『日向坂で会いましょう』ヒット祈願が成功しますように。

今週の『日向坂で会いましょう』すごかったですね。

今週もひきつづき、5月26日水曜日に発売をひかえた5thシングル『君しか勝たん』の大ヒットを祈願する「ヒット祈願」企画。
見ればわかるように、これまでのヒット祈願史上もっともシリアスな挑戦だということがわかった。

わたし自身この回について、消化しきれていない部分もあるので、今回は気になった箇所をひとつずつ噛みしめてしていこうと思う。この作業をとおしてこのヒット祈願を咀嚼したうえで、最後に「日向坂46、頑張れ」と結びたい。

それに先がけて、わたしの「ヒット祈願企画」に対する立ち位置をはっきりさせておきたい。

新曲がリリースされるごとに行われるヒット祈願企画自体についてはわたしはどちらかといえば、肯定的である。本来であれば、ヒット祈願の役割である広告宣伝などのプロモーションはレコード会社の仕事であり、厳密に言えばアイドルたちの仕事ではない。彼女たちはテレビ番組に出て「新曲ぜひ聞いてくださいね」といえば、それでじゅうぶんだ。

では、彼女たちにとってヒット祈願企画の役割とはなにか。トーク番組やクイズ番組などテレビにたくさん出て、いろんなところで曲が流れて、いっぱいCDが売れる、このプロセスのなかで、彼女たちが直接的な手応えを感じられる機会が少ないのではないかと思う。

企画での挑戦をとおして彼女たちが達成感や実感を得られる、機会や理由付けとしてヒット祈願が機能しているのであれば、企画自体はあっていいと思う。

それらをふまえた上で、注意しなくてはならないことは過度な負担を強いらないこと。感動のために生贄になるような過剰な演出や過度な追い込みは、なるべく排除するべきだ。なぜなら彼女たちはアイドルだからだ。

グループに所属してはいるが、彼女たちはみな個人事業主だ。無理難題に対して現在や将来を考えて仕事を断れない、なんてことは当たり前にあり得る話で、芸能界でも立場の弱いアイドルという職種ならばなおさらだ。オファーが来たら可能な限り、腹を括って取り組むしかないのだ。

なので、企画者側は精査を重ねていわゆるパワハラにならないよう注意する責任がある。芸能界というわたしたちではわからない世界で大変な目に遭っている推しをみて、アイドルである以前に1人の人間だ、という考え方はもっともだと思う。しかし人前に出る以上、彼女たちはアイドルである。プロフェッショナルに誇りと覚悟をもって一生懸命取り組むひとに対して、それ以前のすがたを引き合いに出すことは野暮だと思う


前置きが長くなってしまった。それでは今週気になったところをひとつずつ見ていこう。なるべくサクサクいく。

まず、今回のチアリーディングについて。”ひとの背中を押せる存在になる”という使命をみつけた日向坂46にとってすごく近いマインドをもつ競技だと思った。ちなみに調べたら、チアリーディングとチアダンスは全く別の競技で、前者はスポーツ競技で後者はダンス競技、だそうだ。

チアリーダーチームTokyoGirlsの柳下容子さん考案の振り付けも、メンバーをブロックごとに分けたり、スタンツ(チアリーディング独自の技術の名称)をリフトだけにしたり、チアリーディングの醍醐味を残しつつ、初心者でもなるべく負担がかからないレベル設定だとおもう。

ここで気になったことは、準備期間。ヒット祈願の内容が発表された4月11日から本番当日の5月26日まで約1か月半ほど。これはもっとあってもよかったと思う。せめて2か月、理想でいえば3か月くらいはあっていいはずだ。
というのも、それぞれのパフォーマンス練習もさることながら、身体づくりも重要になってくる。ふだんのダンスレッスンで補助的に取り組んでるかもしれないけど、今回のために重点的に取り組む部位のための時間がすこし短いかなという印象をうけた。

またスケジュールの都合による身体的疲労も心配だった。テレビ番組のオファーはコントロールの効かないことなので仕方のないことだけど、放送をみると心配になってしまうのも事実。浮き沈みの激しい芸能界で、スケジューリングという課題はどうにか解消されてほしい。身体的なケアはプロの先生がついているのでちゃんとした方法を教わっているだろうし、たとえばアイシングやマッサージをながら談笑するメンバーのシーンがあればこの不安もやわらいだだろう。

唯一いただけなかったなと思ったのは、アクロバットチームが練習してるときにマットが1枚しか敷かれていなかったこと。いくら補助の先生たちがついてるとはいえ、安全面でいえば不十分だったと思う。

ほかにも細かいところはいろいろあるが、それらをひっくるめて、バックアップ体制が不十分だったことが放送を見た限りで感じたことだ。どこかにチアリーディングを甘く見ていた大人がいたんじゃないか。今回のヒット祈願企画で浮かび上がってきた諸般の課題が次回以降に生かされることを願うばかりだ。現場の人間たちはみなできることを必死になって取り組んでいた。

今回すごく心をうたれたのは、柳下先生の哲学だ。NBA・NFLでのチアリーディングを経験し、しかもスポーツとしては珍しい「ひとを応援する」というテーマをもった競技のトップアスリートの言葉はとても重かった。イマドキの感覚からすれば、前時代的な精神・根性論めいた言葉に響くかもしれないが、チアリーディングの頂点の世界で厳しいオーディションを勝ち抜き、競技を戦い抜いてきた人の言葉は、また真である。その哲学に裏打ちされたパフォーマンスだからこそ、先週チアをみた佐々木美玲さんは「伝わってきました」と何かを感じたのだ。

柳下先生が日向坂46メンバーたちに伝えた言葉の数々は、決して彼女たちを年頃の女の子たちとして扱わず、エンターテイメントに従事するプロフェッショナルとしての苦悩に寄り添い真摯に向き合ってくれた証拠である。そこで日向坂メンバーたちは何を感じ、何を得るのか。ピンとこなければ別にそれだってかまわない、哲学を選ぶのは個人の自由だ。

今回のヒット祈願で、アイドル業だけを邁進していては決して知りえなかったであろう、別分野のプロフェッショナルにふれられたこと、これは貴重な経験であり大きな財産になったとわたしは考える。

本日20時、ついに本番だ。日向坂46、がんばれ。

おしまい。

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