Mackey fan note017「僕のものになればいいのに」
1997年発売のシングル「モンタージュ」、アルバム「Such a Lovely Place」収録。
とにかく聞いてると鬱になりそうなじめっとしたアレンジが強烈。歌声もそれに合わせる形でサビ以外はずっと気だるそ~に歌っている。要所要所に挟み込まれる女の人の台詞や最後の笑い声がより不気味な印象を持たせていて、かなり異色な作品。
それもこれも大元は歌詞によるものだと思うが、内容は「好きになった相手に恋人がいる」という内容。これまでも『彼女の恋人』とか、好きになった相手に他に好きな人がいて…という三角関係の曲は今まで幾つかあったけど、それらはあくまで「片思い」で終わっている曲なのに対し、こちらは好きになった相手と関係を持つところまで行く、要は浮気をしちゃった最中の曲。浮気というテーマもテーマで、主人公に恋人がいるのに浮気をするって曲はあったけど、相手に恋人がいて…というシチュエーションは恐らくこの曲ぐらい。だいぶ細かい話だな。なので、最終的に結ばれないのにズルズル関係だけは続けているどうしようもなさとか、相手の恋人に対する後ろめたさとか、こういう行いに対するマイナスの感情を集約して具現化したのがこの曲のアレンジなんだろう。
こんだけ重たい曲で、リスクを背負ってまで関係を続けているという設定なのに、好きになったきっかけが別れた後ずっと手を振ってたからって何気なさすぎるのもいい。まあそれだけ見て一気に好きになったというより、それをきっかけに気になっていって段々とってことを言いたいんだろうけど、好きになるきっかけって何でもこんな感じなんだろうか、何気ないきっかけのチョイスとしては絶妙な感じがするが。
僕はこの曲がリリースされた約10年後にファンになったので、アルバムで聴いたのが初めてだったけど、元々は「モンタージュ」のカップリングとして収録されたという事実も興味深い。めちゃくちゃ爽やかなメロディーで純粋な片思いの感情を歌っていた『モンタージュ』を聴き終えたらこの曲が流れてくる。そこら辺の高低差は意識して収録してるような気がするけど、どうなんだろう。だとしたらなかなか意地が悪くて良い。
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