Mackey fan note016「くもりガラスの夏」

1992年発売のアルバム「君は僕の宝物」収録。

『もう恋なんてしない』が売れた直後のアルバムということで、当時はさぞ失恋ソングが十八番のように扱われていたと勝手に想像してたりするんですが、そんな中でのこの曲もしっかりと失恋ソング。ただ、こちらは曲調がアップテンポで明るいことによってだいぶ開き直ったような、けどやっぱり歌詞は未練がましいので、からげんきってな印象がある。

この曲は失恋ソングと言っても着眼点にひとひねり入れていて良い。喧嘩別れじゃなく、相手の言うことを何でもほいほい聞いた末に別れた男のことを歌っていて、何なら「たまには喧嘩でもすれば良かった」なんて思い返している。それをTシャツに例える比喩が槇原敬之の歴代比喩の中でもかなり鮮やかで綺麗。「もう恋なんてしない」とかは割と、はっきり歌詞中で明言されてはないにせよ喧嘩別れなのかな~なんて想像できるようなつくりになっているんだけど、あえて言いなりになって喧嘩をしなさすぎることを問題とする辺りが良いというか、良い感じに槇原敬之ってひねくれた曲作りをしてるな~とたまに思うポイントだったりする。夏が一人歩きという表現もなかなか難解で、ちゃんとは理解できてないけど、失恋したことで本来なら楽しく過ごす予定だった夏から自分だけ置き去りにされたような感覚を表現しているのかなと思う。どうなんだ??

ちなみに、主人公が眼鏡をかけているという描写が存在する数少ない曲でもある。今ぱっと考えてもそういう描写のある曲が思い浮かばなかった。ここ最近はライブやアルバムのジャケット写真でも眼鏡をかけることが多くなった槇原敬之だが、当時はそんなこともなかったはずだし、かなり珍しい。もし今後この曲をすることがあったら「眼鏡指で直したら」の部分でちゃんと眼鏡を指で直しそう。

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