Mackey fan note001「君の後ろ姿」
僕は槇原敬之の曲がめちゃくちゃ好きなのですが、語りたいと思う時があっても同世代の周りに好きな人がいないし、好きじゃない人に押し付けがましく語るのは良くないのであんまり語らずに人生過ごしてきました。しかし、自分が感じた事を言語化する事をさぼり続けるのは不健康じゃないかという不安から言葉にしてみる事にしました。興味を持って貰えるのが一番の幸いですがかなり個人的な事込みなのと、内容中の情報なりは自分の曖昧な記憶と調べが多いのでそこら辺はご了承ください。
『君の後ろ姿』
2008年発売のアルバム『Personal soundtracks』収録。
僕が槇原敬之のファンになったのは2008年の春頃で、好きなってから出た新曲で数えると『WE LOVE YOU.:』というシングルが発売され、その直後に音楽番組でこの曲が披露され、という通算3曲目になる。
ただその間半年ほどの間に昔の曲を漁り、ネットで昔の事などを調べているうちにわかったのは、槇原氏は1999年に事件を起こし、復帰して以降作風がガラッと変わっているという事だった。一般的な氏のイメージと言えば『もう恋なんてしない』に代表するラブソングだと思うし、実際デビュー~1999年までは恋愛にまつわる曲が圧倒的な数を占めている。ただ一度目の事件以降、彼は「人間の生き方、あり方」について歌った、本人で言う所の「ライフソング」(一般的な言い方だとメッセージソングか)がかなりの数を占めている。勿論ラブソングもゼロじゃないが、「登場人物は男女なのでラブソングに聞こえるが根底にはかなりメッセージ色の強いもの」だとか、そういうものが増えた。
この事実を知って興味深くはありながらさほど残念には思わなかったけれど
(そもそも好きになったきっかけの曲がライフソングだったから)、
ラブソングとライフソングどちらも魅力的なものが多いので、
「バランスとれないのかな~」とかふと思っていたりもした。
そんなタイミングで発売されたこの曲は、槇原氏の歴史としてはかなり久々のラブソングだった。メッセージ性は極力削ぎ落として、恋愛している心理の描写に特化している、ストレートなラブソングだ。これは初めての披露が確かMUSIC FAIRで、記憶の限りではあるが、アルバムが発売される事すら発表したかどうかのタイミングでかなり唐突に披露されてた記憶がある。当時新曲が聞けるという習慣自体真新しい感覚だったので釘づけになってテレビで見た。
そして曲の内容にまた一段と釘づけになったのも覚えている。当時も「マッキ―、ラブソング書くんだ」と思った。事実MUSIC FAIR以外でも、大体この曲が収録されたアルバムのプロモーションで音楽番組に出ると、この曲を披露していたはずだし、アルバム曲でシングル曲を除くと唯一この曲だけPVが作られていたりするので、制作側も何か特別な思いはあったのでは。
そして僕が更に嬉しかったのはこの曲、ラブソングの中でも「片思い」に分類される曲だ。槇原氏は『もう恋なんてしない』などの印象からか、ファンになる前、そして一般的には失恋ソングのイメージが多いような気がする。
ただ色々昔の曲を聞きこんでわかったのは、片思いの恋を描いた曲がなかなか多い事。シングルだと『彼女の恋人』とか『モンタージュ』、特殊だが『Hungry Spider』もそうかな。失恋の曲より片思いの曲のが数が多いとかいう計算までは流石にしていないけど、個人的な感覚では片思いの曲に名曲が多い(童貞だから感情移入しやすいだけかも)。「久々のラブソング、しかも片思いの歌」という条件が揃いに揃って、
根本にあるものは結局変わっていないんだな~、と何故か嬉しくなった記憶がある。
内容としては、年齢は大体学生くらいの若い感じでしょうか、好きな子と帰り道に二人で歩いていて、
分かれ道についた後好きな子の背中を見送っているシーンが中心として、
主人公は好きだというのが怖くて普段は隠して過ごしているけれど、
帰って行く後ろ姿を見つめている間だけその子が好きな自分をさらけ出している、、的なもの。
言葉だと僕の語彙力の少なさも相まって杜撰な説明になるけれど、
当然ではありますが実際は聞いてみてほしいです。
関わりの少ない好きな人のおぼろげな顔を思い出すさまをモンタージュ写真に例えたり、蜘蛛と蝶に例えて物語を紡いでいた頃に比べるとストレートすぎやしないか?」とか感じたりもしなかったんですが、あれだけ長らく生き方について語っていた人が
こんなどストレートに恋を歌っているというバックボーンも含めるとかなり刺さります。何よりその中にもかなりよき表現があって、先程も書いたように背中を見ているときの自分だけは正直だという表現もなかなかなんですが、個人的に一番好きなのはサビ一発目に毎回来る歌詞。
見送っている時に相手が振り返らないように頭の中では思っているけど、
実際振り返った事はない、というような内容からサビは始まるんですが、
これ振り返らないのを願っていて振り返ってないなら別にいいんでは?と最初思ったんです。
ただ、振り返らないのを願うのは単純に後ろ姿を見ている自分に気づかれて、恥ずかしかったり、自分の気持ちに気づかれる恐怖などから来る思い。
だけど相手が振り返ったという事は、相手も自分の事を気にしてくれているという、証明みたいなものでもあるので、恐らく主人公はどこかで振り返って欲しいという気持ちもあるんだろうなと。だけど振り返らない。だから「一度も振り返った事がない」事も気にしている。一瞬遅れてその心理描写に気付いた時に、このたった2行くらいの文章で、そこまで複雑な感情を込められるという事に当時感動したのでした。
それから今現在で10年程経って、アルバムにラブソングが収録される割合も増え、昨年、Newアルバム「Believer」を出した時期には「ここ数年は意図的にライフソングを書くようにしていた」というような発言もしていた。これからはもっとラブソングを聴ける機会も増えてくるのかもしれないけれど、ライフソング全盛の時期において生まれたこのラブソングは今後も印象深く残っていくと思う。
…本当は一つの記事に何曲分か詰め込んで喋る想定だったんですが、凄い長くなって読むのも書くのもだる仕上がりになりそうだったので1曲ずつ書きます。なんか気取った感じで書きたかったけどそれもしんどくなって文章のノリも明らかに変わってるし、歌詞を載せていいかわからなすぎて曖昧な表記になってるけど、なんか曲についてつらつら書くのは悪くないなという感想でした。また。
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