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6坪しかない小さなお店が考える「売れ筋の使い方」

「売れ筋」という言葉を本格的に学ぶきっかけになったのは、無印良品で働いていたときに出会った1冊の本だった。

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実行力100%の会社をつくる」というこの書籍。

著者は、無印良品の立て直しにも関わった大久保恒夫(おおくぼつねお)さん。
ユニクロを2年半で、営業利益が60億円から1000億円と約16倍へと引き上げたり、成城石井を社長として再建された小売立て直しのスペシャリスト。
当時出版された際には、ファーストリテイリングの柳井さんと良品計画の会長だった松井忠三さんの推薦帯がついていたため、本屋でみつけてすぐに買った。

「売れ筋」を売る手法は、大久保恒夫さんがいたイトーヨーカ堂がかなり早い段階で取り入れて強みにしていったことは意外と知られていない。
1965年に最小の在庫を管理する単位(業界用語で言うSKU)として「単品」概念を導入していて、更に日本の小売業としては最も早い1967年にコンピューターを導入していたりする。

男性用のシャツを1シリーズで売上管理するのではなく、色とサイズでそれぞれに商品番号をつけ、売上を把握し在庫の持ち方まで変えていく「単品管理」という手法。
それは、イトーヨーカ堂の子会社が運営をはじめたセブンイレブンで洗練され、圧倒的な強みとなっていった。

これだけ聞くと、大手の用いる手法であって、私のような小さな文具店においては別に知らなくてもいいんじゃないの?と思われる方もいると思う。
売れ筋を売らなくても、ロングテールと呼ばれるようなニッチな分野もインターネットで食える時代だ。
それはそのとおりだと思うし、否定する気もない。
でも、大手がどんな手段で商品を売っているのかを知ることは大切だ。
しかも、意外と小さなお店も知っていて損がない話を「売れ筋」や「単品管理」からは知ることができる。

このnoteでは、6坪足らずの私のお店が「売れ筋」とどう向き合っているのかを実体験も踏まえてご紹介できればと思う。

市場全体の「売れ筋」をチェックすることは、小さなお店にとって即効薬ではない

売れ筋商品は売れてない商品と比べてとにかく売れる。
売上グラフを上位商品から並べてみた時、だいたいの人は下のようなグラフをイメージしていることが多い。

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左から売れている商品の売上数を並べていったとしたら、上位が少し飛び出ていて、あとはなだらかに下がっていく・・・みたいなイメージを持っている人が多い。

しかし実際には20%の売れ筋商品で商品全体の売上の80%を占めるといわれるぐらいに、売れ筋上位のものは売れる。
それは、下のグラフのような首と尻尾の長い恐竜のような姿を描く。
その姿から「ロングテール」なんて呼び名がついているほどだ。

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ロングテールについて、Wikipediaの説明をみるとこのように書かれている。

ロングテール(英: long tail)とは、インターネットを用いた物品販売の手法、または概念の1つであり、販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えること、または対象となる顧客の総数を増やすことで、総体としての売上げを大きくするものである。
Wikipedia 「ロングテール」より上図も含めて引用

小売店には在庫を置ける売場や倉庫の量に限りがある。
そして、売れ筋と呼ばれる商品は上位20%の商品で売上の80%を占めると言われるぐらいに売れる。
在庫をいかに売れ筋商品で埋め尽くしていくかというのは、面積の限られた小売店舗にとっての生命線だ。
セブンイレブンのようなコンビニであれば棚に並べられた商品の移り変わりは、市場を反映するかのように変わっていく。
2020年3月の現在であれば、本屋で売り切れが相次いでいるジャンプの漫画「鬼滅の刃」のような商品をいかに仕入れて売ることができるかが鍵になる。

一方でAmazonのようなインターネットという実際の売場のいらない店舗では、右側の1年に1個しか売れないような商品も販売ページを作っておけば売ることが容易である。
Amazonはこの恐竜の尻尾のような「売れ筋ではないもの」の販売をITを通じて行ったことが成功の一因となっていることは間違いない。

ただ、こうなってくると、資本も立地もITの技術もないうちのお店には戦う術がない。
「売れ筋」商品は大手量販店が送料無料、ポイント還元をしながら販売しているし、「死に筋」商品もAmazonプライム会員なら配送料無料で買えるものが多い。

要するに市場全体に目を凝らしても、強敵が多すぎるのだ。
おまけに市場の興味の移り変わりは早く、そこについていくのもやっと。
市場全体の売れ筋を知ることは必要だけど、それ自体が即効薬になる時代はすでに終わっている。
自社でオリジナル商品を出していない(三角コーン看板以外)私のお店ではそれは更に顕著で、売れ筋なんて関係なく好きなものをただただ売るしかないのだろうか・・・という気分になってくる。
そんな悩める状況下でも、小さいお店なりに「自店での売れ筋チェック」はすることができる。

