事務処理と金銭管理-直面した親の介護 vol.10

この3ヶ月ほどの間、どれだけの書類に、両親と自分の名前、住所、電話番号、捺印をしたことだろう。実家と自宅の住所・電話番号の一部が似ているので、何度も書いているうちに混同してしまうこともあった(汗)。
今回はそんな事務処理とお金のことについて触れたいと思う。

保険給付金の申請

母の入院費を少しでも軽減するため、かけている保険があれば給付金を申請することは考えていた。
最初は退院して落ち着いてから申請すればいいかなと思っていたけれど、たびたび実家に行かなければならない用件があったため、仕方なくカオスな引き出しから保険証券もしくは保険会社から届いているお知らせなどを漁った。
そして使えそうな保障がついているものをピックアップし、片っ端から保険会社へ電話をして給付金申請に必要な手続きを聞き、契約内容の確認をした。(ちなみに、この問合せの際、娘であるわたしが問合せをしてもまったく問題はなかった。)
ところが、ある保険会社とのやりとりで、

事故(怪我)が起きたらすぐに連絡をする

必要があったことがわかった!(問合せしたときはすでに怪我をした当日から3週間程度経っていた)
疾病による入院や手術の場合はどうかわからないけど、少なくとも怪我の場合はそうらしい。
とはいっても、だから受付ませんということではなく、「実家の保険証券の在り処がわからなくて時間がかかりました」と正直に言うと、そうでしたか、とあっさり受理された。
怪我をした日時、場所などの状況説明と、現状の入院状況、今後の予定を説明すると、必要な書類をすぐに郵送で送ってくれる。

入院先の領収書のコピー添付はマスト。退院後、請求書が届くのを待ち構えて速攻コピーを数部取っておく。
保険会社によっては診断書が不要なケースもあるけど、基本、診断書もマストなので、退院後速やかに受け取れるよう、病院に依頼しなければいけない。
診察券のコピーが必要という保険会社もあった。退院時まで診察券を渡されないので、これも母の退院直後、コピーを数部取った。
父の保険で配偶者までカバーできるものについては、父に書いてもらわなければいけない書類があった。
父はずっとショートステイに預けていたので、外出させるついでの時に、カフェで父に書類を書いてもらった。
そういうときのために、わたしは

・両親の保険証(コピーも数部とっておいた)
・念のため、実家に届いていた直近の公共料金(ガス・電気)の領収書
・両親の診察券各種
・旧姓、現在の姓の印鑑
・戸籍謄本
・筆記用具

を常に持ち歩いていた。
いつ何時、病院や施設から呼び出しがあるかわからないし、その時必要なものがないと、また別の日に時間を取らなければいけないのが嫌だったからだ。

みなさんご承知のように、医師の診断書は高い。特に保険会社指定のフォーマットでお願いすると割高に設定されている。
各保険会社は”共済会や他保険会社のフォーマットの診断書のコピーでも可”ということになっているが、逆に、”共済会は共済会のフォーマットの診断書の原本”でないとNGだ。
なので、まずは共済会のフォーマットを取り寄せ、そのフォーマットで診断書をそれぞれ依頼(今回は2病院)し、他保険会社はそのコピーで申請するのが得策といえる。

余談だが、父はがん保険をかけていて、前立腺がんと診断された時に、両親は給付金を申請しようとしたらしい。でもどうやって申請すればよいのかわからず、結局保険を使わなかったというのだ!!!もったいない・・・。
でも、これが高齢者の現状だと思う。

ショートステイの契約

母の入院が緊急だったため、当初、父のショートステイ先は綱渡り状態だった。最終的に4ヶ所の施設にお世話になった。その度にわたしが施設へ行き、契約書等にサインをしなければいけない。
さすがに4ヶ所目の施設の方は「もう4回目ですもんね。重要なところだけご説明しますね」と契約書の説明をだいぶ割愛してくれたくらいだ。

今回のようなケースはレアケースかもしれないけれど、正直、これだけのボリュームの事務仕事は高齢者には無理だろう。子供が引き受けざるを得ない。
ところで、わたしは自分で車を運転して現地へ行ける(施設はたいてい駅から遠い場所にある。畑の真ん中の車1台しか通れない道とか運転するのとかすごくストレスだった。)けど、例えば高齢夫婦のどちらかが手続きをしなければいけない場合は、現地までケアマネさんが連れて行ってくれたりするのか???

