自転車を買った話1

母が自転車を買ったのは2020年年末、12月第一週目か2週目の週末だった。
もともとMTBで通勤しており、スポーツバイクには十分慣れていた。
7年か8年乗っていた黄緑が鮮やかだったMTBはすっかりと日に焼け、色あせていたし、いたるところに錆が目立っていた。そろそろオーバーホールをしなければいけないが、ケーブル、ブレーキディスク、ブレーキパッド、左シフター、さらにはサスペンション、と交換すべき消耗品が素人目にも山のように見て取れた。
フレームとしてはまだまだ現役ではあるものの、総合的に見て買い換えてもよさそうだった。

夕食を食べながら好みの傾向がを探ってみる。
少しレトロなデザインのグラベルクロスがよさそうだ。
しかもディスクブレーキが必須、できればフロントシングルがいいときたもんだ。
流石に7年も乗ってると詳しいうえに要求もちょいちょい面倒だ。
(後で判明することなのだが、フロントディレイラーのワイヤーの張り具合を自分でいじり倒し、おかしくしてしまったせいで、左シフターを破損し、さらには突き指まで引き起こしていた。そのせいでフロントギアを変えることが苦手みたいだった)

翌日近所では大型と聞いていたスポーツバイクのお店を訪ねてみた。
最初に目に留まったのはコルナゴのPORTAだった。確かにレトロなデザインに、32cの太めのタイヤは心強かったのだろう。赤茶色のカラーもいいし、青緑系のカラーもいいと、気に入って眺めていたが、サイズが合わずに入荷見込み未定とのことで諦めた。
しかしコルナゴとはさすがにいいセンスである。私が欲しい。

次にオススメはないかと聞かれたので、コラテックのSHAPE URBAN DISCをすすめてみた。こちらはサイズもあったが、カラーが好みではなかったようだ。
定番のGIANT(父が乗りたがっている)や、姉妹ブランドのLIVを素通りし、TREKのMTBをしげしげと眺め始めた。
またMTBでもありだけどね。といいながら様子を見ていると、
「うん、ロードもみよう」と言い出した。

ロードバイクのフロアにたどり着くなりデローザを見て「これがいい」

値段見てくれ。
45万。フレームセットの値段。乗れるまで最低60万はかかるととりあえず脅す。
頼むからタイヤも45mmとかはかないでくれ。履けないかもしれんが・・・

そんなこんなであまり収穫なく1件目の訪問が終了した。
が、実はここで母の心には大きな決心がなされていた。


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