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みんなが考えたくもない【電子帳簿保存法の改正義務化】でやるべきことを、超わかりやすくまとめてみた

「お正月くらい、お酒を飲んでゴロゴロしていたい」

個人事業主としてお店をやっていると、ついつい働くペースをコントロールできなくなる。
みんながお休みの時にこそお店を開いて、しっかり売上を上げる。
それは理論上は効率的なんだけど、休むときはしっかり休んでおかないといざというときに力が出ない。

だから今年は三が日くらいはゴロゴロしていようと思ったのだけど……なにか忘れているような……

そう。
人はギリギリにならないと思い出さない。
いや、見ないようにしていたというのが正しい
大晦日に紅白を見ながらようやく、2024年1月1日から「電子帳保存法」の改正内容が義務化されるという事実に向き合うことになったのである。

そして、周りに話を聞いて教えてもらおうとしても、結構みんな調べてない。
税理士さんがついている人はまだ、年が明けてからでも教えてもらいながら対応できるけど、税理士さんをつけずにやっている小さなお店や個人事業主さんだってたくさんいるけれど、インボイス制度だけでも手一杯なのにそんなとこまで手が届かないよというのが実情だ。

そんなわけで、今回は電子帳簿保存法の改正に伴って、最低限やらなければならないことをできるかぎりわかりやすくご紹介する。
こたつの中でぬくもりながら、気軽に読んでもらえれば嬉しい。

電子帳簿保存法の改正ってなに?

電子帳簿保存法の改正という漢字の並びだけでも「もう無理」ってなっている人がおおいと思う。
電子で帳簿で保存なわけだから、なんかパソコンとかインターネットが絡んでるんじゃないの?と思った方は素晴らしい。
それだけで100点を差し上げたい。
そんな法律が改正、つまり新しく変わった部分があって、なんか違うことやらないといけないと感じられたなら120点をさしあげる。

主に電子帳簿保存法の改正は、下の3つの項目が関係している。

①「電子帳簿等保存」
②「スキャナ保存」
③「電子取引」

スキャナなんて単語が出てきたので、なんか機械を買ったりしないといけないのか?と怯えた人は安心して下さい。
とりあえず最低限だけ対応したい人は③だけで大丈夫。
①と②は任意。
つまり、今のところやりたいひとはやればいいよという内容なのだ。

では「③電子取引」という部分にどんな違いが出るのか。
ここだけに絞って考えていきたい。

電子取引ってなんだ?

個人、会社を問わず誰もが影響を受けるのが「電子取引」の部分だ。
電子取引に関わるルール変更を噛み砕いて説明するとこうなる。

メールやネットでダウンロードした「領収書」や「請求書」は、データのまま保存してね

これだけ。
これだけである。

これまでは、紙にプリンターで印刷して、コンビニとかの領収書と一緒に保存していた人も、「領収書」「請求書」をデータで保存してくださいね。
こういう話なのである。

ここまで読み終えたら、スマホを消して、一眠りしても良いかもしれない。
だいぶ脳には負担がきている人もいるだろうと結構本気で思っている。
でも、読むのをやめるのはやめておいた方がいい。

ああ、パソコンのフォルダに領収書や請求書をまとめて保存しとけって話ね、はいはいおつかれー。
これだけですめばいいのだけど、これだけではすまないのだ。

この保存方法にこそ、私達の頭を痛める要素が入っているのだ

保存方法についても主に3つのルールが出てくる。

①ディスプレイ・プリンタ等を備え付ける
②「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
③改ざん防止のための措置をとる

①ディスプレイ・プリンタ等を備え付けるについては、そもそもメールやインターネトをするためには、スマホでもパソコンでも「画面」が付いているし、プリンタについては、近くのコンビニで印刷できてもOKという基準なので、ほとんどの人は問題がないのではないかと思う。

②「日付・金額・取引先」で検索できるようにするは、売上規模が「5,000 万円以下」であれば、税務調査が来たときなどに、領収書などのデータを税務調査に来た担当者にコピーを渡せれば大丈夫となったので、ここも大きく気を使わなくて大丈夫だろう。

となると問題は、③改ざん防止のための措置をとるという部分。
ここがなかなかにややこしいので、引き続き説明を聞いてもらえればと思う。

改ざん防止のための措置をとる

スマホやパソコンを使って簡単に写真を修正できるようになった今の時代。
請求書や領収書のデータも言い方を変えれば「改ざん」できてしまう。

数字を意図的に増やしてしまったり、減らして申告をしたりすればもちろんそれは脱税行為につながる。

そしてそもそも「改ざん」が起こせないように、国税庁は下記のような方法を選択制として提示している。

①タイムスタンプを付与
②訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存
③改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る

