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小説|パラレルハウス|⑤入場―恵巳(めぐみ)編

明は眞子とのやりとりなどを思い返しながら、とりあえず様子だけと思って来たものの、まさか本当にやってるとは想定外だった。。。

明はすぐに眞子に電話した。

何度鳴らしても出ない。
しまいには「電源が入ってません…」のアナウンスになってしまった。
(あー、今日は朝から稽古だったし、きっと疲れてるかもなぁ。このまま寝かせておいた方がいいか、、、)

明は眞子のことを思いやりながら、少し残念な気持ちになった。

(パラレルハウス、、、か)


1人で入る気にもなれないが、なんだか気になる。。。
明はひとり呆然と立っていた。


(あ、そうだ、浩司を誘ってみよう!)

思い立って明は浩司に電話した。
トゥルルル トゥルルル ・・・
繋がらない。。。

その後も明は思いつくまま、色んな友達に電話するが、なかなか都合が合うヤツがいなかった。

「やっぱりやめとくか。。」

明は諦めて帰ろうかと歩き始めた、、、

「あれ?アキラくん?」

ふと顔を上げると、昼間会った永美の友達の恵巳がいた。

明「あ、メグちゃん」
恵巳「あ、やっぱり♡昼間に会ったばかりだから、もしかしたらそうかなぁって思って」
明「メグちゃん、こんな時間に何してるの?女子1人でこの時間歩くのは危ないよ」
恵巳「アキラくんこそ、何してるの?私はバイト帰り。あそこのメイドカフェでバイトしてるの」
明「そうなんだ!へぇ〜!あ、俺は・・・」

明は昨日からの出来事を含めて、恵巳に話した。

恵巳「なるほどね〜。なんか、そのパラレルハウスって楽しそうじゃん♡♡アキラくんさえ嫌じゃなければ、一緒に入らない?」

明「あ、おぉう、俺はぜんぜん構わないけど、メグちゃんは明日は朝早かったりするんじゃないの?大丈夫?!」

明は眞子への後ろめたさを少し感じながら、誰かと一緒に入れるなら、まぁいいかという気持ちだった。

恵巳「私は平気。学校だって、とりあえず親の顔を立てるのにテキトーに行ってるだけだし、明日はバイトも休みだから」
明「そっか、なら決まりだな!並ぶか!」
恵巳「うん!(^ ^)」

明と恵巳は並びながら、色々とお互いのことを話した。なぜか恵巳には自然に包み隠さず眞子のことも話せた。

恵巳も、永美と会ったいきさつや、今はバイトやライブチャットやらが楽しくて、誰かと付き合うとかは興味ないことなど包み隠さず話した。

あっという間に数時間が経った。。。

次の方どうぞ。


ついに明たちの順番がきた。


緊張しながら、2人は入場口に向かった。


黒服「お待たせ致しました。パラレルハウスへようこそおいでくださいました。
初めに3つの注意点からご説明致します。なお、そちらをご了承いただけない方には入場はご遠慮頂いておりますが、よろしいでしょうか?」

明・恵巳「はい、大丈夫です。」
黒服「それでは説明させて頂きます。」

注意点①パラレルハウスでのことは誰にも話さないこと。もちろん、SNSの投稿などもしないようにしてください。
注意点②パラレルハウスを退場する際は一人一人の写真撮影をさせて頂いております。写真撮影をしないと出口が開きません。
注意点③当たり前ですが、1度入場しますと途中で入場口に引き返すことはできません。入場したら最後までお楽しみくさい。


黒服「以上の3点になりますが、よろしいでしょうか?」

明は一瞬ためらったが、ここまできたらパラレルハウスの中に入ったも同然。腹を決めて入ることにした。
一方で恵巳は何が起きるか楽しみで、ワクワクしているようだった。

明・恵巳「はい、大丈夫です!(^ ^)」

黒服「それではあちらが入場口となります。なお、手荷物などは一旦預からせていただきます。出口でお返ししますので、こちらの番号札をお持ちください。何かご質問はございますか?」

明「あ、あの、時間はどれくらいかかりますか?」
黒服「ジ・カ・ンですか、、、まぁお好きな時間を考えていてください。どれくらいいたいかはあなた次第です。」

と、答えになってないような受け応えをされた。

恵巳「あの、中にトイレはありますか?」

黒服「あ、そうでした!すみません!
一応、中にもありますが、お手洗いは入口前にありますので、心配なようでしたら念の為先に済ませておいた方がいいかもしれません。」

黒服「もし他にご質問がないようでしたら、スマホなどのお手荷物をこちらの袋に入れてください。」
さっきもらった番号札と同じ番号が大きく書かれた袋に2人は手荷物を全て入れた。

黒服「では、あちらが入口になりますので、お2人のタイミングでお入りください。それでは失礼いたします。」

黒服はさっそうとどこかに行ってしまった。

恵巳「私、ちょっとトイレ行ってくるね」

恵巳はトイレに向かった。
明は入口前で時間のことを少し考えながらメグを待った。

(なんで、あの黒服は時間は”好きな時間で”なんてって言ったんだろう・・)

恵巳「お待たせ〜」
メグがこちらに来た。

明「じゃ、入るか」

メグは嬉しそうに明を見ながら「うん」と小さく頷いた。


そして2人はパラレルハウスへ入っていった。。。


つづく……

今までの話は⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎




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