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起き上がろうと手足を動かすと身体がきしむ。 腰と脚に激痛が走った。 動くに動けない。痛みの…
康介は足音に首を向け、目を細めて足音の主を確かめる。 幾人かの百姓女のようだ。 「何ごと」…
落ち着いて首を右手で触れる。それがきっかけで生首の目玉が動いた気がする。 「ウッ」 少し驚…
「うっっ」 だからと言って、眼から目を離せずにいる。 ぶら下がる首へと、語りかけたいが言葉…
引きずる亡骸が重いのか、体は傾き歩いている。 若く愛らしかった娘の姿も、河童の亡骸のよう…
「人・・・ひと。儂が必死になり・・・人だったか。」 自分が必死にやったことを想像して思考…
イビツな頭と黒い目玉がこちらを視ている。娘の眼を。 その黒い目玉と見つめあい、声も出せずに、心臓以外の動きを止めている。 それはゆっくり動き、髪がまばらに生えた頭をすべて見せ、社の中へ這いこんでくる。 低く構え不器用な四つん這いの構えでゆるりと社にはいってしまう。 不器用なはず。 片腕がない。 その目は娘を見つめたまま離さない。肘から先のない腕は感覚がないのか、だらりと肩から垂れ下がり床に摺ったままだ。 「ひっ」心臓が痙攣でも起こしたように声とも呼吸ともつかない音を出す娘め。
坊主は背中に大樹をつけ、刀を目の高さで前方に構える。 大きく息を吸い込みそしてゆるりと息…
「いる。確かにいる。」 それが解る。 感じているのは殺気、闇の中に観えているのは影だった。…
坊主は怒鳴る。 「ならば覚悟だ。」 叫んで決意を我が身に畳み込む。 坊主は康介の傍らにある…
坊主の姿に康介が近寄ろうとするが、我が身の不自由が腕だけを伸ばしてゆく。 「坊主どの」 そ…
「静かだ」坊主は呟く。 外には風の音。 雨はやみ雲が星の微かな光をもを遮る。 落ち着かせて…
康介は坊主が策を話し始めるだろうと黙り待っていると。 「無いのならばやってみる」 康介と娘…
「今更尻込みしてどうする。河童どもはもう動き出したぞ。田の世話が忙しくなる前にかたをつけたがいい。ここは戦の害も少ないし、戦があれば男手は道造りだ何だと駆り出される。 そうなると儂らの村は、戦と河童でどうにもならん。」 血の巡りのよくなった男が一人正論をまくし立て皆の士気を高めてゆく。 そうなるとやる気のある男たちは、 「そうだ。やろうやろう」 騒ぎ始める。 「よし、そうと決まれば早いがよい。早速皆で得物をもって出ていこう」 年寄りになった平太と幾人かを置いて皆がそれぞれに散