📚2022年本屋大賞ノミネート10作品を読破したのでご紹介!
どうも、「たり📚✨」です。僕は『HAKUNA』というアプリで毎日ラジオ配信しています。
少し前に『📚2021年に読んで面白かったおすすめ小説ベスト7』という記事を書いたのですが、想像以上に多くの方に読んでいただけてとても嬉しかったです。ありがとうございます!
今回は2022年本屋大賞ノミネート作品をすべて読み終えたので、4/6の大賞発表の前に、自分なりのランキングを発表したいと思います。
ちなみに、僕は本屋大賞が大好きなのです。「面白いから」という理由ももちろんありますが、大好きな1番の理由はノミネート作品の多くが「優しいお話」だからです。
本屋大賞には「全国書店員さんが今いちばん売りたい本」が選ばれます。そんな本屋大賞のノミネート作品に「優しいお話」が多いということはつまり、全国の書店員さんがその「優しいお話」をみんなに読んでもらいたいと願っている、といえるのではないでしょうか。
そう考えると、世界って想像以上に優しさで溢れていて素敵だな、と思えるのです。会ったこともない多くの書店員さんたちの優しさに触れられるような気がして、だから僕は本屋大賞が大好きです。
ということで、僕なりの2022年本屋大賞のランキングを発表します。このランキングはあくまで僕の好みです。みなさんが本を選ぶ際の参考になれば嬉しいです。
それでは、ランキングをどうぞ!
10位 残月記 / 小田雅久仁
「月」をテーマにした不思議な世界観のお話が3つ収録。表題作『残月記』では、満月の日に凶暴になるなど、発症すれば長くは生きられない「月昂病」という病気を抱えた主人公の一生が描かれています。
政治、戦闘、歴史、恋愛と様々なことが描かれていて、とても内容の濃い物語でした。
面白かったのですが、後悔したのが一気に読まなかったことです。寝る前にちまちま読んでしまっていたので、毎回読み始めるたびにこの圧倒的な世界観に入るまでに時間がかかってしまい、この順位となりました。
とにかく、「こんな世界観を創作できる作者すげぇ…」と驚かずにはいられない一冊です。一気に読むことをオススメします。
9位 夜が明ける / 西加奈子
生きていくことのしんどさとか、貧困についてのお話。思春期から33歳になるまでのふたりの男の友情を軸に物語は進んでいきます。
主人公がマスメディアで働いて体を壊すシーンがあるのですが、それを見舞いに来た後輩の森ちゃんの言葉がとても印象的で、心に突き刺さりました。頑張るとか、自己責任だとか、勝ち負けとかを意識するのはとても立派のように思えるけれど、そういう価値観が苦しめてないか、というような。
僕らの世界とリンクしているところがたくさんあり、特に最後の終わり方が印象的な一冊でした。
8位 黒牢城 / 米澤穂信
将軍・荒木村重が治める有岡城で不可解な殺人事件が起こり、それを牢屋に捕らえられていた敵側の将・黒田官兵衛が事件解決のために知恵を貸すという歴史ミステリー。最後に、牢屋に閉じ込められた官兵衛の本当の狙いが明らかになります。
牢屋に捕まっているから登場頻度は少ないのに、とにかく官兵衛の存在感が凄まじかったです。村重と官兵衛の、頭の切れる両者の駆け引きは読んでいて痺れました。
7位 硝子の塔の殺人 / 知念実希人
「硝子の塔」という不思議な館で行われた連続殺人事件を解くというミステリー小説です。
館の主人である神津島を殺害した一条。しかしその後、館の使用人が一条ではない別の人物に殺されてしまいます。その使用人を殺した犯人に神津島殺しをなすりつけようと、一条はそこに居合わせた名探偵・月夜の助手となり、犯人の手がかりを探すことに。しかし、この事件の裏には一条も知らない驚きの秘密が隠されていたのです。
続きが気になりすぎてページをめくる手が止まらず、ほぼ1日で読み終えていました。登場人物のほとんどがミステリー愛好家なので、様々なミステリーの名作の話が出てきます。おそらく、ミステリーファンにはたまらない一冊でしょう。この本の中で出てきたミステリー小説も読んでみようかなぁ。
6位 スモールワールズ / 一穂ミチ
6つのお話が収録された短編集。夫婦円満を装う主婦と父に殴られるから家に帰りたくない中学生、離婚して家に帰ってきた姉と転校してクラスに馴染めない弟…といった、心に少し悲しみを隠している人々の関係が描かれています。
読んでいてめちゃくちゃセンスを感じる一冊でした。この感覚を言葉でうまく伝えられないのがもどかしい…。なので、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、今回ノミネートされている中で1番、「この作者の他の本も読んでみたい!」と思いました。それくらい「文章」というものに引き込まれる本でした。
5位 星を掬う / 町田そのこ
