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10代〜20代現役社会人と公立学校のマッチングサイトを作った理由

このnoteは、株式会社ユニークと奈良県生駒市との公民連携事業として、10〜20代現役社会人・起業家等と公立学校をつなぐマッチングサイト「試験版 U-29 キャリア図鑑」(2023年3月30日公開)を企画・制作した背景について書いています。

次のようなことをお考えの公立学校の学校教師の方がいれば、ぜひ上記リンク先のサイトと本記事を合わせてご覧ください!

少し長い内容になりますので、下記目次をご覧いただき、ご興味お持ちいただけるところからお読みください。

  1. はじめに 〜広報担当の挨拶〜

  2. この仕組みが解決することとは?

  3. 利用方法について

  4. 利用方法について

  5. 代表メッセージ


はじめに 〜広報担当の挨拶〜

今、このnoteを書いている私は、今回の企画・制作にあたって広報を担当しています。愛知県で教師として勤めていましたが、現在は休職しています。

まずは、私自身がこの民間会社企画のプロジェクトに関わるようになったきっかけと想いを共有させてください。

もともと私はU-29世代のユニークな生き方・働き方を紹介するメディアの一読者でした。

記事を見ているうちに多様な生き方、働き方があることを知り、それぞれの個性が素晴らしいと思いました。皆、自分なりのテーマを突き詰め、磨き、人の役に立っている姿が素敵だな、と。

一方で、私自身の教師生活を振り返ってふと思いました。

これまで私が関わってきた環境はどうだっただろうか。私自身はどうだっただろうか。この人たちのように、もっと多様な生き方・働き方ができたかもしれない。もっと挑戦できたかもしれない。

私はメディア上に紹介された多様に活躍する方々の姿に惹かれたわけですが、「多様」という言葉を思い浮かべた時、反対の岸に思い出されるものがありました。それは、通知表をつけていた頃の(教師時代の)自分の心情です。

私は、「子どもと向き合い、一人ひとりの長所を見つけ、それを伝える毎日を送りたい」という気持ちで教師生活をスタートさせました。

ずっと憧れだった教師になりたくて、晴れて現場に立った教員1年目。小学4年生の40人学級を担当しました。少し理性や感情が不安定な子どもたちとたった一人で向き合っていく難しさを毎日感じつつも、自分が思い描いていたような教師として楽しく、幸せな時間を味わえたことも多くありました。

しかし、どこまでいってもモヤモヤする感情を拭いきれない自分がいました。特にそのモヤモヤを感じたのは、教員になって、初めて通知表を通して「人に成績を付ける」ということをした時でした。

通知表とは科目別に評価が書かれていて、普段の生活態度等にも教師からコメントが書いてある、あの冊子です。ほとんどの方が一度は受け取ったことがあると思います。

生徒が40人いれば40人分の通知表を作成するわけですが、私はこの通知表作成が本当に苦しかったのです。

当時はなんとなく「苦しい」という気持ちを抱えていただけでしたが、改めて今考え直すと何が苦しかったのか、言葉にできるようになりました。

まずは、大好きな子どもたちに対して、大学まで影響を及ぼす「内申点」という数字をあてがう事が当時苦しいと感じていました。

また、所見を書きやすい子(=通知表にある枠の中でその子を表現しやすい)と、書きにくい子(=通知表にある枠の中でその子を表現しづらい)がいる‥と感じてしまっている自分が情けなく感じました。

『国語の読み取りがよくできました』
『体育では、チームの中心となって活躍していました』
『係活動を一生懸命やっていました』

もっといろんな言葉でその子の多様な魅力と可能性を伝えたいのに…。それができませんでした。だんだんと、子どもたちを「通知表に書かれた項目」でしか見れなくなった自分になっていることに気づいた時、そんな自分も怖くなりました。

もっと多様な軸で生徒が考え、喜び、生きていいはずなのに…。


ここまでが今回のシステム企画に関わり始めて思い出した、教師時代の私の葛藤の記憶でした。

私は、今回公開した仕組みがあれば、「子供たちがそれぞれの幸せな生き方を見つけるきっかけになるんじゃないか」「当時の私のような葛藤を抱えている教師がいれば、その方々の力になることができるんじゃないか」と思い、開発に関わっています。もし同じような思いの教師の方がいれば、ぜひこのシステムの内容について、もう少し読み進めてみていただけますと嬉しいです。

なぜ、この仕組みがあると、当時の私の葛藤が解消できるのか。次の段落でまとめています。


この仕組みが解決することとは?

