河童42

「儂らはかかわりあいになりたくねぇ、だからこれで帰らしてもらう」
男が年寄りたちを促し立ち上がろうとする。
「待っていただきたい」
坊主が立ち上がろうとする者たちを引き留める。
「あなた方の言いたいことはよく解る。しかし何か知恵を貸してもらえないだろうか。この通り」
坊主は膝を揃え百姓たちへと頭を下げる。
坊主の態度を見ずに持ってきた荷を広げ、社の奥に酒と食物を並べ始める。
並べ終われば素早く風呂敷をたたみ坊主たちに向き直り、
「儂らはこれで」
軽く頭を下げ社をあとにしようとする。
その背中に向かい康介が足を止めさせる疑問を投げ掛ける。
「皆はここに入り荷をほどいた。・・・ならば儂らに荷を届けたように見えるのでは。河童どもにしてみれば敵に思えるのでは」
百姓たちは足を止めお互いを見回す。
若い男が、
「そんなこともあるまい」
言葉と同時に年寄りへと確めるように顔を向け頷いてくれるのをまつ。
年寄りは不安げな顔で黙りこむ。
「まさか、・・・どうなのだろうか」
不安の色は隠せない。
坊主が「うん頷く」
「明るくなってからお帰りなさい。話を聞く限り河童どもは夜にしか動かぬようだ。それが良い、河童どもも殺気だっている」
坊主の忠告に若い男が年寄りに向かい。
「いやいや、ここに長居をすれば本当に仲間と思われる。早くここを出よう」
年寄りは腕を組み「うむ」と考え込む。
「帰ろう。帰るとしよう。帰ったが良い。」年寄りは勢いづいて云う。
「儂らだけの問題じゃない。辺りの村全ての問題だ。お坊さんがたには悪いが、儂らは関わるわけには。帰ろう」
年寄りは言い終わると同時に一歩を踏み出す。
そして立ち止まり振り返り、
「どうか恨まないでいただきたい」
不安をかきたてるだめ押しのような礼儀を置いて歩き出す。
すでに他の者は社から出ている。
最後に社から出る年寄りに、
「いやいや、待ったが良い。河童どもはいらだちが治まってない。ここに留まるのが善いはずだ」
坊主の言葉を無視するように、男たちは社からでてゆく。年寄りは立ち止まり、
「河童の腕は、奥にお願いします」
そのまま戸を閉め濡れた足音とともに消えていった。
「うむ」
坊主と康介は腕を組み言葉なく座り考える。
娘は血の気をなくした顔でうつむき座っている。
その姿を目にしなければ居るか居ないか解らないほど気を失せている。重く苦しい空気が蔓延し漂っていた。

早い。ことが始まり今に至るのが早い。
坊主が社にいると、康介が血の臭いをさせて現れる。
そして次には、坊主が娘を押さえ込む。そして不気味な生き物が社の戸口に現れる。

自分とか周りの友人知人とか、楽しめるように使います。何ができるかなぁー!(^^)!