航空車にご招待

初めまして、湯井です。

突然ですが、私は空を見るのが好きなようです。
そう気づいたのは、どうやら周りの大人たちはそうそう空など見上げないらしいことを知ったから。

空を見上げて見える何かが好きというよりも、空というものそのものがとても好きで、言ってしまえば、星の名前なんて北極星とか、ベガとか、そんな星の名前の代名詞のようなものしか知らないし、星座だってオリオン座しか見つけられない。ただのど素人です。
ただ、ふとしたときにぼんやりと空を見上げている自分に気づいて、そういうとき空が下ではなく上にあってよかったと思うのです。

私はもうとっくに20歳を越えたけれど、今でも工場の煙突から白い煙がもくもくと出ているところを見ると、「雲製造工場だ」と思って、中で人がこねこねとパンをこねるかのように雲を作り出す妄想をするし、名前も知らないが小さな雲が群れるように浮かんでいるのを見ると、「ああ空駆ける車の航空車が走った轍ができてるなぁ」と、とことこと空を大きな車が渡っていくのを想像します。

星の名前を知って、雲の流れを知って、宇宙や地球の謎の小さな小さなひとかけらを知って、見える世界があることも、膨らむ想像があることもわかった上で、何にも知らずに知らないからこそみえているであろうこの空を大事にしたいと思うのは、傲慢でしょうか。

ありがたいことに、今の世の中は私にそういう知識がなくとも、星や宇宙や天気に向き合ってくれている人がいて、そういう人たちの知識の破片を少しだけでも分けてもらえる環境ができています。
天気予報とかがいい例なのだけど、そうやって分けてもらえるからこそ、私は知らなくていいという贅沢を味わっていられる。

顔も名前も知らない人たちに、感謝をこめて。

今日も、綿菓子みたいな雲を見上げて、航空車があればあそこまでトコトコ走って飽きるほど、綿菓子を食べられるかな、なんて想像する幸せな時間を過ごしています。

ばかみたいな想像だけれど、忙しない日々に紛れて、こういう感覚を忘れたくないな、失いたくないなと思って、notesを始めました。

これから、よろしくお願いします。

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