近年、全国の教育現場において、キャリア教育の進化・推進が求められています。

今回の仕組みを開発する株式会社ユニークでは、これまでに中学校・大学での授業の企画・実施をしてきました。一例を紹介します。

🏫「生駒市立鹿ノ台中学校」(奈良県)

オンラインワーク実施の様子

鹿ノ台中学校では、80名の生徒に対して、3回にわたり授業・ワークを行いました。

1回目:当サイトに掲載されている記事を読んで感想文を執筆する授業
2回目:クラス内で数人一組になり、互いのユニークな部分を引き出し合うワークショップ
3回目:当サイトに掲載されている15名の取材先に対して、オンラインインタビューを行い、記事制作。WEBメディアの仕事を体験する授業

こちらのプレスリリースを見ていただくと、授業の様子と教師の皆様のコメントをご覧いただけます。この取り組みは、地元TVメディアからも取材を受け、注目されました。

授業の様子については、生駒市立鹿ノ台中学校の公式アカウントのそのほかの投稿   からもご覧いただくことができます。


🏫「清和大学」(千葉県)

ワークショップ実施の様子

清和大学では、同じゼミの学生15名に対し、授業・ワークを実施しました。

互いにこれまでの経験をインタビューし、ユニークな部分を見つけあうワーク。インタビューを通して見つけた相手のユニークな部分をカードに書いて、プレゼント。

コロナ禍でオンライン授業が主流となり、繋がりが薄くなっていた学生同士の関係性を深めるきっかけとなりました。また、他者からの意見を受け、学生がそれぞれに自身の強みや経験を言語化する機会にもなりました。

ワーク中の学生の様子

こうした授業を通して、学校外にある情報やアイデア、ネットワークを活用し、学生や生徒のユニークな部分を引き出すことを繰り返してきました。そうした過程で、教師の皆様の生の声に触れる機会が増えました。

『子どもたちが将来の多様な働き方や生き方を学ために、自分の人脈だけではなく、もっと多くの社会人の話を聞く機会を作ってあげたい』

『小学校や中学校時代に(生徒・学生自身と)同じような体験をした社会人の話を聞かせてあげたい。きっと子どもたちにとって勇気になると思う』

△実際に聞いた現役教師の声

『社会の変化が激しい中で、今リアルな環境や情報を子どもたちに届けたい。リアルタイムな情報を持っている年齢、世代の若い人たちをゲストに招くことができれば、それができる』

『社会人の方々と協力できれば、そういうことができるかもしれない。協力いただける方が身近にいればいいのに出会えない、知り合えない、協力を依頼できないことが悩みだった』

△実際に聞いた現役教師の声

この生の声を聞いたところから、わたしたちにできることを考えました。

まずは、私たちがこれまで取材等で得てきたネットワークの一部をシェアすることができると考えました。ユニークな生き方・働き方をしているU-29世代の現役社会人や起業家等を900人取材してきた私たちが協力すれば、若手の現役社会人や起業家等を教師の方々と繋ぐことができます。

そのアイデアを教師の方に伝えたところ、「生徒と年齢が近い方々に協力いただける点も、非常に嬉しい」とコメントが返ってきました。詳しく聞くと、「年齢が離れた社会人、有名人の話はとても有意義なものではあるが、生徒たちからは距離が遠く感じられてしまう。この人だからできた話だもんね…となってしまうことが少なくない」とのこと。

