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まだ使ってない個人事業主のあなたのために 【小規模事業者持続化補助金】を、超わかりやすくまとめてみた

「補助金は麻薬だ」

そんな話を、独立する前に耳にする機会があった。
きちんと、自前のお金と経営でやってきた商店街が、次第に補助金をどうやってもらうのかを考えるようになってしまい、自分の力では走れなくなってしまう。
そんな話をきいて、額に汗せず掴んだあぶく銭の恐ろしさみたいなものが怖くて怖くて、なるべく頼らずにお店を開いてここまでやってきた。

でも、新型コロナウイルスの影響はすさまじかった。
うちのような小舟は今にも沈みそうな大波の中で今ももがいている。
ただそれは、これまで深く考えずに、どこか遠ざけてきた「お金」の話を改めて見直す機会にもなっている。
そして、実際に私はある補助金を申請することにした。

今回は、この嵐を越えるために、従業員もいない個人事業の小さな小さな文具屋が申請した経産省中小企業生産性革命推進事業「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)」なる制度のことを、「おもいっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっきりわかりやすく」して、皆さんに共有したい。

なぜわざわざそんなことをするのかといえば、noteを読んだりするクリエイター、お店をやってる人でまだ利用していない人がいれば、確実に役立つ制度だからだ。
そして、漢字がずらりと並んだ超絶難しそうな名前を見ただけで「うっ」となってしまうけれど(超わかる)、それを乗り越えて申請をすれば、2020年10月2日(金)の期限めがけてまだ間に合うからだ。
持続化給付金と名前が似ているというだけで、気づいていない知り合いもたくさん見てきたからだ。
更に言えば、私自身がこのnoteに書く内容を誰かが教えてくれていれば、すんごい楽だったのに!と思ったからだ。

そのため、今回はうちのような小さなお店や、オリジナルアイテムを展開しているデザイナーやイラストレーターでも使用しやすい「非対面型ビジネスモデルへの転換」を例に、かなり噛み砕いて紹介する。
細かい部分については解釈の違いが発生するかもしれないので、ぜひお店や事業所の最寄りの商工会議所に相談してみてほしい。
特に何か会費を払っていたりしなくても、電話で予約をとれば詳しく相談にのってもらえる。

持続化補助金ってなんなん?

さて、この「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)」(以下長いので持続化補助金)。
どんなものなのか、公式ページからダウンロードできる公募要領を読んでみよう。
ただ、読んでいて頭痛を感じた場合は読み飛ばしてOK。

新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるために、具体的な対 策(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク 環境の整備)に取り組む小規模事業者等(注1、注2、注3、注4)が経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3または3/4を 補助します。補助上限額:100万円(注5)。
さらに、業種ごとのガイドラインに基づいた感染拡大防止の取組(事業再開枠) を行う場合は、定額補助・上限50万円を上乗せいたします。

公募要領(第6版)p3より引用

どうだっただろうか。
なんとなくコロナの影響を乗り越えるために、100万円や上乗せの50万円が補助として出ることがわかっただろうか。
これをかなりざっくりと、今回必要な内容に抜き出すと下記のような意味合いになる。

コロナに負けずに商売していくために、従業員が5人以下のお店なら、ネットストアをつくるためのお金などを、かかる費用の3/4、最大100万円まで補助しますよ。

かなり乱暴にまとめるとこんな意味合いになる。
どうだろう。魅力的ではないだろうか?
でも、そんなことを言われても、ネットで商品を売ったこともないし、何を売ったらいいのかわからない・・・。
そんな人も難しく考えなくていい。

実際の補助金申請でOKが出た例を見ていると、「焼肉屋さんが秘伝のタレをネットで販売したい」といった申請や、「工場見学を遠隔で行う」サービスなんかも出てくる。
採択例一覧ページを眺めているだけで、自分の事業に似た採択者(補助金のOKが出た人)からヒントをもらえるはずだ。
いつもは対面で売っていたものを、ネットで売るために申請に動けば、33万円の自己負担で、最大100万円の補助を受け、133万円の成果物を武器として得ることができる。
もちろん、自己資金に余裕がない場合は申請額自体をコンパクトに押さえることもできるし、いまならコロナ対応の支援という形で利子の少ない借り入れもしやすい。

また、新型コロナウイルスの影響で売上が下がっていることを証明すると、採択された時点で補助金申請額の半額を先に受け取ることができる「概算払い申請」という仕組みも今回は特別に取り入れられている。
新型コロナウイルスの第2波、第3波の不安が拭えない中で、ネットでの販売力を手に入れておくことは無駄ではないし、コロナ収束後も必要な販路として残っていくはずだ。

ちなみに、既にBASEやSTORESなどのECプラットフォームを利用しているお店も、新たにネットストアを独自に作ることで補助対象となる。
しかも、既存のBASEのショップページをそのまま使い続けて、両方を使い続けるということもOK。
これは、申請が必要な計画書の例文自体、このような内容になっているので間違いないだろう。

ちなみにこの制度では、デザイナー等のクリエイターも商業・サービス業を営む小規模事業者としてカウントしてもらえる。
デザインの仕事も営業をするとなると非対面型だと難しいということで、ZOOMなどのウェブでのミーティングに繋げられるようなホームページ作成も申請方法によっては補助金の対象となることを考えると、お店の人だけに必要な補助金ではないと言える。

ネットストア以外には使えないの?