自店の「売れ筋チェック」をすることで、次のスターを発掘する

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私のお店はこれまでのnoteを読んでくださっている方はご存知だと思うけれど、非常にニッチな品揃えをしている。

その尖り具合から、取り扱っているメーカーのデザイナーさんに「山下さんのお店は平べったくなくていい」という褒め方をされたことがある。
どういうことですか?とお聞きすると、市場の定番ともいえる売れ筋商品が置いてあるだけの売場は退屈でのっぺりとして感じるというような言葉が返ってきて、なるほどな・・・と思った。

とはいっても、立地は大阪府箕面市というなかなかな陸の孤島。
今年2020年には大阪の中心地からも、御堂筋線でそのままお店まで直通で来れるようになる予定だったけれど、その工事の完成も3年延期。
BASEのようなプラットフォームに商品をアップしても、なかなか売れない状況が続いていた。

そんな状況が今年に入って少しだけ変わった。
きっかけは年末の暇な時期に書いたnoteの記事だった。

ツイッターで年明けに拡散され、メーカーの在庫を全て緊急出荷しても売り切れてしまうぐらいに商品が売れた。
でも、この商品が売れたきっかけには間違いなく「自店の売れ筋チェック」が絡んでいる。

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noteに掲載して売上が爆発するまで、SOGUさんの9° BOOK STOPPERという商品は、決して店舗の売れ筋上位の商品ではなかった。
なにせ、本を9度の角度をつけて傾けることで、本そのものをブックエンドにしようという商品である。
デザイナーである三宅さんも「売れなくてもいいから作りたかった」と言っていた商品だし、なかば心意気を買うかのように仕入れた商品でもある。

にもかかわらず、売れ筋をグラフにした時、毎月確実に売上はあがっていた。
売れ筋としては中の上。
また、作り手の想いも詰まっている商品なので、お客様と店舗で会話をしていても好印象だった。
そこで、時間をかけてでもnoteでメリットをまとめ、コンテンツとして発信していくことにした。
私のお店なりのスター候補に目星をつけて、育てる方法を選んだ。

結果として商品はブレイクし、その後も安定的に売れている。
これはあまり知られていないことだけど、看板商品ともいえるスター商品が生まれると、在庫の持ち方が楽になる
同じ売上をあげるために、何を売ればいいのか判断しきれずたくさんの商品をまんべんなく仕入れるよりも、押し出したい商品を中心に在庫を持つ方が管理の手間も在庫スペースも金額も楽になる。
そうなったら、無闇に今のスターを推し出す必要もなくなる。

最所あさみさんも記事にされていたけれど、売れすぎるというのも怖い
できればスターは消耗させず、一過性のヒットと言うよりは細く長く売っていきたい。(とはいえ、最所さんのいうバズると私のnoteでのプチバズりでは大きな差があるが)
スターの誕生で得た資金や時間を使って、私は次のスターを探すというサイクルをまわしていくように心がけている。
そして今後はメーカーと協力して次のスターを作るところをやっていかないと、D2Cというワードがチラ見えする現代を生き残っていけないような気がしている。
そして、その時には店舗でのお客様の生の声というのは、リアル店舗が少なくなっていく現代において力になるのではないかと思っている。

小さなお店が「売れ筋」を活用するということ。

自店だけのスター(売れ筋)を作り出す作業は結構めんどくさい。
まず、市場全体でなにが売れてなにが売れていないのかを把握する「市場全体の売れ筋チェック」
次に、自店でなにが売れていて何が売れていないかを把握する「自店の売れ筋チェック」
そして、自分のお店のもつ力(世界観やコンテンツによる発信力)で育てていく「スターの育成」
更に誕生したスターが生んだ「余裕」を次のスター発掘につなげていく「サイクルの運用」

仮設を常に立て、売れ行きを数字で確認し、可能性のあるアイテムを育てていくこと。
そこにはたぶん大手も私のお店ような小さなお店も関係なく必要なことだ。
大手が導入しているシステム、分析手法や商品開発力は私のお店とは桁が4つぐらい違うだろうけど、小さなお店こそ売れ筋を知って活用していかないと戦えないと思っている。

あくまで私のお店の私なりの考え方ですが、誰かの参考になれば幸いです。

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ドケットストア店主。無印良品を運営する良品計画で店長などをつとめ独立。文具と収納用品のラベリングをテーマにしたお店を大阪府箕面市で運営。三角コーンで看板を作ったり宝塚の老舗カフェ百合珈琲のPMをしています。 https://docketstore.storeinfo.jp