンスに乗じて海外からファンドが日本へ押し寄せており、その結果、東証の売買額に占める海外の割合は7割、株保有に占める割合も3割と、上昇し続けているそうです。

💎格差を拡大し中流層を破壊する株主資本主義

アメリカが突然、株主資本主義との訣別を言い出したのは、国が、社会が、崩壊しかけているからです。
たとえば前回の「ボーイングに見る堕落した株主資本主義」に書いたように、本業の経費は極限まで削減して、会社のお金をただひたすら株主還元に回し、経営者は株主と一緒になって儲け、最後に高額の退職金もらって辞任。2機も墜落してるのに。人命よりお金なんですよ。金持ちがさらに金持ちになる仕組みです。

消費者からはできるだけ多く取り、従業員コストはできるだけ減らし、R&Dに割くお金も減らし、株主への還元を最大化する。それが、「企業価値を最大化する」こととされているそうです。それはまさしく資本主義の矛盾の体現であり、経済格差は拡大し、庶民の暮らしは悪くなり、社会の中流層は破壊され、人々は生きるための競争の中でどんどん排他的になり、治安は悪化します。

💎持続可能な経済へ戻ろう

日本はもともと三方良しの国です。持続可能な経済に長けている日本は、だから長寿企業が世界一多いのです。資本主義は公益資本主義へ戻りましょう。そして「循環する通貨」~ 持続可能なベーシックインカムを実現して社会にお金を回し、持続可能な経済を基盤とする協力型社会を作りませんか。

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