半導体集積回路の製造を手がける、中芯國際集成電路製造有限公司(SMIC)の4Q19,Sales QoQ+2.8%、マージン改善は会社計画インライン。
株価反応
2020年2月13日発表。翌14日終値は、▲5.90%のHKD16.260とネガティブに反応。しかし、2019年12月初めの株価HKD10近辺から7割近く上昇していたので、利益確定と表現した方が正しいだろう。時価総額(14日現在)はHKD82.88M(約1兆1,603億円)
4Q19 決算
売上高 USD 839.4M(QoQ +2.8%、YoY +6.6%)
株主利益 USD 75.7M(QoQ ▲10.6%、YoY 約7倍)
粗利率 23.8%(3Q19:20.8%、4Q18:17.0%)
稼働率 98.8%(3Q:97.0%、4Q18:89.9%)
4Q19会社計画比
ほぼ会社計画どおりの着地。営業費用は計画よりも下回ったため利益は上ブレ。
4Q19決算背景
増収減益。出荷数量増加とミックスの改善により稼働率改善し、粗利率も改善。また第1世代のFinFET 14nmが量産スタートし、売上寄与は1%。
1Q20 ガイダンス
売上高 QoQ+0.2%
粗利率 21%〜23%
営業費用 USD約300M(約330億円、特殊要因覗く)
見通し
2020年は成長を取り戻す年にする。1Q20は例年よりも少し良い。特に、CMOSイメージセンサーやパワーマネジメントIC向けなどの需要は強い。
<コメント>
TSMCやSamsungが最先端の技術で業界をリード。トップ集団の開発主戦場は今は7nm以下。SMICは4Q19で14nm量産スタート。技術開発競争では後発。かつてTSMCやSamsungで働いていた技術者を採用し、先端技術の開発力強化を進めている。
売上分析
下の図、4Q19で14nmの売上寄与度が1%。一般的に線幅が小さいものであればあるほど付加価値が高いため、高単価、高収益率(量産化して稼働率が高い水準で安定という前提)。
出荷と稼働率(Shipment and Utilization)
徐々に改善傾向。かつては大手が仕掛けた価格競争に巻き込まれ、コスト競争力に劣後するSMICはシェアを奪われ稼働率が下がっていたが、データセンタ、ゲーミング、スマホ、自動車電装化、IoTなどの市場拡大に伴い、稼働率が改善していったものと考えられる。
参考資料
https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2020/0213/2020021300683.pdf
https://www.smics.com/uploads/5e44f248/Q4_2019%20Financials-0-6.pdf
業界動向
中国は今や最も大きいIC市場となった。20年前の2000年では国別市場シェアは7%のUSD16Bだったが、2019年予想値では48%シェア、USD204Bの規模にまで成長。
US $64B→$52B
Japan $41B→$29B
China $16B→$204B
中国のIC市場が急成長した背景は、Huawei、Lenovo、小米、OPPOなどの中国ブランドの急成長が大きく牽引したため。
FinFET 14nmが使用される主なアプリケーションと市場成長見通し。
主にSmartphone、Smart TV & STB、NetworkingやConnectivity、Auto、AI、IoTに利用される。また市場成長率(2019~205)は年率7.8%で伸びると予想されている。
参考資料(業界動向)
https://www.smics.com/uploads/SMIC%20Presentation%202019%20Q3-English-1.pdf
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?