【レビュー】Tangle Tower - 塔の屋敷に起きた殺人事件を解決する推理ADV
※前半はネタバレはありませんが、序盤に知りえる事件概要に触れてます。
後半はネタバレありますが、犯人やトリックの直接な記述はありません。
後半に入る前にもう一度注意喚起がございます。
どうも、瓜(うり)です。
今回はSTEAMサマーセールのときに買った推理ゲーム「Tangle Tower」クリアしたので軽くレビューしていこうかなと思います。
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Tangle Tower
日本の定価:2050円(-30%セール中は1435円)
公式日本語:有
クリア時間:5時間弱(全実績解除・ボイススキップ多用)
おすすめ度:★★★★☆ 期待値が高すぎただけで普通に良作
話の舞台はタイトルにもなっている「Tangle Tower」という奇妙な屋敷。この屋敷は2つの塔があり、関わりが深い2つの家系「Fellow」一家と「Pointer」一家がここに住んでいる。
ちなみにこの作品では全ての人名は英語ままの表記。わかりやすいので個人的には好きだ。
主人公たちが調査するのはこの屋敷で起きた殺人事件。
概要は以下の事件ファイルの画像参照。
個人的にこの事件概要は見たときにすでに面白そうだなと思った。現場に不思議な点がいくつもあり、プレイヤーの興味を引く構成となっている。
ゲームシステムは王道なポイントクリック式の探偵ADVもの。画面の気になるところクリックすると探偵の主人公であるGrimoireと相方のSallyのコメントが聞ける。
そして評価ポイントとしては、画面中で調べられる箇所がとても多い。どうでもいいところでもコメントしてくれることが多い。個人的にこのクマちゃんのぬいぐるみを調べるときのコントが好き。
ちなみに全部のセリフがフルボイス。
さらに登場人物はみんなキャラが強い。最近のADV大体そうだけど。
殺人事件の被害者でもある天才肌の芸術家少女 Freya Fellow
被害者と一緒に事件現場に居た奇妙な老婆 Flora Fellow
別件の調査で偶然にこの屋敷に滞在中のライバル役探偵 Hawkshaw…など
最初は似たような名前が多くて覚えづらいと思ったけど、やっているうちに人物像と名前が定着するようになるほどみんなキャラが強い。
トレイラー見るとわかるが、キャラのグラフィックはすべて手描きで、喋るときや動くときはアニメーションがあり、キャラの強さに一役買っている。もちろんフルボイス!
▼トレイラー
ちなみに私が好きなキャラは庭師のガチムチマンFitzさんですね。はい。
そして一番特徴なシステムは推理パート。推理パートは適切な証拠と文章を組み合わせて正しい文章を完成させる必要がある。
ただし元の文章は英語ということもあり、ややわかりにくいところもある。
例えば上の画像は
(証拠1)は次のものを殺すために使われた:(証拠2)Freyaはそれを食べる予定だったから
これを日本語の順番で読みやすいように書き直すと、
Freyaは(証拠1)を食べる予定だったから、(証拠2)を殺すために使われた
文法の語順の関係上仕方ないことなので慣れるしかない。むしろ翻訳はかなり頑張ってるほうだと思う。ちなみに何回間違えてもペナルティはないのでプレイに支障が出ることはない。
あと途中でパズルゲームいくつか出てくる。難易度は易しめ。わからなければ間違えるたびにヒントくれるので誰でもクリアできる作りになっている。
前半総評:
推理やパズルゲーの難易度が易しめなので、歯ごたえのある推理ゲームとして期待していなければ、万人向けで誰にも遊びやすい一作だと思う。手描きのグラフィックやフルボイスのクオリティが高くて、それだけで定価相当の価値はある。
※ここからはネタバレ要素があります※
犯人やトリックについての直接な記述はありません。
画像はネタバレと関係なくてただ文字だけは寂しいので適当に何か貼るよ。
ちなみに、後半のレビューはほぼシナリオに関する問題点のみです。
まずこのゲームは確実に良作だが、私のおすすめ評価は★4になっている一番大きな原因はシナリオだ。推理ADVはシナリオが一番大事なのに、このゲームをクリアしたとき、まったく納得できなかった。モヤモヤ感がすごい。
犯人もトリックもはっきりしたのになんでだろう。
自分の考えをまとめてみると:
・Tangle Towerの閉鎖感、主人公(=プレイヤー)の疎外感
前述通り、この2つの塔に住んでいるのはすべて同じ家系の人(FellowsとPointerの2家があるが、その間も婚姻関係があるので実質同じ家系)なので、主人公とその相方(あとライバル役の探偵)以外のすべての登場人物は何かしらの血縁関係や親密な関係を持っている。しかしこのゲームはとても短いので、フルボイスということもありテキスト量は多くない。なのでキャラの掘り下げは浅いと思う。それで…なんというか、うまく言えないが、疎外感に似てる感じがずっと続いてる。これだけならまだそこまで違和感を感じないが…
・登場人物は総じて感情的・発言が曖昧
これもうまく言えない違和感だけど、簡単に言うと「登場人物が何が言いたいのかわからないときが多い」(私の理解力が低いなだけかもしれないが)。別に日本語としてがおかしいわけではなく、単純に発言は遠回し・曖昧な言い回しが多い気がする。それがシナリオへの理解を阻む。翻訳でわかりづらくなったのもあるかもしれないが、日本語版だとそう感じたときが多いかな。あと、バックログがなく、テキストボックスの表示文字数が少なめのもあって、文意理解するために前後の会話を見直すことが出来ないのもそれを助長してしまう。
・犯人の動機
犯人の動機がよくわからん。最後に犯人は語ってくれるが、何回見てもやっぱりよくわからなかった。最後のオートセーブで犯人の自白まで戻れるので念のために何回か見直した(私の母国語である中国語版でも2回ほど見た)が、やはりよくわからなかった…。これについては同じく動機が理解し難いと言われる「すべてがFになる」という有名なミステリ作品を思い出してしまった。
・ちゃんと解説されてない設定が多すぎる
最後に犯人が自白してくれるときに色々語ってくれるが、その中にはそのときに初めて出た設定や用語もあって、それについて詳しく語られることもなかったので、理解が困難だった。STEAMのレビューでもちらほら「最後が駆け足気味」「打ち切りみたいな終わり方」と指摘されてるのもここらへんが一番大きいだなと思った。
あと、これは私が見逃しただけかもしれないが、犯人がどうやって現場から姿を消したのもたぶん詳しく説明されてないかも?短くて単純なゲームなのに解説がほしいぜ…
総評
シナリオ面に目を瞑れば間違いなく万人向けの良作。とにかくフルボイスの掛け合いと手描きのアニメーションだけでも購入する価値あり。
ただし推理ものとしての出来は期待しないように。
最後にFitzの部屋見て終わろう。部屋が殺風景な男は最高だよ。
20200702