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新型コロナウイルスに有効か?

大村氏のイベルメクチン、新型コロナに効果米ユタ大が報告

抗寄生虫薬のイベルメクチンを新型コロナウイルスの患者に投与したところ、投与していない患者に比べて死亡率が約6分の1に低下したとの報告を米ユタ大学などの研究チームがまとめた。重症化した患者にも効果があったというが、治療に使うにはさらに確度の高い試験が必要としている。


イベルメクチンは2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授が開発した。アフリカなどで寄生虫による感染症の撲滅に効果を上げている。


研究チームは、20年1月~3月に治療を受けた新型コロナウイルスの患者約1400人を調査。北米や欧州、アジアの169の医療機関でイベルメクチンを投与された約700人の患者と、投与されず別の薬などによる治療を受けた約700人の死亡率を比較した。

その結果、イベルメクチンを投与していない患者の死亡率は約8%だったのに対し、投与した患者は約1%と低かった。人工呼吸器が必要な重症者の死亡率をみると、投与していない患者で約21%だったのに対し、投与した患者では約7%だった。

研究チームは、今後はランダム(無作為)化比較試験と呼ぶ信頼度の高い試験を進め、治療効果が確実かどうか確かめる必要があるとしている。

北里大学・大村智記念研究所の花木秀明センター長は「これまでのイベルメクチンの通常の投与量とほぼ同じ量で、死亡率が大きく下がる結果が出たことに驚いている」と話した。

日本経済新聞 2020年4月27日より抜粋

では、イベルメクチンとは

イベルメクチン(英: ivermectin)は、マクロライド類に属する環状ラクトン経口駆虫薬。腸管糞線虫症の経口駆虫薬、疥癬、毛包虫症の治療薬でもある。商品名はストロメクトール(日本ではMSD社製造、マルホ社販売)。放線菌が生成するアベルメクチンの化学誘導体。静岡県伊東市内のゴルフ場近くで採取した土壌から、大村智により発見された新種の放線菌「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」(Streptomyces avermitilis)が産生する物質を元に、MSDが創薬した。

線虫のシナプス前神経終末において、γ-アミノ酪酸 (GABA) の遊離を促進することにより、節後神経シナプスの刺激を遮断する。吸虫や条虫では、末梢神経伝達物質としてGABAを利用しないため無効。イヌでは、犬糸状虫症の予防のために使用される。犬糸状虫のミクロフィラリアが血中に存在しているイヌにイベルメクチンを投与すると、ミクロフィラリアが一度に死滅し、発熱やショックを引き起こす場合がある。したがって、イベルメクチンを予防薬として使用する際は、犬糸状虫の感染の有無を検査する必要がある。同効薬として、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、マデュラマイシンがある。

また、スピノサドと共用したり、コリー系に使用する事は、ミクロフィラリアが存在しなくても、上記のことを引き起こすことがあるため、イベルメクチンは使用禁止となっている。

作用機序
イベルメクチンは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Cl−チャネルに特異的かつ高い親和性を持ち結合し、Cl−に対する細胞膜の透過性を上昇させる。これにより、Cl−が細胞内に流入するため神経細胞や筋細胞の過分極が生じ、寄生虫が麻痺を起こし死滅する。

医療
日本では、診療報酬適応疾患として、腸管糞線虫症、および疥癬がある。糞線虫では2回、疥癬では1回服用できる(一般論としては、孵化していない虫卵に対しては効果がないため、2回服用が好ましい)。2回内服する場合は1 - 2週間空ける。旋尾線虫によるcreeping disease に効果があったとの報告もある。

重大な副作用に、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)がある。

ヒト体内における薬物動態
イベルメクチンはクリアランスが極めて低く、また血中イベルメクチンの93%程度はアルブミンと結合している。肝臓で代謝を受けたイベルメクチンはヒドロキシル誘導体となるが、これら誘導体の水溶性は低く、ほとんど尿中排泄されない。

このような化学的・薬理学的性質から、血中半減期はかなり長く(およそ47時間程度)、なおかつ上記の通り、致命的な副反応はほとんど見られないために、臨床上大変有用な薬物である。また、経口投与後のイベルメクチンは、脂肪細胞と肝臓細胞に局在する。そのため脂溶性が著しく高いと予想され、すなわちBBB(血液脳関門)を容易に通過できるはずであるが、実臨床において中枢神経系の抑制を示すことは殆どない。

これは、脳血管内皮細胞に発現しているタンパク質である、P糖タンパク質(MDR1)によるイベルメクチンの細胞外汲み出し機能によると考えられている。仮にBBBを通過した場合は、グルタミン酸作動性Cl-チャネルと比較して、強度1/100程度のGABAA受容体作動性を示すので、寄生虫感染などでBBBの破綻した患者への投与は避けるべきである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋

薬の効果と作用機序

糞線虫やヒゼンダニなどの寄生虫に作用し麻痺をおこして死にいたらせ、腸管糞線虫症や疥癬などを治療する薬
腸管糞線虫症や疥癬は寄生虫によりおこる感染症
本剤は糞線虫やヒゼンダニなどの無脊椎動物の神経・筋細胞に作用し麻痺をおこす
本剤は駆虫薬(寄生虫を殺したり体外へ排出するために用いる薬の一種)となる
本剤はフィラリア(犬糸状虫症)の予防などで使用する場合もある
詳しい薬理作用

腸管糞線虫症は糞線虫による感染症で、無症候性の場合もあるが、腹痛、吐き気などの消化器症状、移行する幼虫に対するアレルギー反応により蕁麻疹などの皮膚症状があらわれる場合もある。また重度の感染においては粘膜からの出血や咳、喘鳴などの肺症状などを引き起こす場合もある。

疥癬は皮膚にダニの一種であるヒゼンダニが寄生しておこる感染症で、場合によっては皮膚に激しい痒みなどがあらわれることがある。

イベルメクチンは無脊椎動物の神経・筋細胞におけるシグナル伝達物質である塩化物イオン(Clー)の通り道であるClチャネルに結合する。これにより神経又は筋細胞の過分極がおこって寄生虫が麻痺をおこし死に至るとされる。本剤は腸管糞線虫症や疥癬、フィラリア予防などに使用する薬剤であり、駆虫薬(寄生虫を殺したり、体外に排出するために用いる薬の一種)となる。また患者の体重によって薬剤の投与量(服用量)が異なったり、感染症の種類などによっては2週間間隔で服用するなど注意が必要となる。

主な副作用や注意点

消化器症状
下痢、食欲不振、便秘、腹痛などがあらわれる場合がある
皮膚症状
痒み、発疹などがあらわれる場合がある
頻度は稀だが、そう痒の一過性の増悪、中毒性皮疹などがあらわれる場合があり、異常が認められた場合は医師や薬剤師に連絡するなど適切に対応する
肝機能障害
頻度は稀だがあらわれる場合がある
倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気などがみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
一般的な商品とその特徴

ストロメクトール

イベルメクチン製剤
患者体重毎の1回当たりの投与量(本剤は通常、体重1kg当たりイベルメクチンとして約200μgを1回の投与量とする)
体重15〜24kgの場合:本剤(3mg/錠)を1錠投与
体重25〜35kgの場合:本剤(3mg/錠)を2錠投与
体重36〜50kgの場合:本剤(3mg/錠)を3錠投与
体重51〜65kgの場合:本剤(3mg/錠)を4錠投与
体重66〜79kgの場合:本剤(3mg/錠)を5錠投与
体重80kg以上の場合:体重1kg当たり(イベルメクチンとして)約200μgで投与量(錠数)を算出

メディカル処方薬事典より

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