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日本一のお好み焼き屋

インドの珈琲を飲んでいる。甘くて美味しい。ミルクを入れたかのような甘さがある。飲む前の香りからすでに甘い。自分が好きなものは毎日でも飲める。珈琲一つとっても好みがあり、この珈琲は美味しくて、この珈琲は苦手だなというのがある。全部が全部好きというのはありえなくて、色々と飲む中で自分の好きを見つけていけばいい。もちろん、珈琲にも一つ一つ個性があって、味は好きではないけれど、これはこれで面白いというのがある。個性が面白い。自分の個性を存分に発揮して、その個性を好いてくれる人を大切にすればいい。別に自分を変えようとしなくていい。インドの豆はインドの豆のままでいてほしい。僕はそのありのままの姿が好きなのだから。自分が好きなものを大切にする。その好きなものが自分の色となり、個性となる。続けていれば、これは苦手だとか、嫌いだとか、もっとこうした方がいいんじゃないかと意見を貰うこともあるだろう。それでもそれが好きなことなら、本気で応援してくれている人の意見だけに傾けて、あとは右から左に流すくらいで丁度いいのかもしれない。というより、本当に応援してくれている人、本気で愛してくれている人は、あなたを変えようとはしないし、あなたのありのままを愛してくれるはずだ。つい最近、僕が働いているお好み焼き屋では、お好み焼き一枚の値段を100円値上げした。鳥インフルエンザの影響で卵の価格は倍になり、油や他の材料費もどんどんと上がってきている。その中で店主は、苦しいながらもオープン当初の価格で提供してきたが、とうとう値上げを決意した。半ばノリでもあった。ノリというと、少し悪く聞こえるかもしれないが、色々考えてもキリがないため、思い切って値上げしたのだ。この値上げに踏み切れたのも、僕たちを応援してくれている、同じ個人で飲食店をしている方が意見をくださったおかげだ。その方は家族でいつも僕たちのお好み焼きを食べにきてくれていて、値段を上げれば自分たちの負担が増えるにも関わらず、「値段を上げなきゃダメだよ」とお酒の席でアドバイスしてくださった。もちろんキャベツの量やお肉の量を減らせば同じ価格で提供できるか、少しは負担が減るかもしれない。しかし、今まで通りキャベツもりもりのお好み焼きを、自信を持って提供するには、値上げをすることが最善の策で、それが僕たちにとっても、お客様にとっても、一番理想の形になると判断した。そして、いざ値上げをしても、文句を言うお客様がいるどころか、皆が納得してくれた形で、普段と変わらずお好み焼きを食べにきてくれている。これには驚いた。値上げというのはお店側にとってはとても勇気のいることで、値上げしたことでいつも来てくださっているお客様が離れてしまうんじゃないかと言う不安がある。しかし、そんな不安は不要で、本当にお店を愛してくれている人は、いつもと変わらず快くお金を払い、お好み焼きを食べてくれるのだ。食べてくれるからには、僕たちも最高のサービスを届けるし、店主も最高のお好み焼きを焼いてくれる。子供にはオレンジジュースやゼリーだってサービスするし、お客様が喜んでくれることを皆が考えている。店が無理なく、快適に物事を運ぶための一つの要因が値上げで、簡単に決意できることではないが、本気で店を愛してくれている人が言ってくれるなら間違いはないのかもしれない。僕たちは支えられて生きていて、支えられているからこそ、全ての意見を右から左に流すわけにはいかない。しっかりと選び、選択する。その選択の権利は、相手にもある。自分を本気で応援してくれている人、本気で愛してくれている人、そんな周りにいてくれる大切な存在を愛すること。それだけでいいのかもしれない。いきなり遠くには行こうとしない。まずは周りを大切にし続ける。それが難しいこともわかる。それでも自分に言い聞かせる。毎日毎日、時間をかけて自分を磨いていく。自分は無力で、周りに支えられて生きていると自覚する。そして今日は、お好み焼き屋の給料日。働いたら働いた分だけ、必ず給料をくれる店主に感謝だ。お店を始めたら、仮に毎日10時間働いたとしても、お客様がその間一人も来なければ給料は0だ。そんな不安もある中で、お店を開くことになる。もちろんその分、楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこともダイレクトに味わえるのかもしれないが、それは僕がお店をもったときにまた伝えられたらいいな。ただ、給料を手渡しで貰えることの喜びは本当に大きい。この給料のおかげで生活できて、好きなものが買えて、美味しいご飯が食べれて、貯金もできて、可能性が広がる。そして、給料が貰えることに感謝できる職場にいることも最高に幸せなことだ。今の職場も親友の将太郎が誘ってくれたから入れることになった。日本一幸せな職場で、日本一幸せなメンバーで、日本一のお好み焼き屋で働けていることにありがとう。感謝の気持ちを持って、今日も一日過ごしていく。ではまた。

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