魂の代弁者

隙間を縫って収録してきた。21日放送分。

何で歌手って存在しているのかな、と根源的な質問を自らに投げかけたところ、やっぱり感情を代弁してくれているからなのではないかと思い当たる。
自分でやってみたかったとしてもできないこと、それを代わりに実現してくれている人に憧れもするし親近感を覚えることもあるかもしれない。普通に生活しているだけでも溜まっていく蟠りだったり不条理な経験を、むしろエネルギー源として逆に活用し昇華してくれる。そんな体験に心惹かれるからなのだろうと思う。スポーツでも同じことが起きているのかも。あんな動きはできない、あのような活躍なんかできるわけがない。でもそれを現実にしてしまう選手がいる。そこに爽快感を覚える。
あんなふうには歌えないけれど、その歌声を聴くとまるで自分の代わりに表現してくれているように、ある意味で錯覚する。そういう歌を見つけると、感謝すらしたくなる。自分の気持ちを肩代わりしてくれるような歌であり演奏を聴きたいし、もっと見つけたい。
そもそも、どんな小さなことであったとしても、その人にしかできないことが才能であり、それは周りの人たちから仮託されている能力なのかもしれない。「私にはできないから、代わりにそれやってくれる?」と。歌は傍目にも分かりやすいからこそ歌手という職業が存在しているのだろうけど、仕事にならなかったとしても、そういう自分にしかできないであろうことは大切にして一生続けていけばいいのだと思う。

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