Mackey fan note047「SELF PORTRAIT」

1993年発売のアルバム「SELF PORTRAIT」収録のタイトルナンバー。

忙しくなってお金も増え、良い部屋で暮らせる。なのに満たされない、時間もない状況。まさに当時人気絶頂期に突入していた槇原敬之自身が投影されている。だからこそのSELFPORTRAIT。

91年に『どんなときも。』92年に『もう恋なんてしない』とヒットを飛ばしての93年となると特に。同アルバム収録の『MILK』も本人の多忙による苦悩をもとにしていたり、『ズル休み』なんかも異例のスケジュールで制作したエピソードが存在してたり、音楽全盛期のミリオンヒット連発アーティストの忙しさは計り知れない。

なかなか不穏な時期だったと思われます。が、この曲はそんな陰鬱状態から抜け出して「忙しい状態」を楽しめるようになった余裕を感じられる。アップテンポという曲調じゃないんですが、非常に元気を貰える仕上がり。自分は学生時代、通学中に聞くプレイリストは基本アップテンポな曲しか入れてなかったけど、この曲は元気が出るという理由だけでプレイリストに入れ続けてました。温かみの中に人の力強さを感じる曲。

サビのラストが「がんばらなくちゃ」で毎回締めくくられている。これ、最後のサビだけこのフレーズがカギカッコで括られていてセリフ調にされてます。特別歌い方を変えてるわけでもなし、歌詞カードを読まなきゃ本当にわかんない事なんですが。思ってるだけじゃなくて、口に出せるほど余裕が出てきたよというメッセージなのか、さりげない演出だけど大好きなんですよね。鏡の前笑ってみるまだ平気みたいだよ的な。つらい時期を支えてくれた槇原敬之の周りの人への返信メールのような意味合いもあるのかも。

ここまでで歌い手本人の要素が濃くありすぎて感情移入しづらそうに見えちゃったらあれなんですけど。仕事が忙しい人、に限らず、何かで精神的に余裕がない人とか、全員の応援歌として落とし込みやすい歌になってますよ。僕はきちんと働いた経験もないくせにトップ5入るほどこの曲が好き。2004年のコンサート以来歌ってないそうだけど、今こそ歌ってくれ。

大事なのは
戻りたいと思うんじゃなくて
あの頃の記憶を
大切に育てること

つい戻りたいと思ってしまう事が最近よくあるのだけれども、あの時の経験を経ての今の自分ときちんと向き合っていきたいですね。

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