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スマートウォッチ入門の最適解 CMF by NothingのWATCH PROの素晴らしいさじ加減の話

なんて素晴らしい「時計」なんだ

5年以上前。
はじめてApple Watchを身に着けた時。
そんなことを感じたことを今も覚えている。

そう。
SNSの通知や、Siriでの音声入力や、天気予報のお知らせ機能も関係なく。
私にとってApple Watchは、「時計」として必要不可欠なものだった。

接客業をしている私には、お客様とのトークに集中しているとついつい時を忘れて大事なミーティングや仕事を忘れてしまうことがあった。
かといって、先の予定ばかりに気をとられていると、今やるべきことに集中することができない。

そんな時、お客様に気づかれずに振動で指定時間になるとお知らせしてくれるApple Watchは神アイテム。
仕事始めに、複数の時間に好きなだけアラームを設定しておけば、時間になったと同時に腕で優しくApple Watchが震えるのだ。
トラブルなどで打ち合わせに参加できそうにない場合にも、予定時刻の5分前に手元が振動した瞬間、約束の時間に間に合わないことを伝えなければならないことを思い出すことができる。

そんな日々から5年以上が経ち、仕事も環境も変わった私は、久々に2台のスマートウォッチを手にすることにした。
ひとつはアップルが誇る最新型スマートウォッチ「Apple Watch Ultra 2」。
そしてもう一つは先日発売されたばかりのCMF by NOTHING「Watch PRO」。

機能性からいえば圧倒的に「Apple Watch Ultra 2」に盛り込まれた機能が勝つのだけど、11,000円という10分の1の価格におさえられた「Watch PRO」にとても感心してしまった。

今回はそんな両極端な価格のスマートウォッチを手にしながら、なぜ「Watch PRO」にこんなに心を動かされているのかをご説明したい。

入門機として最適な機能性

「Watch PRO」にはスマートウォッチとして必要な機能がだいたい入っている。
・ユーザーの健康管理を助ける万歩計や心拍数計測機能
・日常的な使用に耐えうる防水性
・Bluetoothを通じたスマートフォンとの接続や通話機能
・GPSによる現在地の測位
・連続稼働日数最大13日という電池持ちの良さ

どれかが画期的というわけでもない。
ただ、「Watch PRO」はスマートウォッチとして必要最低限な機能性をしっかりと網羅している。

じゃあ、「Watch PRO」は他のスマートウォッチと大差ない存在なのだろうか。
それは機能性だけで言えば確かにそうなのかもしれない。
ただ特筆すべきはそのインターフェイスと価格のバランスにこそある。

専用アプリに接続することで、表示することができる文字盤はどれもオシャレ。
なおかつ、NOTHINGという会社のかっこいいところを凝縮したようなドット文字やドット絵を使用した表現に、ガジェット好きはグッと来てしまう。

Nothing といえば背面が光ってるだけでかっこいいスマートフォンや

ドット表記なデザインがこれまたたまらないワイヤレスイヤフォン「Nothin ear(1)」など、これまでにもガジェットラバーの心を鷲掴みにする商品展開を行ってきた。
そんな彼らのエッセンスが、廉価版とも言える価格帯の商品にもしっかりと適量が注がれているのだ。

くもりの表現にしてもこの通り。
アイコンは丸のドットで表記され、ほどよいアナログ感を感じさせてくれる。

例えば電話をかける際のキーパッドもこの通り。
NOTHINGの世界観をきちんと徹底して表現してくれているのがわかる。

その世界観の徹底は、セッティング開始時のUIにもしっかり反映されている。
初期設定もすごく簡単なので、スマートウォッチ初心者でも問題なく使い始めることができると思う。

紙素材も使用したパッケージもただただ安く作ろうとしたのではない工夫が裏面に隠れている。

各パーツがにょきっと突き出たポケットにそれぞれ収まっているのである。
こういった一つ一つのこだわりを見ているだけでとても嬉しくなってしまうのはなぜだろうか。

そして改めて、お値段はなんと「11,000円」
もちろん税込となっている。
これだけきちんと作られたスマートウォッチで、このお値段というのは本当に嬉しい。

対抗できるとすれば、シャオミのスマートバンド。
私自信も使ってきたけれど、運動をしたり時間を見るだけなら更にこちらの方がお安い。
しかしながらスマートウォッチとしてApple Watchほどいろいろ出来るわけではない。
割り切った便利な万歩計としては最強なのだけど、この機種はこの機種で限界もあった。

しかしながら、Apple Watchを購入するには一番安いモデルでも3万円以上を必要とする。
スマートバンドから6倍以上の金額をかけて、Apple Watchを手にするのはなかなか勇気が必要となる。

スマートフォン同様に数年で機能性が追いつかなくなる可能性があるスマートウォッチにどれだけ投資をするのか……
そう考えた時に、「Watch PRO」の11,000円という金額は比較的まだ諦めがつく金額なのだ(個人的感覚ではあるけれど)。

CMFというブランド名はすべてのモノにあるサーフェイス、つまり「表面」を表す言葉。
「COLOR(色)」「MATERIAL(素材)」「FINISH(加工)」という表面を構成する3つの要素。
それらの頭文字をとって「CMF」と呼ぶらしい。

NOTHINGとしての展開なのであれば、もっともっと最高峰に尖ったプロダクトをスマートウォッチとして投入することができただろう。
しかし、今回の「Watch PRO」には価格的制限の中で良いものを作ろうという、これまでと違ったアプローチが見える。

かつて戦後日本でも蔓延していた「デザイン」は、表面を飾り立てることで価値を付加するといったものだった。
けれど、CMFのアプローチは同じ表面でも、少し違う感触がある。
低価格のものにも良いデザインを注ぐ。
日本で馴染みの深い無印良品の思想にもつながるようなあり方が、ガジェット感ばりばりのNOTHINGにもあるというのがとてもおもしろい。

Apple Watch Ultra2との差はなにか

さて、「WATCH PRO」の日本発売の噂を聞きながらも、私が待ちきれずに購入した「Apple Watch Ultra2」

スマートフォンにも近いその価格。
「Watch PRO」の10倍の価値があるのかと言われれば、「Watch PRO」のクオリティが高いがゆえに、あるとはいいにくい。

しかしながらMacbookを指紋認証無しでロック解除してくれたり、apple musicの曲をスマホ無しでのウォーキング中にワイヤレスイヤフォンに繋いで流してくれたりと、アップルのアイテムとの連動性は唯一無二といえる。

電池のもちは昔よりよくなり2日ぐらいは持つし、相変わらずタイマーの振動の優しさは素晴らしい。

個人的に、前回のApple Watchの末路が「コンクリの床にぶつけて画面を割ってしまった」だったので、防御力が一番高いモデルを求めていたら必然的にUltraになったというのもあったりする。

なので、私の場合はこれからもApple Watchを使い続けるのだけど、「Watch PRO」の存在はほとんどの人にとって「こっちで十分じゃん」という選択肢になりうるものだと、改めて比較しながら思う。

ぜひスマートウォッチが気になる方は、「Watch PRO」も候補にいれてみてはいかがだろうか。

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