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30歳を祝う『日向坂で会いましょう』が写す実像と、虚像と理想像と

今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

書き出しから個人的な話をするのも忍びないが、最近なぜか若く見られるようになってきた。今年32歳になる、おじさんを自称することを迫られる年齢に差し掛かってるのだが、初対面の人に年齢を申告すると「若く見えますね」と言われる。リップサービスを真に受けてる痛々しさや「若いですね」の逆説的証明なんてものはさしたる事案ではない、問題はわたしがどういうスタンスを取るべきなのかを毎回決めかねているのところだ。「若いんですよ」か「大人ですから」か「あなたも可愛いですよ」か、どう振舞ったらいいのかわからない。

31歳、過渡期。正直若く見られることは嬉しいけど、果たして大人としてそれを素直に受け入れてしまって大丈夫なのかと自問してしまう。だけど”大人”と言う評価年齢に対して、大人といえば大人の年齢だが大人の自認が無いから評価がしっくり手につかないのである。どうしても違和感がある。お悩み川柳企画で28歳の佐々木久美が「早く30歳になりたい」と詠んだのをみて、わたしと同じく評価年齢と実年齢がうむ格差による焦燥感があるんだろうなとシンパシーを感じた。

今回は佐々木久美の誕生日を祝うとともに「佐々木久美は30歳である」という既成事実をでっちあげるため【本当は28歳だけど久美さんの三十路を早めにお祝いしましょう】を開催し、パーティースタイルで偽三十路ぎそじを祝う。

番組前半では理想の30歳として『マイ・インターン』のアン・ハサウェイをコンセプトにした装いの佐々木久美とともに30年の歴史を振り返った。『マイ・インターン』は昔観たことがあって、アン・ハサウェイの役柄はキャリアに悩む社長なので今回の企画にぴったりだなと思った。余談だが主演のロバート・デ・ニーロがカッコよくて、影響されたわたしは革製品やポーチを持ち歩くようになった。

30年を振り返る事件簿では恒例の穴埋め問題が登場したのだが、普段なら初めに富田鈴花や加藤史帆が先鋒として打ちのめされるところなのだが、今回第一声をあげたのは森本茉莉だった。昨年『日向坂で会いましょう』にて大きな存在感を放ったメンバーのひとりだったが、あれを見ていよいよ本格的に番組の主軸が様変わりし始めているんだなと感じた。とくに3期生がようやく日の目を浴びられそうな気配がする。後半に行われた細かすぎて伝わらない日向坂モノマネも含めて今回は3期生の存在感が強かった

『日向坂で会いましょう』での3期生は良いポジションにつけながらも先輩の陰に隠れてしまい、あとひとつ突き抜けるきっかけを掴めずにくすぶってたように散見していた。そこへ奇怪人間として森本茉莉が発見され、最近になって甘えん坊を後輩からからイジられる役として山口陽世の存在感が頭角を現してきた

現在3期生は四者四様、それぞれの役割が被ることなく個性を確立している。これまでもこれからも常識人枠である髙橋未来虹も安定感が増してゆきそうだし、上村ひなのは天才少女時代より良い意味で魔法が解けた様子で同期とともに伸び伸びと過ごしているようだ。

山口陽世のいじられキャラに関しては、振り返ってみると楽屋隠し撮りの頃からその適性が感じられる。それから回を重ねるごとに反抗期的な生意気なキャラとして見られるようになり、その刺々したキャラが”後輩”というピースがはまることで甘えん坊キャラが追加される。というように肉付けされて立体感がつくられたことで魅力的に反射する彼女の人物像が建立されたとおもう。個人的にはミステリアスな高瀬愛奈と似た性質をもってる人物像なので、巻き込まれることでさらに輝きを放つのだろうと思っている。

細かすぎて伝わらないモノマネは年1回、いや2回やってほしいくらいおもしろいかったもはや多くを語る必要もあるまい見ればわかる見たいものが見れた!という充足感に満ちている。あと、誰か清水理央には最優秀助演女優賞を贈呈してくれ

今回はパイロット版として制作されたと思うのだが、オードリーとモノマネといえばそっくり館キサラなので、1本企画として行う時はキサラのステージを模して、床が開いて落下するみたいなオチをつけられる装置が発明できれば、2番煎じを回避できてひなあいオリジナルとして自立できそうだ。

大人と子どもの間に横たわる揺らぎから始まった今回の企画。既成事実によって30歳となった佐々木久美、成長が川流に追いついてきた3期生、モノマネという虚像を楽しんだりと、他者がもたらす映像をテーマにわたしは今回を読み解いてみた。

見る者の数だけ解釈が存在し、偶像が象られる。皆さんは今回の放送を見て何を感じただろうか。考えてみると楽しいかもしれない。

おしまい。


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