Mackey fan note053「ハロー!トウキョウ」

2021年発売のアルバム「宜候」収録のナンバー

マッキーは「宜候」の制作を最後に拠点を東京から別の場所に移したそうなのですが、長年暮らした東京を離れるにあたって、東京に来た時の気持ちを思い返して制作された曲だそう。マッキーの上京ソングと言えば『三人』が有名ですが、これよりもっと前の事かと思われます(なんかどっかで明言してた気がするけど思い出せないのであくまで説)。内容は偽りなく、東京へ初めて来た時の心理・情景描写、エピソード中心に構成。

なんせ復帰明け一発目のアルバムの最初の一曲という事で重々しい内容になる事を身構えた時もあったけれど、そこに特段の強烈なメッセージ性はなく、離れた場所で一人暮らしを始め夢を追いかける事への期待感、不安感そして高揚感が聴く側にもひしひしと伝わってくる青臭い曲。

これはこれで解釈によっては色々事件を経ての原点回帰というか初心を思い返そうとしてるんだと邪推出来なくもないけど…曲の中身の良い意味での気負ってなさに安心感を覚えたりもした。

……「太陽」は名盤だけれど、あれはあの時あのタイミングで出したから意味合いがあるのであって、あそこから槇原敬之は曲作りの在り方を模索して「Believer」で第3章という一つの答えに辿り着いたはず。だからここでゴリゴリ第2章を彷彿とさせるライフソングもりもりのアルバムを出せば、もはやポーズを取ってるだけにも見えかねない…そんな不安を払拭する安心感、です。復帰後もブレずに第3章を続けている事は、アルバム全体を聴かずとも、この『ハロー!トウキョウ』を聴けばわかりました。


曲の聴きどころですが。この曲はとにかく『Introduction~東京の蕾~』からの流れで聴くのが至高です。アルバムにおいて「introductionからの1曲目への流れで好きなのは?」と言えば大多数の人が「Cicada」の『pool』を挙げると思うし自分も実際そうなんですけど…「宜候」のこの流れは、アレに次ぐ…というか並んで双璧をなすと言っていいかもしれない。初聴の際は「このタイミングでまたあのレベルを叩き出してきたか〜」という謎の嬉しさが湧いてきて目頭が熱くなったのを覚えてる。しっとり歌い上げる槇原敬之の歌声がデジタルに加工されまくって響き渡るintro後半はタイムマシンで過去に遡るようで、現在から過去の自身へバトンを渡してるかのよう。これが繋がった瞬間の気持ちよさが最高。

曲で言えばもう一つ、2番のサビ終わりにとある曲のイントロが流れる演出もエモいです。この手法もマッキーは過去何度か使ってます。長い歴史の中で本当に数例なので多用しているというより、ここぞという時に決めてきてくれる印象ですが、今回もまさに。色んな意味で追っかけ続けて良かったな〜と思える一曲に出逢わせてくれてありがとう。



P.S とんっでもなく久々に更新した……久々の間にアカウント作り直して記事丸々移したりしたので前回の「青春」の記事書いたのがどれほど前なのかもわからないし覚えてないけど。こんな記事が年1更新じゃ割に合わな過ぎるのでもっと書きたいな書いてたら書いてたで楽しいし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?