家庭教師、中三男子にコンドームを買い与える
今でもずっと「あれで正しかったのかな」と思い出すことがあります。
勉強を見ていた中三男子に、コンドームを買って与え、しかも使い方を絵に描いて教えてやったことがあります。
親御さんから時給3,000円ももらってたのに、ぼくは何をやってるんだ……とはその時から思っていました。
ただね、ホントもうどうしようもなかったんです。
学校では「寝た子を起こすな」と、「雄しべと雌しべ」以上の性教育を行ってない。
15歳男子、もう、興味はシンシン。
そこに嬉しそうに「センセ、カノジョができたよ」、数週間後「今日は初めてチューしたよ」、そして「チューしながら触らせてくれたよ」、さらにたった数週間後には「今度、親がいない日に、家に遊びに行くことになった!」。
当時彼は反抗期の真っ只中、お父さんお母さんとはろくに話もしていない状態でした。
唯一いろんなことを話せる大人が、家庭教師のぼくしかいなかった。
こちらとしても24時間見張るわけにもいかず、この15歳の勢い、止めることはできない(たぶんカノジョの方も乗り気だったのだと思う)。
その状況をお父さんお母さんに伝えることもできない。
もしぼくが止めて説教したところで、信頼できて相談できる大人がひとり、いなくなるだけ。
暴走する15歳を止める人がいなくなるだけ。
で、上記のような状態になったわけです。
英語と数学を教えるために1回6千円も払ってくれていたのに……ゴメンナサイ。
でも彼は、ホントなにも知らなかった。「避妊具」の存在すら、うっすらとしか知らなかった。「コンドーム」という名前は知っていたけれど、自分に関係あるものだとは知らなかった。
もっと言えば、それを使わないとどうなるか、特に女の子側がどうなるか、知らなかった。
なのでぼくは現物を買ってきて与え、付け方を図に描いて説明したのです。
それでも完全ではなく、もし失敗したらどうなるか、も教えました。英語でも数学でもなく。
彼が「分かった」と言った瞬間に、ぼくはその図を描いた紙を細かく破って自分のリュックに入れました。
果たしてこれは家庭教師として正しい行動だったのか……考えると今でも戸惑います。
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