140万のECの海を漂いながら、 わたしが「当たり前」をわかりやすく書く理由
「あの瞬間、都心の一等地のビルとうちみたいな郊外のお店の立地条件がリセットされたように感じたんですよ」
幾度となくそんな話をこの1年は重ねてきたように思う。
そう。ここでいうあの瞬間とは2020年4月7日。
政府がはじめて緊急事態宣言を発令したあのタイミングのことだ。
都市の主要な駅近くの商業施設は休業を余儀なくされ、小さなお店を営む個人事業主である自分も、そもそも営業を続けるのか、ネットストアだけにするのか、それともいったん店を閉めるべきなのか…
そんなシビアな判断を求められることになった。
それからもう一年。
少しずつ感染が落ち着いていくかという期待は、変異型ウイルスの影響を受けてもろく崩れ去った。
最もショックだったのは大好きな祖母と幾度となく訪れた神戸三宮の東急ハンズの閉店。
新型コロナウイルスが落ち着いても、もう前と全く同じ生活には戻れないという事実を改めて実感させられた。
今再び大規模な商業施設を初め様々な施設が休業状態に入り、うちのお店もネットストアを頼りに日々を過ごしている。
おうち時間、リモートワーク、ZOOM飲み会…ひと通りのことは流行として通り過ぎた今、実際にお店をとりまく環境も変わりつつあるように感じている。
今回はそんな気づきを共有させていただければと思う。
郊外に押し寄せる、都心という受け皿を失った人の流れ
自慢じゃないけどお店は大阪の中心からは遠い。
家からお店までの通勤もバイクだし、人の多いところを避けて生活できている方だと思う。
そんなこともあって、緊急事態宣言の有無に関係なく、お店まで来店してくださるお客様は一定のペースだし、その御蔭でゆっくりコミュニケーションをとったり、三密を避けた営業もしやすい方だと感じている。
ただ一方で、新しいお客様は増えた。
それは遠方から訪ねてこられるお客様が減っている分、地元に住む方がこの機会に都心のような人の多い場所を避けて地元のお店で面白いところはないかとアンテナをはって動いていらっしゃるからなのかなと感じている。
そういった意味では新型コロナウイルスは、ローカルを見直すきっかけにもなっていると言える。
その一方で、新型コロナウイルスが落ち着いたらまたお客様の入れ替わりがあるのかなとも考えながら過ごしている。
売場6坪の小さなお店は、世間の情勢の波に揉まれる小舟のように流されながら浮かんでいる。
メリットがあるとすれば、意思決定の速さだと思う。
これからも様々な外部的な情勢の変化によって進む方向を変えていかなければならなくだろうという頭で、舵に齧りついて航海を続けていく必要性には胃が痛くなることもある。
ただ、目まぐるしく情勢が動く中で、様々な状況に即対応していくことは大きな会社には逆に難しいことなので、うちのような小さなお店の腕の見せどころ…というふうに前向きに捉えつつ日々を過ごしている。
アマゾンがインフラになり、猫も杓子もネット販売を展開する中で
AMAZON、楽天、ヨドバシカメラ…
大手通販のサービスは本当に便利だ。
もしこれらのサービスがなかったら、新型コロナウイルスの驚異の度合いはもっと強烈なものになっていたのかもしれないと思うぐらい、自分自身もその便利さを噛み締めている。
更にもう一方で、これまでネットでの販売を行ってこなかったお店もたくさんネットストアを開設することになった。
うちのお店も利用しているBASEさんの発表によれば、2019年3月で70万店舗だった出店数が2021年3月までの2年間で倍の140万店舗に到達。
2年間に70万店舗ものネットショップがネットストアに出店した…というのは想像しようにもしきれないぐらい大きな数字だけど、もちろん出せば終わりというわけでもなく、いかに商品を販売するかという難易度は元からネットストアを開いていたうちのお店にも高いハードルとして訪れている。
また、そのネットストアのクオリティも底上げされたのではないかと考えている。
というのも、昨年私自身も利用した小規模事業者持続化補助金という制度を利用すれば、ネットストアの開設などに最大100万円の補助が出ていたからだ。
デザイナーにデザインを頼んで、商品の撮影もプロに頼んだとすればクオリティは必然的に上がる。
ネット通販の需要は拡大していても、アマゾンや楽天が王者として送料無料やポイント還元をする中で、たくさんのネット販売者の中で商品を販売するというのはまさにしのぎを削りまくる血みどろの海、レッドオーシャンだと言える。
求められる実在の証明
そんな、ネットストア大戦国時代の中で、個人的に思っていることがある。
それは、「きれいな写真やクオリティの高いデザイン」では、どうしたって資本の大きなところには敵いっこないということだ。
なにをそんな当たり前のことを言ってるんだと思われるかもしれない。
けど、それは認めざるをえない事実だし、そこを見据えた上で他の何かで対抗するしかないと思う。
そんな時にふと思ったのは、「当たり前のことを文章にして伝えてみよう」ということだった。
きれいな映える写真が得意な店はたくさんある。
洗練されたブランドのストーリーを高らかに謳うお店だってあるだろう。
だけれど意外と、お店にいると当たり前過ぎだし、常連さんならわかっているだろうことって、ネットでは伝わっていなかったりする。
直接会って、空間や会話を通じてオーダーメイド的に接客ができたこれまでと違って、たくさんの一見さんに自分のお店のことや、商品への考え、おすすめポイントを伝えること。
ネットストアに求められていることがあるとすれば、そこなんじゃないだろうか。
きれいな写真も、洗練されたデザインも、どこのネットストアを見ても手にしているとすれば、差別化の要因にはならない。
なら、アマゾンでは伝えられないこと。
商品を仕入れた理由、感動したポイント、日常でどんなふうに使っているのか、そんな当たり前のことこそが、かっこいいブランドと比較して「特徴」となりうるのだと思う。
必要以上に溢れ、見飽きてもはや同じにすら感じられるネットの情報の中で、そういった「実在の証明」を叫び続けることは、「気軽に遊びにきてくださいね」と言えない今の時代にうちのお店でもできるアプローチ方法なのだと思っている。
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