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「本づくり」ここだけの話

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テーマは「編集者の本音」。読者や著者の方にわざわざ伝えるほどではない。けれど、じつは大切にしていることを書きました。参考になるかもしれませんし、ならないかもしれません。
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#企画

「売れる本づくり」という呪い

のっけから、ツッコミが入りそうなタイトルである。 ここ最近、ずーっっと、もんもんと考えていることについて言葉にしてみる。 出版業界で「売れる本をつくる」というのは、華々しいことだ。Jリーグでいうと、ゴールを決め、得点ランキング上位に入るようなもので、その結果をもって、待遇が上がったり、上位チームに引きぬかれたりもする(ステップアップ)。そもそも担当本が「ベストセラーになる」とは、著者・制作スタッフ・販売すべての関係者の、その努力が報われる、すばらしい瞬間であり、めざすべき

企画は「熟成タマゴ」のように考える

苦労した話から。 書籍の編集を始めた頃、企画の深め方も、タイトルのつけ方もいまいちわかっていなかった。タイトルを100個くらい書き出してみるのだが、どれもピンとこない。最終的にはダーツで決めた(くらいの感覚だった)。目の前に心惹かれる素材(著者のメソッド)があるのに、その最適な届け方がわからないのだ。 これって、その渦中にいると相当しんどいんですよね。 外部の「見えている人」からするとこうすればいいのに!ってすぐわかったりするのですが、考えているつもりでも、まったく答え