非対面ビジネスとしてわかりやすい例として「ネットストア」をあげたけれど、公募要領を見てみれば、いろいろな使用例が乗っている。

<補助対象となり得る販路開拓等(生産性向上)の取組事例>
・新商品を陳列するための棚の購入
・新たな販促用チラシの作成、送付
・新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)
・新たな販促品の調達、配布
・ネット販売システムの構築
・国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
・新商品の開発 ・新商品の開発にあたって必要な図書の購入
・新たな販促用チラシのポスティング
・国内外での商品PRイベントの実施
・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言
・新商品開発にともなう成分分析の依頼
・店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)

公募要領(第6版)p32より引用

この通り、様々なことに使用することができる。
大前提としては、基本的には1年以内に売上を見込めるような取り組みを行っていく必要があるので、なんでもかんでも申請していたら補助金は出ない。
だけど、補助対象経費の6分の1以上がネットストアの構築(公募要領での言葉を使えば【非対面型ビジネスモデルへの転換】)に使用されていれば、時代に合わせて必要とされる新商品開発のために、ブランディングの専門家から指導や助言を受けると行った費用も捻出することができる。

活用方法次第では、新型コロナウイルス発生以降の世界を生き抜く上での様々な武器を手に入れる機会にもなりうるだろう。

侮れない事業再開枠

事業再開枠という耳慣れない言葉は、商工会議所で説明を受けるまではどういう存在なのか全くわからなかったし、そこまで興味もなかった。
ただ、持続化補助金の申請が通らないと単体では申請ができない「事業再開枠」はなかなか侮れない

これは内閣官房といういかにも重要そうなところがページを作って紹介している「感染拡大予防を行うために決められた基準」を守るための費用を、最大50万円まで全額補助しますというもの。
持続化補助金が3/4の補助だったのに対して、全額負担してもらえるというのだ。
ちなみにどんなことに使えるのか、公募要領を見てみると以下のようにある。

【「事業再開枠:感染防止対策」の取組事例イメージ】
○消毒設備(除菌剤の噴霧装置、オゾン発生装置、紫外線照射機等)の購入、消毒作業の外注、注消毒液・アルコール液の購入 。
◯マスク・ゴーグル・フェイスシールド・ヘアネットの購入
◯清掃作業の外注、手袋・ゴミ袋・石けん・洗浄剤・漂白剤の購入
◯アクリル板・透明ビニールシート・防護スクリーン・フロアマーカーの購入、施工
◯ 換気設備(換気扇、空気清浄機等)の購入、施工
◯クリーニングの外注、トイレ用ペーパータオル・使い捨てアメニティ用品の購入

公募要領(第6版)p51より引用

アルコール液、マスク、アクリル板など。
これからも長引いていきそうな新型コロナウイルスとの日常の中で、お店にとって必要そうなアイテムが目白押しなのである。

中でも注視して見てほしいのは「空気清浄機」
ダイキンやシャープが製造している高性能な機種やデザイン性も両立している機種だって、必要に応じて手に入れることが可能となる。
また、お店だけでなく、デザイナーがオフィスで対面での打ち合わせを行う場合にも必要な機器として申請をすることもできるだろう。

また、直接日本商工会議所の持続化補助金事務局に問い合わせしたところ、空気清浄機付のエアコンも対象であると返答をもらった。
小規模事業者であれば、シャープさんが「空気清浄機と呼べる、唯一のエアコン」と謳って販売しているエアレストも補助の対象となる可能性がある。

もちろん、必然性のない申請はもってのほかだけど、必要に応じて空気清浄機を手に入れ、お店等で運用することは感染拡大を押さえるために大切なことだ。
それもできることなのであれば、お店をよりよい環境にしながら、費用負担をおさえて行いたい。
そのために事業再開枠は大きな力になる

補助金という「薬」

冒頭に紹介した「補助金は麻薬だ」と言う言葉はかなり乱暴な物言いだ。

でも、たしかに補助金は「薬」なのだと、今回自分自身が持続化補助金の申請を行いながら感じた。

この、新型コロナウイルスという病は、私のような小さなお店を営む個人事業主にとって、事業に死を招きかねない病である。
経済のこれからは不透明だけれど、持続化補助金という薬を適切に使うことができれば、ネットでものやサービスを売るチャンスにつながるかもしれない。

一方で、「薬」は使い方を間違えれば「毒」になる。
商いを通さず、お金をもらうという行為は、日々の試行錯誤の中で利益を得てきたこれまでの価値観を壊してしまいそうなほどの甘美さをもっている。
意識が補助金に向き続ければ、経営も補助金頼りになるし、働く力を失いかねない。

ぜひそんなことも頭の片隅に留めながら、この補助金の情報を活用してもらえれば嬉しい。

また、ざっくりとまとめているので、曖昧になってしまっている部分や解釈の間違いもあるかもしれない。
そのあたりは、持続化補助金の公式サイトや、お店や事業所のある地域の商工会議所に聞いてみてもらえればと思います。


【8/2追記】
この記事の反響と問い合わせがあまりにも多かったので、申請方法についても躓きそうなところをフォローした続きの記事を急いで書きました。
1万字近くかけて、ワードのちょっとした使い方まで網羅しています。
少しでもこの記事があなたのお役に立てば幸いです。

8/24追加 この記事を発端にお店でサーモグラフィカメラを取り扱うことになりました。事業再開枠でも購入できるので、参考にしていただければ幸いです

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