小さい頃に離れ離れになった母と娘が大人になって再会し、一緒に暮らし始めるというお話。感動の再会…と思いきや、娘の千鶴は元旦那のDVから逃れたばかりで顔はボロボロ、母は口の悪い頑固者になっていて、さらには認知症を発症していました。そんなふたりが、母を慕う恵真とその家の家事を任されている彩子さんを含めた4人で暮らしていきます。
千鶴は自分の不幸を、母が自分を捨てたことのせいにします。それに対し、頑固な母も譲りません。お互い譲らない中で、様々な出来事が千鶴の心に少しづつ変化をもたらします。
読んでいて心がつらくなるシーンが多かったのですが、それゆえに、千鶴がDVの元旦那に叫んだシーンは心が震えました。
人は見かけではわからなくて、誰もが辛い過去だったり心の傷だったりを抱えながら、そして癒せないまま隠して生きてるんだなあ…。そんなことを思いました。
4位 同志少女よ、敵を撃て / 逢坂冬馬
ナチス・ドイツとソ連の「独ソ戦」で狙撃手によって母を殺され、その復讐として自ら女性狙撃手となった主人公・セラフィマのお話。
何気ない日常から母を失い、セラフィマは急に「死ぬか、戦うか」の選択を迫られます。戦うことを選択したセラフィマは狙撃手としての訓練を積み、仲間たちと共に戦地に出るのですが、そこで「戦争」という世界にぶつかるのです。
当たり前のように人が死んでいく光景、人種や性差別、相手を撃ち殺すことの魔力と仲間の死。さまざまな障壁を乗り越え、ついにセラフィマは母を殺した狙撃手と戦うことになるのです。
個人的に、セラフィマが英雄と言われる女性狙撃手に「女性狙撃手は戦争が終わったらどう生きればいいか」ということを尋ねたシーンがとても印象的でした。
セラフィマを含む登場人物たちがとても魅力的な一冊でした。いつかまたみんなに会いたいなあ。
3位 赤と青とエスキース / 青山美智子
若手作家がとある女性を見て描いた一枚の絵画(エスキース)と、それに偶然にも関わることになった人たちの心が温まる素敵なお話。
2021年の本屋大賞で2位になった『お探し物は図書室まで』という本で青山美智子さんを知り、それ以降どハマりしたのですが、この本もめちゃくちゃ面白かった…。
優しくて暖かくてほんのり切なくて、人間関係の喜びと少しの奇跡を描いた、とても美しい物語。読後感がとてもよきよきでした。
2位 正欲 / 朝井リョウ
「多様性ってなんだろうね」ということを考えさせられるようなお話。「性欲」というテーマが軸になっていて、少数派、つまり「マイノリティ」と呼ばれる人たちの物語が中心に進んでいきます。
2位にランクインした理由は、僕の中で忘れられない「言葉」があったからです。その言葉がこちら。
「みんな本当は、気づいているのではないだろうか。
自分はまともである、正解であると思える唯一の拠り所が"多数派でいる"ということの矛盾に。
三分の二を二回続けて選ぶ確率は九分の四であるように、"多数派にずっと立ち続ける"ことは立派な少数派であることに」
このフレーズを見た時、痺れました。どんなシーンで言われたのか、気になる方はぜひ本作を読んでみてください!
1位 六人の嘘つきな大学生 / 浅倉秋成
IT企業の最終選考に残った6人の大学生のお話。最終選考のグループディスカッションの「この6人の中で誰が1番内定者に相応しいか。その選ばれた人に内定を出す」というテーマ、そしてその部屋に用意されていた6つの封筒により、優秀に見えていた6人の「裏の顔」があらわになっていきます。
僕自身、就活にとても悩んだ人間なので、就活というものの「異様さ」と描いたこの本は、当時のモヤモヤとした感覚を言語化してくれていて、とても気持ち良かったです。スッキリしました。当時の自分に読ませてあげたいなあ。
そして「伏線回収」と謳われているようにミステリーとしてもすごく面白くて楽しめるのですが、個人的には終わりの方で描かれた、おそらくこの本を通して伝えたかったであろう作者の"メッセージ"がとても良かったです。さらに、その"メッセージ"の終わりに付け足された"ユーモア"が個人的に大好きでした。そのシーンがノミネート10作品の中で1番印象的だったので、今回、『六人の嘘つきな大学生』を1位に選びました。
ということで、紹介は以上になります。はたして、どの本が本屋大賞に輝くのでしょうか。
予想としては『夜が明ける』『同志少女よ、敵を撃て』あたりが大賞を取るような、そんな気がしています。個人的には青山美智子さんの『赤と青とエスキース』だったら嬉しいなあ。
あなたはどの本が好きでしたか?
ぜひ、一緒に本屋大賞の発表を楽しみに待ちましょう!
☆ちなみに、僕の配信の体験を物語として書いています↓↓
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