Mackey fan note004「3月の雪」

1991年発売「君は誰と幸せなあくびをしますか。」収録。

槇原敬之の中で希少な卒業ソング。
卒業ソングって一般的にはどのような内容が多いのだろうか?あまり聴く音楽の幅が広くないものでイマイチ分からないんですが、恋愛だったり、次に進む道への期待・不安を吐露するような内容が多そうなイメージがある。
この曲に関して言うと、新しい一歩への期待も何もあったものじゃなく、とにかく今の仲間と離れること、自分が変わってしまうことへの反発を歌った内容になっています。忘れたくない、しがみついていたい、などサビで綴られるフレーズがとにかく未練がましさの塊。卒業することに対しての「寂しさ」を描いた曲はあっても、大体は希望を与える描写を入れてるようなイメージがあるけど、この曲は自分が汲み取った限りでは無い。徹底して嫌がっている。けど学生生活が楽しければ楽しいほど、「卒業」への本音なんてこんなもんな気がするし、この感情を深く掘り下げて描いているからこそ、槇原流の卒業ソングに仕上がっている気がします。

この曲は最後、1番2番のサビを繰り返しながら徐々にフェードアウトする形で曲が終わるんですけど、これもたまらない演出。先も書いたようにサビで出てくるフレーズって、一番未練がましさが増すんですけど。そんな事を最後に繰り返しているのに徐々に消えてくってのが、結局自分たちがどれだけ拒もうと、否が応でも時間は過ぎ去っていくという無情さのようなものが表れていてなんとも切ないんですけど、スッと歌い終わるより、この曲に合っているます。未練ってこんなふうにダラダラ言ってしまうものだし、あとは意外と時間と慣れが解決してくれるものでもあるのかもしれません。

槇原さんの嘆くような歌い方も非常にグッときて、なんというか演技派?な感じですね。まだ若い頃の曲なので自分の学生時代を思ったり、感情移入しやすいのかもしれません。この曲に限らず初期の曲は大人になる事や変化していく事への不安が漏れ出ているような曲が多くて、これが数年経つともう少し余裕のある落ち着いた感じになっていくんで、そういった意味でも貴重な楽曲です。

僕は学生時代、卒業する時こんな感じになるのかなと妄想して高2のときとか一人で歌ったりしてたんですけど、卒業間近、女子に告白する前準備の段階でふられたりとか想像以上にズタボロで「はよ卒業させてくれ」と思いながら卒業式を迎えてしまい、自分が情けなすぎてあんま歌わなくなりました。曲自体は変わらず良い曲だけど。

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