こうした道のりを経て行き着いたのが、「生徒と世代が近いU-29世代の多様生き方、働き方が載った図鑑を作る。全国の教師の方が気軽に見ることができ、気になった人がいれば登壇依頼ができる」という今回の仕組みでした。

生徒の生き方の可能性を広げるものであることはもちろん、生徒の将来を心から思い、願う教師の皆様の力にもなり得ると考えています。


利用方法について

私たちにとっても初めての取り組みのため、まだ多くの事例があるわけではありませんが、想定される利用方法についても書かせていただきます。

📌ケース①

「同じ出身県から巣立ち、活躍している人の話を聞かせてあげたい」

掲載者全員の出身地・在住地を登録しています。プロフィールを見れば、同じ出身県の掲載者を探し、登壇依頼ができます。同じ出身地から羽ばたいた若者の話は、学生・生徒に「自分にもできるかも…」という小さな勇気をもたらしてくれるはずです。

📌ケース②

「学生・生徒には、今後迎えるであろういろんなピンチに屈しないたくましさを培ってほしい」

記事のタイトルや内容から、学生時代に経験した挫折の数々とそれを乗り越えたリアルな話を読み取ることができます。それらの話を学生・生徒に届けることで、よりリアリティのある将来像を描くために必要な情報をもたらすことができます。

📌ケース③

「今後成長が期待される新しい産業に触れさせてあげたい」

掲載者全員の所属業界を登録しています。記事も合わせて読んでいただくことで、テレビや新聞等で話題の業界で働く人を見つけることができます。その方の話からタイムリーな話題とエピソードを学生・生徒に届けることで、働くことへの興味を育むことができます。


代表メッセージ

株式会社ユニーク 代表取締役 山崎 貴大

「この奈良県生駒市との公民連携事業を始めるにあたって3つの想いがありました。

1つ目は、自分が子どもの頃にこんな機会がほしかった…ということ。高校、大学の進路選択を迫られる前に、当時こんなシステムがあればいろいろな生き方・働き方に触れ、選択肢を増やしておくことができたと思います。

2つ目は、有意義な偶然の出会いを作り出したかった…ということ。29歳までの間、私は度々予期せず知り合った方々との出会いに救われ、気づきをもらい、それが成長の糧になりました。リアルな出会いだけではなく、メディアに取り上げられるアスリートや社会人が話す姿もまた、将来を考えるヒントになりました。そうした出会いを、より多様に、より身近に実現したいと思っています。

そして、最後に……教育に関心がある人、教育業界に協力したい人がたくさんいることを現場の先生に伝えたいと思っています。教育現場で働いていると学校関係者以外との接点が少なく、ふと孤独を感じることがあると聞きました。社会人経験がないことをコンプレックスとして抱えている人がいるとも聞きました。

そうした方々はご存じでないかもしれませんが、「自分を育ててもらった教育現場に恩返しがしたい」「協力できることがあれば、今の世代の子供たちのために貢献したい」という若者はたくさんいるんです。そうした若者の多くは、「学校生活の中で培った知識、経験が社会人になってからも糧になっている」「教師の道を志したが、実際に教育現場に就職することができなかった/違う進路を選んだ」という人たちです。きっかけさえあれば、協力・貢献したいと思っている人は多くいるんです。

今回のサイトも、「現在も教育現場に関わる仕事をしている」「今後教育現場に協力・貢献したいと思っていた」と話すメンバーが集まり、作り上げました。普段は在住も所属も異なるメンバーが同じ思いのもとに集まり、3ヶ月間で試験版を完成させました。

教師の方々には、学校の外にも多くの味方がいることを知っていただきたいと思っています。ぜひ、この機会にこのサイトを使ってみていただけますと幸いです。


開発協力への御礼

今回の仕組みは、下記のようなパートナーの存在のもと、完成いたしました。この場を借りて、ご紹介させていただきつつ、御礼を申し上げます。

👤 生駒市立鹿ノ台中学校(実践校)
👤サイト開発メンバー


リンク

U-29 ドットコム

Twitter

プレスリリース


奈良県生駒市 「生駒市協創対話窓口」


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