郵便物

保険会社からの書類や、施設・病院からの請求書を郵送してもらうたびに、実家の郵便受けをチェックしに行くわけには行かない。
わたしの自宅宛に郵送するよう対応をお願いしたけれど、うっかり実家へ送られてしまうケースもあった。
そこで、郵便物問題に関しては妹が知恵を貸してくれた。
一時的に、実家の郵送物をわたしの自宅へ転送する届けを郵便局に出すのだ。
”お届けの住所が違っていて郵便物が戻ってしまいました”という、厳格な郵便物も一部にあったけど(銀行関係)、ほぼ、これでわたしの手元に必要な郵便物は届くようになった。

実家の金銭管理

入院直後、しばらく実家が空き家同然になることを母はとても心配し、実家の通帳、印鑑類をすべて預かっておいてほしいと頼まれた。
母から聞いた通帳・キャッシュカード・印鑑の在り処が、実家のあちこちに散らばっていて、すべてを探し出すのは苦労した。
でも結果として、それらを預かり、両親の生活におけるお金の流れがわかってよかったと思う。

年金がいくらなのか
介護保険料がいくらなのか
生活費(固定費)がいくらなのか


それを知ることで、

今あるお金をどれくらいまで長持ちさせられるのか
枯渇したら、わたしと妹がどうサポートするのか


ということも考えておかなければいけない。
これについては、妹とも情報(の概要)を共有した。

母の入院費以上に費用がかさんだのは父のショートステイ代だった。
ケアマネさんから当初2ヶ月間の概算金額を聞いた母は、予想以上の金額に驚いて眠れなくなったらしい。

・母の入院費
・両親それぞれの細々とした物品の購入費
・父のショートステイ代

これらはすべて一旦、わたしが立替て支払っておくことにした。
妹は金銭に関する考え方がしっかりしているので、かかった費用は全て、細かくつけておいてねと言ってくれていた。姉妹間でうやむやにならないのは有り難い。
(たとえば、通常わたしのスマホの通話料は、基本料金を超過することがないのに、母の入院中は通話料だけで3,500円くらい増えていた。そういったものも入院中にかかった費用として挙げておいてねと言ってくれていた。)
レシート・領収書はすべて月ごとに分けて保管し、Googleスプレッドに入力して妹と情報共有した。
病院・施設からの請求書、領収書はPDFにして、妹とのコミュニケーションツール(Slack)上で共有した。

現金で支出したものについては、両親が毎月の生活費に充てている金額分を預金から引き出し充当した。
母の入院費は、いずれ保険の給付金が支払われるので、母自身の預金から引き出し支払った。
残るクレジットカードで購入した分と、父のショートステイ代についてはどうするか、まだ未定だ。

思ったこと

自分で言うのもアレだけれど、わたしは極めて事務処理能力が高い。加えて無駄が大嫌いだ。
書類の確認は怠らないし、いかに効率的に必要書類を集めるかについては、高速フル回転で脳を使ってスケジューリングした。
仕事を休める日は限られているし、その休みの一日に最大限、複数案件をこなさないといけなかったからだ。
日常的に両親、病院スタッフ、ケアマネさんとの様々なやりとりをしながら、同時並行でこれだけのスケジューリングをしてこなした自分を、本当に褒めてやりたい。
しかし正直、30年後の自分が同じことができるという自信はない。
子供がいない場合、こういうことは誰に頼めばいいのだろうか?ましてや、自分が認知症になったら、誰に頼めばいいどころの話ではない・・・。

余談だが、母は入院中、同室の患者さんの娘さんが毎日顔を出しに来るのに、自分の娘は最低限しか現れないことをちょっとひがんでいたようだ。(妹談)
でも考えてほしい。もしかしたらその娘さんは、毎日お母さんの様子を見に来ることはできても、金銭管理や事務処理はてんでダメで使えない人だった”かも”しれない。
こちらは毎日顔を出さなくても、見えないところで面倒なことをきっちり済ましているんだから、感謝こそされても、ひがまれる理由などない。
母のそういうところに腹が立つ。

お金のことに関しても、正直両親は恵まれていたと思う。
わたしも妹もフルで仕事をしているので、それぞれ夫に断らなくても自由になるお金は多少ある。
夫の扶養になっている妻たちは、自分の実家でこうしたことが起きた場合、自分の貯金を取り崩しているのだろうか?
そもそも自分自身の独立した貯金がない人は、どうするんだろうか?
夫が家計管理をしている場合だったら、夫にお願いしないといけない人もいるだろう。
学費がかかる子供がいたら、当然、優先するのは子供への出費だと思う。
それを思えば、両親は支払いができるかどうか心配する必要は全くなく、わたしや妹の配偶者に心苦しい思いをすることもなかったのだから、呑気なものだ。
請求している保険給付金がすべて振り込まれたら、清算できるものから清算して、清算しきれなかった金額は妹と相談することになっている。

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