河童50

「だから襲われたと云っておるじゃろう。」
年寄りは仮定の話を許しそうにない。
「うむ、話を聞くに河童だ」
河童の存在をはっきりと認めたと伝える喋り。
皆の顔を見渡し。
「今日のことで、また争いになるのか。」
皆は黙り、平太爺と回りの年寄りを見回す。
見回された年寄りの一人は、平太爺に視線を向け、
「落とされた腕は本当か」
確かめる。
「ああっ確かに。旅の娘さんが落としたみたいだ」
ポツリと答えると。
「女が落としたのか、坊主や若者じゃなく」
皆が驚き聞き返す。
「うむ。」平太爺は静かに答えるだけで、それ以上口を開けなかった。
皆が河童の腕を落とした娘の話をしていると、荷物を背負って社にいた男が、
「娘のことはこのさいどうでもいい、うまくやって来た儂らまで、今夜のことで争う相手になってしまったかもしれんと云う事だ。昔馴染みのじい様もやられている。この先のこと考えたがよいぞ」
不安この上ない顔で、皆に訴える。
年寄り平太も不安な顔で、
「昔馴染みと云っても幼き頃に関わりがあっただけで・・・。それに昔はとなり村の山男たちがいた。となり村の者たちは元は侍の血筋。天下分け目の戦で村全部でどこそこに召し抱えられていった。豪胆で知恵があったが、今はどこも昔ながらの百姓だらけ、何も統率がとれているわけでなし・・。」
皆が静まる。
静かなまま長老は呟く。
「しようがねえ。今まで皆でうまく乗りきってきた。これからも皆で協力して知恵だそう。」
頷き決断が早いのは若者だった。
「やるしかない」と一人が立ち上がると、
「そうだっ」
「それしかない」
「河童たちは儂らの村の者を襲った」
騒ぎ出す。
「そうだな。やるしかないだろう」
そこそこの人生を過ごした大人が賛同する。
「やるしかねぇ。こうなったら村の平和のためだ。今まで協力してやって来た。」
少しの興奮が起こる。
「やろう。ヤロウ」
意識が一つになりかける。
が、冷静な村人もいて、
「しかし、やるしかない。と、云っても何をやるんだ。」
申し訳なさそうに周りを見渡し、
「儂らは・・・百姓。争いは得意の外だが」
現実だけを見ている幾人かは
「うっ」
尻込みしたように下を向いたまま、周りの流れと反対の意見をいってみた。

自分とか周りの友人知人とか、楽しめるように使います。何ができるかなぁー!(^^)!