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可能性の発信者 〜「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサー詩歩(Shiho)〜

京都の今を生きるU35世代の価値観を集めたメディアです。
次期「京都市基本計画(2021-2025)」を出発点に、これからの京都、これからの社会を考えます。

「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサーとして活動されている詩歩(Shiho)さん。「絶景」を発信しながら、旅に関する商品や企業・自治体のイベント企画のプロデュース等を手掛けられています。

今回は、詩歩さんが大事にされている価値観「#多様性を知ることで苦手を凌駕出来る」「#私にしか出来ない使命を全うする」「#仕事=自分の存在価値」に迫ります。

新たな挑戦から見えてきた、新しい自分

─── 普段されているお仕事や活動について教えてください。

フリーランスとして「絶景」に関わる多方面の仕事をしています。旅行商品のプロデュースや企業との協働企画、自治体への地域振興のためのアドバイス、SNSを用いた情報発信等を行っています。

「絶景」を仕事にするきっかけとなったのは、2012年に新卒で入社した会社の新人研修でした。「Facebookページを作り、“いいね数”を競い合う」という課題が出たんです。その際に作成したページが「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」で、想像以上に反響が出たことが今に繋がっています。

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─── 6年間、拠点を東京に置き活動されていた中、1年半前に京都へ移住をされましたね。

毎年1つ新たな挑戦をしており、今までは毎年違う国で短期の語学留学をしていましたが、2019年に「東京を出る挑戦をしてもいいかな」と思ったんです。
大学入学時に静岡から上京し、様々な人に会うことで自身の価値観が変わることを経験出来た東京。一方で人との出会い、最先端の情報が溢れすぎている環境でもあり、キャッチアップしなくてはいけないと常に焦ってしまっている自分に気が付きました。

生き急ぐことをやめ、自分にとって100%大事なものだけを内発的に選択するために、東京を出ることを決めました。

京都を選んだ理由は昔から歴史が好きで、それらに触れられる街だからです。そして絶景のお仕事に関わるために、新幹線や飛行機など交通手段が複数選択しやすい利便性を持った土地であることも決め手でした。

環境を変えたことで、忙しい状態に満足するのではなく、自分と向き合い、自由な時間を楽しむことが出来るようになりました。

自分にしか出来ない、オンリーワンの価値を出す

─── 大勢いるフォロワーの方々の声とクライアントの要望を両立させることに、難しさを感じることはありますか?

訪れる土地ごとに歴史や文化、地形などの個性があり、魅力がない場所なんてないと思っています。ただ、私の役割はあくまでも「絶景」を紹介することなので、自分なりの絶景の基準に当てはまらない土地についての発言は控えるようにしています。

お仕事の相談を頂いた時に、「本当に私がやるべきかどうか」を考えた上でお受けするようにしています。私が発信することがクライアントに良い結果をもたらせるのかどうか、しっかり話し合って、内容を決めていきます。

─── 「絶景の発信を続けること」に向き合えるのはなぜでしょうか。

根本に「誰かに必要とされていたい」という思いを持っています。私は0から1を生み出すタイプではなく、1から100に広げることや誰かをサポートすることが得意です。

絶景プロデューサーとしての知見を必要としてくれる人がいる限りは、責任感を持って応えていきたいです。 ある分野でのNo.1を目指すのではなく写真、マーケティング、フォロワー等の持ち物を掛け合わせることでオンリーワンの存在になれました。語学など武器となる持ち物が増えていけば、さらに大きな価値を提供できると思っています。

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多様性を知ることで苦手を凌駕出来る

─── 責任感を持つと、完璧を求めてしまい苦しくなることはないのでしょうか。

周囲を見渡せば、その道のプロはたくさんいます。2020年はYouTubeを始めたのですが、動画撮影や編集を極めようとは思っていません。

海外に出るようになって、強く感じたことが2つあります。自分らしいやり方を大切にすること。そして、周囲と肩を並べて生きる必要はないこと。

上京した時にも、様々なバックボーンを持った人に多く出会い、価値観に正解はないことを知りましたが、それらをさらに超越する価値観が世界にはありました。

国ごとに様々な宗教、文化、暮らしがあります。さらに、旅先では義務教育を受けずにヨットで世界を巡っている人、中卒の写真家等の仲間との出会いもありました。

そのような価値観に触れると「肩を並べて生きなくてもいいじゃん!そんなこと、どうでもいいじゃん!」と思えるようになりました。

─── 詩歩さんの発信により価値観が変わった人は多くいると思います。「絶景」と対峙し続けたことで、詩歩さんご自身に変化はありましたか?

よく「人生が変わった絶景は?」と聞かれることがあります。実は私自身の感覚では、絶景を見て人生が変わるというのはちょっと違っていて。もちろん、人の人生観を変えるほどの感動をもたらす力が絶景にはあると思いますし、そのようなお話を聞くと嬉しく思います。

私にとっての絶景は、一緒に頑張っているパートナーだと思っています。「一緒に頑張っていこうぜ」と。

今までの知見を活かして絶景を紹介することで、まだスポットライトが当たっていなかった地域が注目される手助けになります。絶景をきっかけに、その土地が持つ可能性が広がっていくんです。ただ、地域活性は単発ではなく、継続して活性化することが必要だと思っています。絶景を通して企業や地方自治体の方と一緒に二人三脚で魅力を発信し続けてきました。


今の持ち物で、まずは進んでいく


───「絶景=詩歩」と見られたいのか、それとも他の自分を表現したいですか。

そう思って頂けることは嬉しいです。ただ、正直に今の気持ちをお話すると、最近「私はどのように周囲から見られたいのかな」「やりたいことは何だろう」と悩むことがあります。この仕事を続けていった先に何があるのか、まだ見えていないんですよね。

昔から、何者かになりたい気持ちはどこかにありました。しかし、意図したわけではなく、予想外のタイミングでその時が来てしまった。

この先もずっと「絶景」の人として進んでいくのか、悩んでいます。かといって、それ以外に何かあるわけでは今はないので。

でも誰かが私を必要としてくれた時には100%以上のお返しをしたいという思いは、ずっと変わりません。それが使命だと思っています。

何だか、カウンセリングをしてもらっているみたいになっちゃいましたね(笑)。こんな私ですが、これからも旅の楽しさを発信することで、多様な価値観や可能性と出会うきっかけをお届け出来たらと思います。今日はありがとうございました。

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インタビューを終えて

絶景プロデューサーとしての面だけではなく、詩歩さんという1人の女性の奥底にある思いを知りたくて、お話をお伺いすると見えてきたことがいくつもありました。

その中の1つ、「多様性を知ること」。

コロナ禍において、現地を訪れて多様性を感じることは難しいです。けれども、広い空の下で詩歩さんの本を眺めて見るだけでも、多様性のかけらに触れることは出来るかもしれないと感じました。

今回集まったU35世代の価値観は下記の3つです。

#多様性を知ることで苦手を凌駕出来る
#私にしか出来ない使命を全うする
#仕事=自分の存在価値

<詩歩(Shiho)さんプロフィール>
「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサー
静岡県出身。世界中の絶景を紹介するFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を運営し、SNSのフォロワー数も100万人以上。 書籍も累計63万部を突破、アジア等海外でも出版される。昨今の”絶景”ブームを牽引し、流行語大賞にもノミネートされた。 現在はフリーランスで活動し、旅行商品のプロデュースや自治体等の地域振興のアドバイザーなどを行っている。静岡県・浜松市観光大使。

<詩歩(Shiho)さん関連URL>
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取材・文:中村千波(株式会社リクルートキャリア)

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