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陽のあたらぬ部屋で(続きのつづき)


その頃、私が夢中になっていたアニメやゲームの好みが合うのは、男の子達だった。
私は学校帰りや休日に男の子の家に寄っては、アニメを見たりゲームをしたりマンガ本を見たりして遊んでいた。
いつも男の子達の中に女子は私ひとりだった。
その内、私のアパートにも男の子達を連れてくるようになり、それに気づいた母から叱られたこともあった。
「あなた女の子なんだから、男の子達を家に連れて来るのはやめなさい」って。
それでも私はときどき男の子達を家に呼んで遊んでいた。

姉は高校を卒業すると、東京の専門学校へと進学した。
母は仕事の掛け持ちでアパートにいる時間は短かったから、部屋には私ひとりのことが多かった。

ある日、家に来ていた3人の男の子のうち、2人が先に帰った。
残った男の子は、私のことが好きだと他の男の子から聞かされていた子だった。
最初はふたりでゲームに夢中になっていたものの、そのゲームが終わると部屋を気まずい雰囲気が満たし始めた。
暖房が暑く感じてきてテーブルの上のリモコンに手を伸ばした時に、不意に抱き寄せられた。
私の唇に彼の乾燥した唇を押しつけられた。
そのまま床に倒されて、セーターの上から胸を掴まれた。
「ダメ、やめて」
私は静かに彼に告げ、彼の腕から擦り抜けた。
「おまえのことが好きなんだ」
彼はそう呟くと、立ち上がって玄関へと向かった。
「ごめん」
黙っている私を背に、彼は謝罪の言葉を残して部屋を出て行った。

その日からお互い気まずくなり、私は男の子達と遊ばなくなった。
そしてまた私は学校以外の時間を暗い部屋でひとりで過ごすようになった。

母の知人から譲り受けたノートパソコンを使って、SNSのアニメ好きが集まる場所で過ごす時間が多くなった。
自分でもマンガを描くようになり、作品としてあげた。
暇つぶしの遊びで始めたこれがSNS上で段々と人気が出はじめ、小銭を稼げるようになった。
私はそのお金を貯めて、姉のようにこのアパートを出ようと考えた。
2次元の世界でずっと生きていられたらいいのに、と思っていた。

高校を卒業すると、私はすぐに東京へと向かった。
母は寂しそうに泣いていた。
私はやっと自由を手に入れられることに、喜びを隠せなかった。
父とは2年近く会っていなかったが、東京へ向かう前日に一緒に食事をした。
父は「無理しないで、ひとりでやっていけなかったら連絡して帰ってこい」と言っていたが、私には帰るつもりはなかった。




〈またまたつづく〉

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