第一話/白鳥のワルツ②【呪いの箱庭】
〈4/白鳥の少年〉
「皆さんご存じの通り、獣の病の罹患者の体は加工を施すことによって魔書になります。生産された魔書の特製は、素体の性質、作り手となった装幀師の実力、及び使用した魔術式など様々な要因が絡み合って決まります。過去に一つの素体を分け合い二人の装蹄師がそれぞれの魔書を生産した結果、全く異なる性質の魔書が生まれたこともあり……」
教授は淡々と授業を進め、まるで活版印刷かのように整った字で板書を進めていく。ルノーは黒板とノートを交互に見ながら紙の上に鉛筆を走らせ、こ