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コンサルタントからビジネスプロデューサーへ

私がビジネスプロデューサというコンセプトを出したのはDIが設立された2000年6月中旬。ちょうど20年前の今の時期である。なぜ、コンサルタントではなく、ビジネスプロデューサーという新しいコンセプトに至ったのか。これは、新規事業を創るという難しさおよび、それに必要な能力が、戦略コンサルに必要な能力とは、必ずしも重ならなかったためである。

私は前職の戦略コンサルファームでも、何度か新規事業のコンサルティングを行っていた。しかし、新規事業プロジェクトは、市場機会をみつけてコンセプトを作っても、なかなかハードルが高く、実現は困難を極めた。クライアントの新規事業として、ビジネスチャンスを見つけても、様々な理由により自社だけで行うコトは難しい。逆に自社だけで行えることならば、新規事業ではなく既存の事業として既にやっていることが多い。そのため、ケイパビリティ不足分をパートナーを探しに提携しにいくのだが、これが中々うまくいかない。提携候補先も、論理的には提携すると上手くいきそうだということは理解するが、そもそもやる気がない。こちらが、「これをやればこんな事業機会があります」といっても、「それはわかるけど・・・、うちにもうちの都合があって・・・」ということになる。クライアントとはコミュニケーション良くつきあっていても、提携先の会社の内情までは、実際のところよくわからない。そもそも、ライトパーソンに当たっているのかすらわからない。たまにライトパーソンにぶち当たって、とんとん拍子ということもあり得るが、確率的には相当低いわけである。戦略コンサルタントとしては、そこそこやってきたつもりが、新規ビジネスを創るということでは、求められる能力がかなり違うのではないか?と感じたのである。

つまり大企業で新規事業を行う場合は、周辺のプレイヤーで誰が何をやりたいのかをある程度把握して、こちらのやりたいことと、うまくマッチングさせてやる必要がある。やる気の無い人を結びつけても無駄なのである。そのため、クライアントの方々だけではなく、外部に幅広い人脈と、誰が何を考えていて、何を考えていないのかを普段から観察しておく能力が求められる。このようなことを、やるのであれば、あの会社のAさんとこの会社のBさんを旨く結びつける必要があるな。という具合に、実現に向けてプロデュースしていかねばならないのである。こんなドラマをつくるなら、監督候補はこの人で、俳優はAと女優はB・・・、監督との相性を考えると、俳優はCかもしれない・・・その上で、ドラマを完成させ収支を合わせなくてはならないのがプロデューサーの仕事である。新規事業を行うには、このようなプロデューサーの能力が必要なのではないか?ということから、ビジネスプロデューサと名付けた。

今では、大手広告代理店もビジネスプロデュース局なるものが存在するが、DIが設立された2000年6月当時は、超マイナーなネーミングであった。だいたい英語としてもおかしい。Produce Business とか Business Production ならわかるわけだが、Business Produceなる和製英語は、私が英語が苦手であることを露呈するネーミングである。なお、DIが2002年にマザーズ上場するときの目論見書には、すでにビジネスプロデュース本部という本部まで存在し、現在もDIはビジネスプロデューサーと呼んでいる。

下記は、2014年にビジネスプロデュースをアニメーションにしたもの。私がキャラクターになっているので、小っ恥ずかしいですが、動画を見つけるのが大変なので、ここにあげておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=VrKaqxzZwZA


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