Mackey fan note051「天国と地獄へのエレベーター」

2001年発売のアルバム「Home Sweet Home」収録の一曲。

まだ槇原敬之を知って間もない頃。

お金もなくバカスカCDを買えないからと、ネットで過去に出たアルバムを調べたり、CDショップに行って裏面の曲目を見て、まだ知らぬ曲のタイトルだけ見ては「これはどんな曲なんだ??」と想像して楽しんでいた時、ひときわ目についたのがこの曲だった。

「天国と地獄へのエレベーター」

ラブソングとライフソングの区別もなく、シングルしかほとんど知らなかった頃なので、まだ槇原敬之に対して薄っすら「優しい歌詞を書く人」と捉えていた僕にとって、このタイトルに含まれる「地獄」という不穏な単語がとても新鮮だった。天国を比喩なりなんなりで表現として使うイメージはあるけれど、しっかり地獄という存在も仄めかすようなアーティストなんだと。

CDショップで見た時はたしか、cELEBRATIONというライブアルバムの曲目だったので、正式にはどのアルバムが初出だったのかわからなかったけど、ほどなくしてブックオフに売られている「Home Sweet Home」の曲目を見て、ここに収録されているのを知った。

考え方一つで良い方にも悪い方にも捉えられる。要はこれを仰々しく「天国」と「地獄」へ表現している。なかなか歌詞に書いてあることドンピシャで生きるのは困難だけれど(なんかこういう事過去に何回も書いた気がする)、何か悪い事が自分の身に起きた時、誰かを憎んだり腹立ったりしないで、自分に必要な試練だとポジティブに受け止めていけ、的な事だろうか。…結局難しい。けど、日常で忍ばせておいたらどこかで役に立ちそうな教訓にはなりそう。エレベーターのボタンを押すのはあくまでも自分。

あんま深くは考えられない自分にも安心の設計。この曲は槇原敬之の曲の中でも屈指のノリの良さを誇るので、ただ聴いてるだけでもめちゃくちゃ楽しいから。CD音源がもはやライブバージョンの様な臨場感が演出されていて、難しい事を考える前に心が弾む。この感覚さえあれば十分だと思う。

本人にもその意図があるのか、2000年代前半のライブで定番化しかけ、オーケストラコンサート「cELEBRATION」では1回の公演で二度歌われた模様がDVDにもノーカット収録されている。しかし、僕がライブに行き出した2009年頃にはもう歌われなくなって生で聴けた経験はない。つかセレブのライブアルバムの裏面で目を引いたのって、「地獄」という単語が入っているからというより、曲目に2回もタイトルが載っている物珍しさの方が大きかったかもしれない。これ別に変わった事というか、オーケストラコンサートのアンコールは基本的に本編中に演奏された曲をもう一度演奏するのが慣例なので、これに則ってそうしてるみたいな話を聞いた事あるけどどうなんでしょう。

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