もう、頭がくらくらしてきた人もいると思うけど頑張って欲しい。
ここが一番の山場だ。

①タイムスタンプを付与は、言葉だけ見るとすごく簡単そうに見える。
「ああ、日付と時間のついたハンコを押す」だけでいいのかな?みたいなフレンドリーさがカタカナから発せられているのだがそれは違う。

タイムスタンプとは、「付与された時刻にデータが存在していたこと」「付与された時刻以降にデータが変更されていないこと」を証明するためのもの。
しかも誰でも勝手に発行できるわけではなく、「時刻認証業務認定事業者(TSA)」なる秘密組織みたいな文字の並びの事業者にのみタイムスタンプの発行が認められている。

大きな会社規模であればこういった認定事業者と契約して、タイムスタンプの仕組みを独自に構築することもあるかもしれないけれど、費用がもちろんかかってくる。

そこで、②訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存という手段が登場することになる。
CMなどでもよく見かける「クラウド会計ソフト」なんかを使う方法がここに該当するだろう。
もちろんきちんと電子帳簿保存法の改正に対応したシステムは、月額利用料もかかるところなので、こちらも必ずしも誰もが選べる選択肢とはいえないだろう。
さらに、訂正や削除の記録も残るので保存に関してはバッチリ!というところにも落とし穴がある。
そう。保存に関しては……の話なのだ

国税庁 電子帳簿保存法一問一答 問38より引用

よくよく調べてみると、実は電子帳簿保存法の改正に対して、クラウド会計ソフトで領収書等を保存すれば万事解決というわけではなかったりする。
②訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存には授受、つまりは領収書データのダウンロードまで求められている。
メールで領収書をもらって、パソコンにいったんダウンロードして、クラウド会計ソフトにアップロードして……とやっている作業は「授受」にあたるため、これだけでは十分ではないというのだ。
これは結構な落とし穴だと感じられる。

クラウド会計ソフトを使う選択肢、②訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存を選んだ人にも重要となってくるのが③改ざん防止のための事務処理規程を定めて守るという、次の内容となってくる。

事務処理規程を作ろう

「改ざん防止のための事務処理規程」とは、要するに改ざんをしませんよというルールを会社や個人事業主が作って守ってます!というルールづくりだ。

このルールを文書として作成し、ちゃんと守れば、領収書や請求書にタイムスタンプを押すためにシステムを構築したり、クラウド会計ソフトに月額を払わなくても、電子帳簿保存法の改正に対応することができる。

国税庁のサイトより引用

事務処理規程のサンプルは、国税庁のホームページにWord形式でアップされているので、これをもとに作るのが一番わかりやすいと思われる。
税理士さんがついていれば、この内容を細かく事務処理にあわせて変えられるのではないかと思うけれど、税理士をつけてない方は基本的にこの内容をそのまま使うケースが増えるのではないかと予想される。

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

この規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関 する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を適正に 履行するために必要な事項を定め、これに基づき保存することとする。

(訂正削除の原則禁止) 保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。

(訂正削除を行う場合) 業務処理上やむを得ない理由(正当な理由がある場合に限る。)によって保存する取引
関係情報を訂正又は削除する場合は、「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載 の上、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、当該取引関係情報 の保存期間に合わせて保存することをもって当該取引情報の訂正及び削除を行う。
一 申請日
二 取引伝票番号
三 取引件名
四 取引先名
五 訂正・削除日付
六 訂正・削除内容
七 訂正・削除理由
八 処理担当者名

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(個人事業者の例)(Word/18KB)より引用

内容はこんな感じ。
基本的に訂正や削除をしないことと、やむを得ず(どんな時なんだろう)訂正をする場合に残す情報を項目としてあげているのがわかる。

ひとまずは事務処理規程を作って、メールやダウンロードした請求書や領収書をパソコンのフォルダに保存する。
ここまでやれば、なんとか電子帳簿保存法の改正には対応できるはずだ。
もちろん、パソコンが壊れたときのバックアップをどうするかなどの問題もあるが、スタートラインには立てると思う。

②訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存でも少し触れたけれど、クラウド会計ソフトなどを使う場合にも、データの授受についてはこのように行うという「事務処理規程」を作成することが求められる。
各社がサンプルは用意していると思うので、クラウド会計ソフトを使っている人も一度確認されたほうがよいと思う。

確定申告を寝正月の間に終わる時代になるまでに

AIがめんどくさい仕事をやってくれるようになるのが本当に待ち遠しいけれど、今回の電子帳簿保存法の改正の対応には間に合わなかったようで、年越しに大慌てすることになった。

せめて今回調べた内容が、これから電子帳簿保存法の改正義務化に対応する皆さんの助けになれば嬉しい。
また、詳しい法律などに関してはあくまで素人なので、税理士さんや税務署等にご確認いただきながら対応いただければ幸いです。

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