書籍レビュー「知ってるつもり 無知の科学」(早川文庫NF)
「我々は、ただ無知なのではない。自分たちが思うよりもずっと無知なのだ」
第五福竜丸事件を例示しながらの導入に、一気に心を掴まれる。
原子核の発見からたった40年で水素爆弾作製までできる頭脳を持ちながら、爆弾の威力を3倍も低く見積り当日の風向きすら当てられず水爆事故を起こしてしまう愚かな人間。知とは無知とはどういうことか、という質問から本書は始まり、3つの大論点「無知とは」「知識とその錯覚とは」「知識のコミュニティとは」に対し、実際の出来事や論文を引用しながら丁寧に答えていく