Mackey fan note045「Firefly~僕は生きていく」

2008年発売のシングルおよび「Personal soundtracks」収録。

隠れた名曲。

て言葉は好んで使わないけれど(人によるだろっていうのと、隠れてくれてた方が自分にとって都合が良かったりする事が多いから)、自分があえて使うとしたらこの曲。もっと表立って、槇原敬之の代表曲として挙げられる幾つかの曲たちと並んでいても遜色ない。というか、もっとそうなるべきだったんじゃないかなーという完成度って意味で。なら隠れたというより隠れてしまったに近いか。

聴きどころはとにかくサビ。サビで急に増す力強さや勢いに圧倒的な<シングル感>が出ててひたすら素晴らしい。Aメロ、Bメロは音にも歌声にもどこか切なさ、不安感の表れがあるんだけど、サビでぐーんと上がってく。音作りもそうだけど、歌声の演出にもぐっとくる。ここは何度聴いても気分が高揚、どんなに落ち込んでいる時も否が応でも紅葉してしまう。自身3作目となる映画主題歌ということで相当気合入れて作りましたという気迫か。この時期は『GREEN DAYS』もそうだけど、メロディーのキャッチーさの面で脂が乗ってるんだよな。

正直この曲の歌詞に大きく共感する部分はあまりないんだけど(内容云々というより当てはまる経験をした事がないから)、サビの力強さのみで首を縦に振ってしまうパワーがみなぎってる。生きる価値を見つけられるかも、と思えてくる。

非常にオーケストラ映えする曲なので「cELEBRATION(数年に一度オーケストラやコーラス隊を従えて行うライブ)」で演奏してくれないかなと思ってたら2010年に叶いました。生では見れなかったけど、今やライブ音源が気軽にApple Musicで聴けたりするので聴いてみて欲しい。CDはCDで歌詞の世界観がより濃密に表れた音になっていますが。

槇原敬之の曲では珍しい秋の季節の曲。まあ、歌詞中に秋と明言されている曲が少ないだけで秋頃を想定して書かれた曲はもっとあるのかもしれない。秋って、読書の秋とかスポーツの秋とか、秋の事を敢えてふれる時に言われるけど、秋になった時に「今、秋だから読書しよかな」って人見た事ないし。そもそも秋が他の季節に比べて圧倒的に短いので、秋に秋を実感する機会も少ない、のに近いのかも。2012年に発売された秋冬の楽曲をテーマにしたベストアルバムにも、この曲は収録されず、冬の曲6、7割と、残りは「あ、この曲、特に具体的な季節は思い浮かべてなかったな」という曲が収録されてた。多分その「あ、この曲、特に具体的な~」が秋に相応するんだろう。


僕はこの曲がリリースされた2か月後に槇原敬之の存在を知った。昔の曲も素晴らしい事ながら、一番のきっかけになった『GREEN DAYS』とと、最新作のこの曲が素晴らしいからこそ「今」の槇原敬之を追おうと思えたので、この曲は恩人に近い。高校1年の頃、元不登校の子たちが通う高校なのに自分だけ友達が出来ていなかった時、行きの電車でこの曲を聴いてむりくり気分を上げてた事も数十回とあった。多分この曲がなかったらもう数回多めに休んでた。そういう意味では恩師でもある。

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