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東京国立博物館「イスラーム王朝とムスリムの世界」展

今、東京国立博物館では特別展「ポンペイ」をやっている。
ポンペイは一気に火山灰に埋まったために今から2000年前のものとしては驚くほど保存状態が良く、当時の人々の生活が鮮明にわかるらしい。
これは面白そうだ。

それとは別に特別展「体感!日本の伝統芸能―歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界―」というのもやっている。
日本の伝統芸能にはまったく詳しくないが、こういうふうにジャンルを横断して見せてくれるのは初心者にはありがたいし、なにより普段は公開していない(自分はまだ入ったことがない)表慶館での開催というのが魅力だ。

しかし今日はそのどちらも見ない。
東京国立博物館は広すぎて、本館の常設展(総合文化展)を見るだけでくたくたになってしまうのは経験済みだ。
という訳で、今日は東洋館で開催されている「イスラーム王朝とムスリムの世界」展に的を絞ることにした。

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右手に清水観音堂を見上げ、

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左手に不忍池弁天堂を見下ろして進む。

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この殺風景な風景はそろそろなくなってほしいもの。

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動物園は休園中。

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黒門を拝んでから博物館へ。

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東洋館の地下1階の2室だけでの開催なのだが、充分見ごたえがあった。

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まず、自分がイスラム文化のことを本当に何も知らないことに驚く。
もともと自分が物を知らないことはわかっているのだが、それでも例えば日本の文化ならまあなんとなく日本史で習ったうっすらとした記憶があるし、西洋の文化となるとさらに薄くはなるが、まあルネサンスとか、印象派以降の近代美術とか、ちょっとした引っかかりくらいは無くは無い。
しかしイスラム文化となると、もうとっかかりになるものも皆無である。
空間的にはヨーロッパ南部から東南アジアまで、時間的には7世紀から現代までの1300年くらいの期間。
これだけの広がりのある文化について何も知らないというのも恥ずかしい。

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なんにも知らないのでぼーっと「へえ、きれいだなあ」と見ていただけなのだが、それだけだと書くことがないので、ちょっと思ったことをつらつらと。

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〇イスラーム書道、というのがあるというのを初めて知った。
漢字の書道があり、アラビア語の書道がある、ということは、逆にアルファベットの書道は無いのだろうか。
アルファベットにも飾り文字、っていうのがあるのは知っているし、「カリグラフィー」ってのも聞いたことがあるが、個人の表現としての「書」みたいなものがアルファベットにあるのだろうか。

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〇西洋美術だと聖書のワンシーンは王道の画題だし、アジア美術で仏像の占める割合はかなり大きいだろう。
しかし偶像崇拝が厳しく禁じられたイスラム文化では、聖人の絵も像も基本作っちゃいけないわけで、それが美術の発展にどんな影響があったのか。
抽象的な文様の魅力みたいな方向に進んで行ったのか?

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〇自分がイスラム的な文化・美術のイメージに初めて触れたのは、子供の頃好きだった(というか今でも好きだが)「ナルニア国ものがたり」だったのではないだろうか、と思う。
「ナルニア国ものがたり」にカロールメンという国が出てくる。
ナルニア国の南には砂漠が広がっており、その向こうにカロールメンがある。
砂漠、人々の浅黒い肌、三日月形の剣など、カロールメンはあきらかにイスラム/アラブ的なイメージだ。

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カロールメンは邪悪な神を信仰する狡猾な人々の国で、でも中には良い人もいますよ、みたいな描かれ方で、まあずいぶん失礼な話ではあるのだが、キリスト教色の強い「ナルニア国ものがたり」の中で敵役的な位置にある国、としてはイスラム/アラブ的なものを使うのが自然だったのだろうか?

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今回の「イスラーム王朝とムスリムの世界」は東洋館の地下で開催されていて、1階から上は通常の展示。
「イスラーム王朝とムスリムの世界」もそうだが、東洋館の通常展示も、とてつもない広がりのある世界をぎゅっと凝縮して見せられているようで、そういうふうに思って見るとだんだん頭が追い付かなくてぼーっとしてしまう。

ぼーっとしたまま退場。
今日は本館にも入らず東洋館のみ。

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最近、上野には来るのだがJRは利用していなかった。
すごく久し振りにJR上野駅へ。
話には聞いていたが、道路(横断歩道)を渡らずに駅に行けてしまうのが不思議な感じがする。

駅の手前で国立西洋美術館のそばを通る。

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西洋美術館は今年リニューアルオープンか。

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